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湾岸都市へ


レガシでなんやかんややってるうちに飛行ユニットが帰還。

被甲身バンパーバリヤーで高速化されたから速い。

人を乗せても時速300キロは出せるし、空荷だったらマッハ1!

トンちゃんタマちゃんは王都に残ってカナちゃんズと連携。

タモン兄貴とエアボウド大導師を手伝う。


さて、飛行ユニットスカイエクソンは今度は湾岸都市に行くわけだが…

王都の時と同じ問題…

怪しい飛行魔道機がどうやって偉い人に手紙を渡すかって話。

サンゴロウさん連れてくか…重いけど。

リアルでか馬くんが抗議。ぶひびん!

あー、お前、おいてかれちゃうのは嫌だよなあ。

じゃあ、バッソ家の関係者…メガドーラママ?

「ややや、儂はここで色々準備があるし!」

ええ? 全力拒否!

息子の顔見るのヤなの?

そすっと…マビキラ?

いやいや、飛行ユニット形態でこいつらの面倒みるとか無理!

ディスカムが同行してくれるんならいいけど。

真っ青ディスカム。ぶんぶん首を横に振る。

サンゴロウさん一人でも圧迫されてたのに、他の兄上5人とか、お父さんとか…絶対無理!


「お前に行ってもらおう。」

え? 先生、俺ですか?

「お前本体なら、人を乗せるのと違って最高速が出せるだろ?」

でも、怪しすぎるってんで王都行きの時は却下されたんですよ。

「王都に比べれば…敵地ってわけじゃないしな。」

「サンゴロウ騎士の紹介状があれば何とかなるだろう。」

スカイエクソンもアイザック本体も留守にするってのは心配でもあるが…

マッハが出せるから時間的には短くて済む。

パーンサロイドミネルヴァやケロちゃんGら軍用獣機ゴリアテ警護獣機ハウンドがいるから大丈夫か。

輸送の関係で王都には行けなかったし…ちょっぴり湾岸都市にも興味あるし。

行ってくるか。

ミネルヴァ、ジョーイ君、レガシのこと、よろしくね。

じゃあ、行ってきますよ。

マビカ、メガドーラさん、手紙書けた? お預かりします。

おい、キラすけ、お前は? お父さんへの手紙。

お? 余裕のポーズ?

てお前これ、お義母さんへの手紙の宛先変えただけじゃん!


合体! スカイアイザック!

俺本体が一緒なら護符が無くても被甲身バリヤーが使える。

手紙とマントをバッグに詰めてっと。

おやっさんが作ってくれたバッグ。

小さくて武具には使えない雀竜のウロコを、これまた雀竜の革に張り付けて作った耐熱バッグだ。

炎の中に放り込んでも数分なら耐えられるという優れもの。

ウエストポーチ風に腹側にセット。

戦闘に行くわけじゃないから高周波振動剣はいらないか…

あれ? アレ、どこに置いたっけ?

おかしいな、見当たらないぞ?

『収納しました』

は? 何言ってんの、ヘルプ君?

いや、いや。入らないでしょ、大きさ的に。

え? まじ?

収納魔法?

そりゃ、アイテム収納はゲームや異世界ものの定番だけど…

ってことは目録インベントリ画面とか?

おう! 表示された!

アイテム一覧。

接続コネクタ・作業用工具・カッター・鉤爪・点棒型護符・高周波振動剣

ワイヤー&リール…

ああー、なるほど。地味なアイテム多いな?

スペース的にどこにしまってるの?

高次元空間的な? クラウド?

機能のダウンロードもそこからしてるのかな?

じゃあ、タマちゃんやトンちゃんも収納できるのか?

もしかして飛行ユニットも?

ジェットスクランダーからスクランブルダッシュへ!?

『さすがに飛行ユニットは無理です』

うーん、ベータ君の器機召喚アポーツとはちがうのか?

『きわめて近い技術です』

あ、そういえば器機召喚は学習できないのかな?

何回か召喚されたよね、俺。

『……』

あれ? ヘルプ君?

『機能の競合が起こっています』

『収納機能と器機召喚魔法の同時使用は不可です』

『問題は把握されています』

『アップデートにより解決される予定です』

……まあ、そういうこともあるよね。

あれ、収納…するならおしゃれマントが一番先じゃないかな?

『あっ、そうでした』

あとさあ、その…なんだ…アレとかってないかなあ…

『何でしょう』

ほら、アレだよ…その、パーツって言うか…

…股間に装備する的な……

『………』

え、なんか言ってよ、ヘルプ君。

『…………』


ま、そんなこんなでスカイアイザック出発!

今度はちゃんと分離できるよね?

『できます』

ええー? ほんと?

『できます』


みんなに見送られてレガシを出発。

巡航に移行。

さて、音速飛行を試して見るか…

空力バリヤー展開。

加速!

ぐんぐん速度が上がる。

360度視界で機体後方にコーン状の雲が発生しているのが見える。

ベイパーコーンだ。

機体前面で圧縮された空気が機体後方で急速に減圧されることで冷却。

空気中の水蒸気が結露して生じる円錐状の雲だ。

ちなみに音速を超えているかどうかとは関係がない。

でもこれが出来るってことは、まだ空気抵抗が大きいってことだよね。

空力バリヤーを最適化。

前方、後方の形状をさらに細長く伸ばす。

スカイエクソンと違って俺本体は直接魔法が使えるからね。

飛びながら修正が可能だ。

さらに速度が上がる。マッハ1!

さらに加速! マッハ2へ!

王都から一番遠いという湾岸市もあっという間だ。

十分日帰り圏内だぜ!


海が見えてきた。

久しぶりに見る海、テンション上がる。

日本海へ抜ける長野県人の気持ちがわかる。

湾岸都市。

海岸がへこんだ湾、と言うか…内海うちうみ

何本かの流れ込む河が合流する所を利用しているのか。

その周りに市街地が広がり、それをさらに囲むように城壁が張り巡らされている。

でかい街だ。

城壁の外側にも海岸線に沿って街が広がっている。

内海には大型船、海岸線にもかなりの数の船が見える。


でかいよ! 都会だよ!

びびる!! 田舎モンにはハードル高い!

どうやって繋ぎをつける?

城壁の要所要所に見張りが立っている。

あんまり近づかない方がいいかな?

ズームアップ!

ん? この見張り…街道や地面だけじゃなく上空も見張ってる?

飛竜ライダーとかいるのか? この世界。

もっとも、人を襲う雀竜とか居たもんな。

う、いかん。すでに目をつけられた?

いきなり空から城壁越えたら敵認定されかねないよな?

城門から入る?

門番っていうか、警備兵に事情を話して偉い人呼んでもらうか。

時間はかかるけど、その方が確実だな。

実のところ俺、湾岸都市のどこに何があるかわかんないしな。

サンゴロウさんに描いてもらった地図、記録してきたけど…ダメだわ、これ!

絵がヘタクソ!

少し街から離れた所に着陸。飛行ユニット分離!

おお、今度はすぐに外れましたよ。

『当然です、修正済みです』

わかったわかった。


それじゃあ、飛行ユニットにはここで待機してもらって。

俺本体は徒歩で都市に入るとしよう。

いちおう、念のために持ってきたカロツェ家発行の通行手形。

せっかく取り寄せてもらったのにさっぱり使い道が無かったもんな。

もっとも、名義人は俺じゃなくてエルディー先生ですがね。

俺は荷車扱いでしたから。

収納からマントを取り出す。

おやっさん製豪華雀竜のウロコマント。

オーバーマントは外して、ウロコ面はむき出しにする。

見せびらかす!

フードをかぶって顔を隠し、剣を装備。

うん、謎の高貴剣士って感じ。


町を囲む立派な城壁は、政庁であるお城、街、港を取り込む形。

海上交通を取り込んであるところが特徴的だ。

湾岸都市と呼ばれるだけの事はある。

街道から続く都市にはいる門。

何人もの兵士が検問している。

おおむね流れは順調。

大街道は国には属していないので関所でも特に禁制品と言うのは無かった。

逃亡犯、人攫いや違法奴隷といったヒトのチェックがメインだった。

ここは王国の一部で、都市には自治権がある。

積荷や素性のチェックはきびしそう。


周囲から視線が集まってるぞ、俺。

「お、おい、あのマント…」

「雀竜のウロコじゃないか?」

「ま、まさか? あれ全部ウロコ製?」

うん、お金持ち感出てるようだ。ハッタリ効いてる。

順番が廻って来た。

警備に当たっているのは10名ほどの兵士。

手分けして手際よくチェックしていく。

門番の兵士、イメージだと荒くれた感じで威圧的とか賄賂要求してくるとかだけど…

カッコいい? イケメンだ。

すらりとした若い兵士。おしゃれな鎧。

ちょっと意外だったが、考えてみれば湾岸都市は交易で栄えている。

そりゃ、貿易会社の受付がゴロツキだったらアカンわな。

だが、そんなイケメン兵士に混じって…

犬獣人? いや? 顔が完全に犬? ドーベルマン顔だ!

「ありゃあ、コボルトだよ。」

俺の前に並んでいた馬車に乗った商人がつぶやいた。

聞き耳を立てる。デビルイヤー!

「犬系獣人は犬っぽい人間。コボルトは人っぽい犬だ。」

「慣れると主人に忠実な兵士になるが…脅しや食料だけでは懐かない。」

「誇り高い獣だからな…小さい頃から可愛がって育てないと…」

馬車の同乗者に説明してるらしいけど、説明サンキュ!

軽装鎧を着てるコボルト、アヌビス神って感じでかっこいい。

3組くらい前の馬車が通行証を出して質問を受けていたが…

コボルトが兵士の耳元で唸り声を上げる。

「すいません、ちょっと時間がかかるのでこちらへ…」

にこやかに兵士が案内して脇に寄せられる。

検問所の塀の向こうへ回された。

あー、何か引っかかったのね。

「コボルトは犬より鼻が効くんだよ。」

商人の人がまた説明してくれた。

そうだよね。

犬系獣人のアトラックさんは「人間よりちょっと良い程度」しか鼻が効かない、と言ってた。

(奥さんはかなり効くらしい、他の女性の匂い限定で)

当然だ、鼻の構造が人間と同じなんだから。

だが、頭部が犬であるコボルトの鼻は犬と同じ構造。

センサーは犬と同様で、解析する頭脳は犬以上ってことだろうな。

塀の向こうで物音をキャッチ。

禁制品とか麻薬とかって声が聞こえた。

わめき声が一瞬聞こえたが、すぐ鎮圧されたようだ。

その間も入管作業は滞りなく続いている。

手際が良いぞ、この都市の官憲!


俺の番が来た。

ちょっと困ったような表情のイケメン兵士。

「えーっと? すいませんがフードを取っていただけますか?」

そうだよね。

フードを下ろす。

「おお!?」

兵士だけじゃなく、一緒に手続きしていた通行者からもどよめきが起こる。

「あ、あなたは?」

「ワタシハ・魔道機・デス。」

手形を差し出す。

「こ、これはカロツェ男爵家の…レガシ在住のエルディー導師?」

「ワタシハ・代理ノ・魔道機デス。」

「【海竜殺し】サンゴロウ・バッソ騎士ノ・手紙ヲ・エスブイ子爵ニ持参シマシタ。」

魔道機演技、メンド・クサイ!

「サンゴロウ様の!?」

「う、上のものに問い合わせます。どうぞ、こちらへ!」

イケメン兵士、扱いが紳士的だ。

お金持ちマントの効果あるみたい。

ありがとう、おやっさん。


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