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お風呂掃除を手伝うよ


と、言うわけで街にやってきました。

マントのおかげか、騒ぎにはならない。

気づかれてない。ちょっと変な人レベルで済んでいるようだ。

見ちゃいけませんよ、目が合ったらどうすんの。くらいの感じ。

フードをかぶっていると360度視界が使えないのが欠点。

まずはドワーフの工房へ。

いったん街に入ったあと方向を変えて町のはずれに。

でかいな。

仕事に精出す村の鍛冶屋的な大きさを想像していたが…

工場! 工場ですよ、この大きさ。

入口のところは、ふつうの商店風。受付兼事務所。

となりが浴場?

おう、館内案内図があるぞ。チラ見。記録。

タンケイちゃんも先生も顔パス。

受付のお姉さんドワーフちらっと見ただけでスルー。

「おやっさーん、導師連れてきたっす。」

「遅いぞ! どこで油売ってやがった! 風呂掃除当番だろが!」

怒られた!

「ふえええー!」

あ、怒られたのはタンケイちゃんか。

「まあ、まあ。しばらく遺跡に行っていてな。待たせてしまったのだ。」

先生が釈明。そうなんすスよ。

「ええ? そうか。」

「怒ってすまねえ。ごめんな、タンケイ。」

部下にもきちんと謝れる男。すてきな大人ですよ、おやっさん。

「わかってもらえればいいんすよー。」

調子に乗るなよ。タンケイ!

「わかったから、風呂掃除しろ!」

「ふええー!」

ほらな。

「コウベン工房長、このマント、ありがとうございます。」

「おう。」

「ここまで来る途中も怪しまれずに済みました。」

「あ、ああ。」

なんか、不満そうだな?

「工房長? どうされました?」

「いや、なんだ… 堅苦しいな。昨日は…」

やだ、おやっさん。かわいい!

「失礼かと思いましたので…おやっさん。」

にかっと笑う。

「よろしくな、アイザック!」

「はい。」

「うひひ」

タンケイちゃんまだいた。

「何やってる! 早く掃除しねえか。」

「はわわ! アイザックさん鏡が見たいって…」

「機体の確認をしたいと思いまして。」

「そうか、タンケイ案内してやんな。」

先生とベータ君は、おやっさんと一緒に

「わたしらは獣機を見せてもらうか。」

「じゃあ、アイザックさんはこっちっす。」


タンケイちゃんの案内で浴場へ。

「こっちこっち。」

女湯へ! 男子禁制、禁断の領域!

まあ、これから掃除。営業前ですがね。

「これっす!」

おお、鏡。でかい、全身が映る。

湯上り美女がこの前で全身チェックしているかと思うとありがたみがちがう!

ちょっと、おなか、お肉付いた? はみ毛してない? 

あれ?左右で大きさ違ってないアタシ? とか。


マントは脱いで脱衣かごに、脱衣所だよ、ここ。

鏡は? 金属製だな。表面はメッキ?

さすがにガラス鏡ほど平滑じゃない。

ところどころ歪んだり、曇ったりがある。

自分の機体を映す。人間の筋肉を模したかのようなボディ。

うん、バランス取れてるね。ゴリラボディでなくてよかった。

股間は………うん、普通。

ハッチが開いて自在触手とか電動マッサージャーとか。

そんなの出てくるとかを期待したんだけど。

そういう機能は無さそう…


「そいじゃ、ウチは掃除させてもらうっす!」

後ろでタンケイちゃんが脱ぎだしたぞ!

気が散る! 鏡どころじゃない!

そりゃ、風呂掃除すれば濡れるもんな。

ツナギの作業着を脱いで…???

何それ? 下から出てきたのは皮鎧?

胸を覆う革製の…ブラジャー???

下着シャツの上に着けているので革製の鎧に見える。

ところどころに穴が開けてある。通気孔?

「タンケイさん、それは?」

あんまりびっくりしたんで、聞いちゃったよ。

いやん、えっち、見ないでよ、最低!

「ああ、これ? ウチ、胸が大きいんで邪魔にならないように自分で作ったんすよ。」

ブラジャーの発明! 文明の夜明け!

技術屋の視点。えっちとは思われなかった模様。

「ご自分で考えられたのですか?」

「うーん、実は最初のはおやっさんが…」

おやっさん?

「大きくなってきて、邪魔になってるのを見かねて作ってくれたんす。」

「最初のは小さくなって、入らなくなったんで、あとは自分で。」

「おやっさんにもらったやつは…実は記念に家にしまってあるんすよ。」

てへっ、って顔。可愛いぞ爆乳ドワーフ!

おやっさん! 愛弟子のためにブラジャーを発明するおやっさん。

師匠からもらった最初のブラジャーを大切に保管する弟子。

美しい師弟愛。そして、成長中!!


え、革ブラもはずしちゃうの? うん、革に水は良くないよね。

うおう! はずしてもタレないのかよ。

土台となる大胸筋が発達しているのかな? 半分大胸筋?

マッチョおっぱい詐欺?

え、下着シャツも? 脱いじゃうの? トランクス風パンツも?

マッパだぞ! マッパ、Go、Go、Go!

そりゃ、濡れたからって簡単に替わりがあるわけじゃないから…

それが合理的なんだけど…

この世界、羞恥心ていうものは一般的じゃないのかな?

首にタオルを…タオル地じゃないから手ぬぐい? ま、いいか、タオルで。

タオルを首に引っ掛けて。

こっち見てペロリと舌を出すタンケイちゃん。

「えへへ、しっつれー! あんま、見ないでくれるとうれしいっす。」

無邪気か! かわいい! かわいいぞ!

「お掃除、お手伝いしますよ。」

「ええ、まじっすかー?」

下心といっしょに、脱衣場から浴室へ移動。

タンケイちゃんが壁から出ているジャッキのハンドルを回す。

「うおおおおー。」

その掛け声、必要なの?

回した腕がおっぱいを叩いてぷるぷる。

ぐるぐるぷるぷる、と天窓が開く。

おお、青空が見えるぞ。最高!

「素晴らしい仕掛けですね。」

「最初はもっと窓が低かったんす、工房が見えるくらいに。」

「けど、おやっさんが作り直せって。」

「兄弟子たちぶん殴られてたけど、どこが悪かったんすかね?」

こっちから見えるってことは、あっちから見えるってことで。

ああ、それはきっと…男の夢みたいなものが暴走して…


「ほいじゃ、洗い場の方をお願いするっす。ウチは浴槽を…」

センサーオン! 洗い場をマッピング。

ル○バ! 俺はル○バ! デッキブラシで床をこすって行く。

こすり終わったところを記録。最も効率的に移動!

このデッキブラシ使いづらい。ドワーフサイズだから短め。

でも、オレは平気。腰が痛くなったりしないのは確認済み。

もちろん、360度視界でタンケイちゃんの青空全裸清掃も見逃さない。

一生懸命こすってる。ゴシゴシ、ぶるん! ゴシゴシぶるん!

ゴシゴシぷるぷる、ゴシぷるるん!

額に汗して一心不乱。ちょっと動きを止めて腰をのばす。

天を衝く爆パイ! 

デッキブラシを立てかけ…はさんだ!

挟んで立てた! 斬新!

おっぱいにそんな使い道が!?

両手を使って顔の汗を拭く。


商品開発第一弾! おっぱい歯ブラシスタンド。

谷間に挟んで歯ブラシを固定。

歯ブラシだから歯磨き粉の白いのがついちゃっても仕方がない。

白濁泡まみれになっちゃっても仕方ない、ぶっかけちゃっても仕方ない。

ああ、仕方ない仕方ない。


「なぜ、工房が浴場を?」

「工房の魔法炉って、基本的にはずーと火が入りっぱなしなんす。」

「余熱がもったいないんでお湯を沸かして作業員用の風呂作ったのが最初っすね。」

エコか、環境にやさしいお風呂。

「そのうち近所の人も入りに来るようになって」

「維持が大変だから、商売にしちゃえってことに」

「魔法炉の燃料は何を?」

「近くの炭鉱から出る石炭っす、魔法陣で熱を取り出して。」

魔法かまどと一緒か。

ところで、今のタンケイちゃんは後ろ向き。

前かがみでごしごし。

どっしり感のあるおしり。胸ほどじゃないけど、十分なボリューム感。

ごしごしフルフル、ごしフルフル。

ん、何か落ちてるの? しゃがんで摘み上げるの?

毛か? ウェーブヘアー!

女湯ウェーブヘアゲット! 捨てた。そうだよね。

でも、しゃがんだ時にちょっと見えちゃいましたよ。


「あの触媒魔法陣はすごく便利ですね。」

「そっす。石炭や薪からは熱を、ろうそくからは光を取り出してるんす。」

「よそでは魔道士が専門に作ってるんで、値段が高くてお貴族様くらいしか使えないらしいすけど。」

「この町ではエルディー導師が工房で量産できる方法を考えてくれて、誰でも使える値段になったっす。」

あのもろ出しセクハラ先生が?

「導師はすごいっす、教会が人手不足で神官を引き上げちゃったときにも。」

「治癒魔法や回復魔法をただで教えてくれて。」

「おかげで、今はイーディさんとかデイヴィーさんとか何人も術士がいるんす。」

人妻エルフも術士? 先生の弟子か。

失礼ながら、先生がそんなに偉い人には見えないが。

むしろ、自分の仕事減らすために人に押し付けた疑惑。


「こちらは終わりました。」

「ありがとうございまっす! 助かったす。」

タンケイちゃんが浴槽のヘリをまたいで…チラくぱ!

う、すべった? 

踏みとどまろうとするが、ブラジャーから解放された大質量が遠心力で慣性の法則!!

バランスを崩す! 転落した蜘蛛型トラックを思い出す。

あぶない! 高速思考があって良かった。

さっと手を出して支えることに成功。

「気をつけて。」

腕にすがりつくと、もにゅり! 

はさまっちゃったぞ、腕一本丸々!

「助かったすー」

おっぱいと腕を見てさすがに恥ずかしかったらしい。

「後はお湯を流して終わりっす。」

あわてて離れる。

浴槽だけでなく、洗い場にもお湯が流れようになっている。

そして、絶妙な傾斜と排水溝。

設計者の技術がわかる。


タンケイちゃん、なんか黙っちゃった。

顔を赤くしてそそくさと下着を身に着けているぞ。

脱ぐ時ではなく、着る時に恥ずかしがる。

いいですね、それ。

一つレベルアップ、タンケイちゃん!


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