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帰ってきました


湾岸都市でバッソ侯爵、エスブイ子爵一家と面会した俺。

音速飛行でレガシに帰還する。

海竜退治のドタバタがあったけど、マビカママからお手紙を預かってきた。

ママさん、徹夜で書いたみたい。

朝、目が赤かったよ。

一方、バッソ侯。

襟を開いて手を入れるとなにやら引っ張り出した。

「これをキララに渡してください。」

指輪だ。

指にはめていたのではなく、金の鎖に通して首から下げていた。

サイズ合わないのかな?

この指輪、お高いものなんでしょう?

無くさないように気をつけないとね。


湾岸都市からレガシへ音速飛行。

水中に突っ込んだ事で流体力学的な何かを学習できたんだろうか?

空力バリヤーの構成がすごく効率的になったような気がする。

その日の内にレガシに帰還。

飛行ユニットを北遺跡に収納すると先生んちに帰宅。

「おう、帰ったか。うまく行ったか?」

あれ? 何でマビキラがいるの?

メガドーラさんも…

「お前が昨日帰ってこなかったから心配して来てやったのだ!」

えっらそうに、キラすけ。お前に心配されたってなー。

「無事、バッソ侯爵とエスブイ子爵に手紙を渡せました。」

「その後、ちょっといろいろあったので一日遅れましたが…」

マビカは、もじもじしてるな。

「マビカさんにはお母様から手紙を預かってきました。」

「え? おかあちゃんから!」

ぱっと笑顔。まだまだ子供だね。

「ステキなお母様ですね。」

「てへへ。」

ステキでしたよ、パワフルで。

キラすけは、なんとも微妙な表情で俺の事にらんでる。

うーん、お前には手紙はないんだ。

「実は…」

サンゴロウ騎士が退治したのと同種の海竜が出現。

兄上ズと協力して退治していたので、バッソ侯も手紙とか書いてるヒマが無かったんだよ。

「侯爵からこれを預かって来ました。」

指輪を渡す。

「ふ、ふーん。」

大したことないっぽいフリしてるけど嬉しさ隠しきれてないぞ。

「ほう、それは。」

横で見ていたメガドーラお祖母ちゃんが指輪に目を留めた。

「これは…ワシが、キララの母親に嫁入り道具代わりに持たせたモノじゃな。」

「ベガのヤツ、身に着けておったのか?」

まじまじと指輪を見つめるキラすけ。

「お母さんの……?」

先生もニコニコしてる。

「指にぴったりになるにはちょっと時間がかかりそうだな。」

「首に下げるにも金鎖が長すぎるか…明日おやっさんに相談しよう。」



次の日、おやっさん、組合長に報告。サンゴロウさんにもね。

それとは別にちょっとヤバい相談がある。

エルディー先生も一緒に工房の裏から出て、レガシの町外れに移動。

ケロちゃんGとパーンサロイドミネルヴァも一緒に来てもらう。

「なんだ?」

「ちょっと、実験です。」

このあたりは畑も無いし、地面は手付かず状態だ。

岩がごろごろしてる。

じゃあ、頼むよ、ケロちゃん。

その辺の適当な石をつかむ。

軍用獣機ゴリアテサイズだと「岩」だよね、それ。

しばらく弄り回していたけど、困ったようにミネルヴァの方を見る。

どう、ミネルヴァ?

「無理ですね、軍用獣機はオーバーハンドスローは出来ません。」

やっぱりね。

肩越しに上から投げるオーバースローは人間だけができる動き。

その人間だって、かなり無理をしてやっている。

野球のピッチャーの肩にだってものすごい負担がかかってるのだ。

お祖父ちゃんがいきなり孫とキャッチボールとかしたら、破滅!

ピシッとな! 整形外科受診間違い無し。

手が使えるサルやゴリラでもアンダースローかサイドスローがせいぜいだ。

ゴリラっぽい体型のゴリアテタイプにはやっぱり不可能だった。

だがそれでも、サイドスローやアンダースローなら出来るって事だ。


次の指示、ゴー、ケロちゃん!

サイドって言うか、アンダースローで投げる!

大リーグボール3号!

飛んだわー! 今日はホームランだね。

山なりに飛んだ岩が百メートルほど先に着弾!

俺が雀竜相手に使った投石戦法を思えば、少し練習すれば百発百中になるだろう。

サイドスローをマスターすれば水平射に近い攻撃もできるだろうし。

もし、モアブ軍の軍用獣機がこの戦法を使ってきたら…

何らかの対策が必要だろう。

「こりゃあ、まずいな。」

おやっさんが顔をしかめる。

「まったく、イヤな事考えつくなあ、お前。」

いやいや、最悪の場合を想定しろって言ったの先生じゃん。

ミネルヴァはどう思う?

「ゴリアテの自動行動ライブラリには投石機能は無いようです。」

そうか…軍用獣機現役の時代には飛び道具は別にあったはずだ。

大砲やらミサイルやら、ビームとかね。

わざわざ獣機に石投げさせる必要は無かっただろう。

「手動操縦でこれをやるのはかなり大変かと…」

「熟練の操縦者ならできるでしょうけど、人数は限られるんじゃないでしょうか。」

そうだとありがたいけどね。

「逆に、こちらの3体は犬獣機ハウンドを接続することで学習が可能です。」

「かなりの戦力になると思いますよ、うふふ。」

何、最後のうふふ!? 怖いわ、最近、この子。


レガシには現在3体の軍用獣機と4台の鉄蜘蛛、1台の新型鉄蜘蛛がある。

犬型警護獣機と工兵機はたくさん。

ジョーイ君が送って来たのやら、ミネルヴァが連れて来たのやら。

けっこういっぱい居て数が把握できてない。

ハウンドホワイトはミーハ村に在駐中。

ケルベロ2号ベルちゃんはお嬢様の護衛。

レッドことU-69はエルフ兄妹の猟犬ていう役割が決まっている。

残りのやつらはけっこう好き勝手に街ン中をうろうろしている。

え? ちゃんとルートを割り振って警備行動してるって?

そりゃあ、失礼。

街の住民もすっかり慣れたみたい。

いっぺん、アトラックさんちのアイちゃんとミニイたんが揃って背中に乗って走ってるのを見かけた。

おおーい、あぶねえ! デイヴィーさんが追いかけてた。

うん、最初の敵は味方になると言う、定番!


工房にいる工兵機サテュロスは時々お使いで買い物に出てきたりする。

買い物メモ持たされてる。

犬獣機同様発声機能が付いてないので不便だ。

犬獣機は自意識や個性を持って行動している(ように見える)。

工兵機は最初のうちは黙々と作業をこなしているだけだった。

だがレガシで職人衆と一緒に作業をしているうちになんだかヒトっぽくなったきたような気がする。

そんなこと、あるんだろうか?

『工兵機の自律制御回路ユニットは犬獣機と同じものを使っています』

ヘルプ君、え? そうなの?

『規格共通化により製造・システム構築の効率化を図ったものと推定』

『学習機能により、単純だった標準プログラムが自己改変されています』

『より複雑化した環境及び作業内容に適応するためと考えられます』

まあ、おりこうさんになるのは良い事だ。

『工房の職人さんとは常に情報交換をしていますから。』

『いろいろと参考になることが多くて・・・サイト1の獣機修復も効率化されてきました。』

おっと、今度はジョーイ君。

『サイト1に保管されていた鉄蜘蛛のうち6機が可動状態に復帰しました。』

サイト1にあった鉄蜘蛛は16台。うち1台は俺が破壊。

部品は再利用され、現在はニコイチ号の一部になっている。

残りの鉄蜘蛛にも動ける奴があったか。

『高速通信網の復活でレガシからのデータフィードバックを受けていますので。』

『以前はバカだった戦闘用将機も鉄蜘蛛の運転くらいは出来るようになりました。』

ああ、あのラスボス風がっかり将機か。

『飛行ユニットからいただいた航空映像と犬獣機による測量作業で王都までのマップも完成。』

『進攻計画のための待機班の編成も完了しました。』

ノリノリだな、ジョーイ君。

『行動目的がある、と言うのは良いものです。』

そうか、何千年も意味もなく放置されて居たんだもんな。

どのくらいの数を投入する予定なの?

『最低限の警備を除き稼動できる全数を投入する予定です。』

え? ちょ!?

ちょっと、大げさじゃない?

『戦力の順次投入は愚策です。』

『それに、制圧時の死傷者を最低限にするためには、圧倒的な数を投入する方が効果的と考えます。』

そうか、強くなければ手加減は出来ない。

…先生とか夢魔女王とかは強いけど……手加減苦手そう。

「え? 死傷者、抑えるんですか?」

おいおい、ミネルヴァ!!

「警護用」獣機の監督者であるジョーイ君は人命尊重の概念がある。

だから、獣機がヒトを襲っている間、悩んでいたわけだが…

ミネルヴァやヘルプ君は、機能を最大限に発揮する事に喜び的なものを感じているようで…

人命とかは特に意識して無いって言うか…

そもそも、命って言う概念を持っているんだろうか?



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