表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

132/371

女王様の帰還



魔王城山採石場に侵攻したモアブ軍を制圧。

軍用獣機、鉄蜘蛛を無力化完了。


「ひい!」

住民から悲鳴が上がった。

犬獣機ハウンド

10体の犬獣機が隊列を組んで駆けてきた。

おう、ジョーイ君からの増援だ! ちょっと遅かったけどね。

「大丈夫です、この間のU-69と同様、ヒトの味方ですから。」

ファームウエア更新のおかげで直接獣機に指示が出来る。

口頭指示よりちょっと細かい命令が可能だ。

ジョーイ君、兵機も2体送ってくれた。

兵士たちの武装解除を命令。

剣、槍、ナイフや弩弓を回収。一か所に集める。


突然、兵機の1体が話し始めた。

あ、いや、通信か。

『聞こえるか、アイザック?』

「あれー先生? どうしたんですか? どうやって通信を?」


先生?


『北遺跡からサイト1へ短波通信。』

『サイト1から骸骨塔ネットワークを使って兵機に通信している。』

『メガドーラは馬獣機でそっちへ向かった。』

夢魔女王が?



『護衛にレッド(U-69)とホワイトをつけた。』

「了解しまし…

『二日以内に着くだろう。』

…た。こちらは制圧完了。」


「サイト1からの犬獣機隊も到着しましたので住民保護は可能になりました。」


先生?


『そうか、被害は?』

「…まだ不明です。」


『わかった。』

通信経路が複雑なんで返答が来るまでに3秒以上の遅延があるな。

ネット経由で中継してて、ゲストのコメントにかぶせちゃうアナウンサーみたいな感じに。


女王様到着まで2日か…

いや、待てよ? 飛行ユニットで迎えに行けばいいんじゃね?

外部接続機体との接続距離は限界があるけど…

ドローンのトンちゃん、タマちゃんは分割思考で行動できた。

その分割思考を飛行ユニットにシュートアウトすれば単独行動が可能?

やってみるか。


結果から言うとうまくいった。

トンちゃんを収納した飛行ユニットは途中から自律行動が可能に。

いったんレガシまで戻って、貨客用吊り下げベルトを装備。

再び取って返してメガドーラさんに追いつく。

馬獣機に乗った夢魔女王。

警護のために並走する犬獣機ハウンド

「けが人もいるので急いでいきます。」

飛行ユニット状態のオレにびっくりした女王様だが、けが人と聞いては構っていられない。

メガドーラさんにはハーネスを装備してもらう。

「窮屈じゃの?」

エルディー先生パイアンダーバーおっぱい擦れる問題があったので、改良されたハーネス。

前側の止めベルトを上げて鎖骨のすぐ下に一本、胸の下にもう一本ベルトを追加した。

…いやこれ、なんだか大変なことに。

突き出しが強調されちゃって…教育に悪い感じに…

「飛びますよ。」

上昇!

「あ、ちょっと待った! はみ出した!」

あうんっ! 女王おっぱいポロリ!

「儂も、あのぶらじゃーとやらを買おう…」

え? 夢魔おっぱいがしまわれちゃうのは、ちょっと残念かも…

レッドとホワイトにはそのまま馬獣機とともに魔王城山へ向かってもらう。


女王様、空の旅はお気に召したみたい。

子供っぽい歓声を上げて喜んでる。

魔王城山へ到着。女王様の帰還に今度は地下住民が歓声。

まずはケガ人の治療。もちろん治癒魔法の腕前も一流だ。


さて、生き残りのモアブ兵の処分。女王様に丸投げ。

「さて、おんしら、わらわの留守に好き勝手をしてくれたようじゃな。」

一か所に集められた敗残兵、周囲を犬獣機に固められ縮こまっている。

女王様の美貌と肢体に唖然としているぞ。

「お、お前はいったい…? 女王だと?」

「そうじゃ、我が名はメガドーラ! 黒き新月、無慈悲なる夜の女王【真黒しんこく女帝エンプレス】」

女王様ノリノリだ! 本名ばらしちゃった!

「この地こそが魔王城! 妾の領地!!」

「聖地たるこの地を侵したそなたらには、相応の罰を与えねばならぬのう。」

はい、みんな、威嚇ぅー!

通信で犬獣機たちに指示を出す。

一斉にヘッドアームを開いて機械音咆哮! ギャーギリギリ! ノリいいぞお前ら。

「だ、大魔女メガドーラ!?」

周りで聞いていた地下住民たちも一部びっくりした。

ここでは偽名を使ってたからね、有名人は大変だ。

魔王城伝説や建国七英雄伝説を知ってる人は驚くよね。

「七英雄! 大魔女メガドーラ…様?」

「魔王四天王筆頭だったと言う…メガドーラ様?」

モアブ兵達も青ざめる。

「ま、まさか本当に獣機を操っているなんて?」

ありゃ? そういえばモバリックがそんなこと言ってたな?

「ふん、自分たちの不始末を妾に押し付けるか…」

「まあ、今さら悪名のひとつくらい増えたところでなんとも思わんがの。」

ニッコリ笑う。

「だが、妾は慈悲深い。おまえら、もう帰って良いぞ。放免じゃ。」

一瞬、え? って顔になるモアブ兵たち。

中には喜んだ風の奴もいたが…すぐに何を言われたか気づいた。

軍用獣機も鉄蜘蛛も、そして武器、食料さえ失った自分たち。

少なくとも大街道まで、モンスター、野獣、魔獣ひしめくわき道を丸腰で戻らなくてはならないのだ。

生き延びる可能性は皆無と言っていいだろう。

「追い払え! 戻ってくる奴は始末しろ!」

女王様の命令で兵士たちを追い立てる犬獣機。

まあ、実際命令出してるのは俺なんですけどね。

モアブ兵たち、泣き喚きながら全員土下座。

みんな揃ってトゥギャザーで土下座ー!

あれ? 今の犬獣機はヒトを殺せないんじゃ?

どうなの? ジョーイ君?

『【敵】はその限りではありません』

ああ、そうね。

俺の居た地球から転移してきた【人間】が作った魔道機だもんな。

兵士たちはとりあえず地下に監禁することにした。


さて、実は隊長は残しておいた。

膨れ上がった腕は軽く治療。軽くね。

連行して尋問する事にしよう。

何か違った情報が引き出せるかもな。


夢魔女王は魔王城山に残る。

その日のうちに馬獣機とレッド、ホワイトが到着。

人間を載せていなければ、振動を考慮する必要がない。

移動速度はぐんと速くなるようだ。

飛行ユニットには捕虜を掴んで、先にクリプス騎士のところへ運んでもらう。

俺は走って帰るから。

離陸! スカイエクソン!

隊長捕虜が何やら悲痛な声を上げていたがすぐに遠ざかった。

「ひいいいぃぃぃーーー・・・ ・   ・」

ハウンドレッドことU-69はしばらく残ると。

地下住民も先だって狩りを手伝ってくれたU-69だってことで、ちょっと安心。

え? 新入り犬獣機ハウンドに心構えを教えてやる?

そう言えば、千体を超える犬獣機の中でお前のNo.は0069。

もしかして…レッド先輩?

到着したばっかで悪いが、ホワイトは俺と一緒に来てくれ。

別の役目を頼みたい。

鉄蜘蛛や、軍用獣機についてはレガシに帰ってからおやっさんと相談しよう。


俺とハウンドホワイトは地上を走って帰還する。

ホワイトと言っても機体は黒い。白いのはマフラーだけだけどな。

大街道を並んで走るの気持ちいい。

あははは、こーいつぅ。おいでおいでー! へっ、へっ、へっ、へ!

ドッグラン的な感じで。ま、息は切れませんがね、メカだから。


途中、ミーハ村に寄る。村長さんに状況を説明。

「もし、何かあったらこいつに手紙を持たせてください。」

ホワイトはここで待機。連絡係だ。

何とか通信システムを確立しないとな。

俺が来ていること聞いて顔見知りが駆けつけてくれた。

チーター娘チルタちゃん。

「従者さま!」

おう! 抱きついてきた。うれしい。

「こら、チルタ。失礼だぞ。」

村長さん、叱りながらも笑顔だ。よかった。

「おお、アイザックさん!」

喘ぎ声がカワイイ虎戦士ベスタさん。

「シマックは仕事で出かけてる。」

人狼戦士さん、会いましたよ、この間。

「ウェイナは客人を案内してレガシに向かったはずだが…」

女豹魔法戦士ウェイナさんも留守かー。

え? 客人。

「世の中凄い奴がいるよなあ…オレが力比べで人間に圧倒されるなんて。」

「なんか、どこかの貴族だって言ってたぞ。」

ええ? そんな凄い客人?


村長さんからお土産を預かった。先生と神の化身ハイエート兄妹へ。

ハウンドホワイト、ここは頼むぞ。

っておまえ、その位置取り。

村長宅の庭にあるハイエートの像の横に狛犬のごとくびしっとお座り。

弓を引き絞る狩猟神の化身、そのわきに控える忠実なる猟犬。

うーん、調和してる! センスいいなお前!?


その後、ひた走って今度は大街道関所へ。

焼けたまんまのカフェと焦げ付いた軍用獣機、鉄蜘蛛が痛々しい。

飛行ユニットと捕虜はすでに到着済み。

「どんな具合です? 何か情報は?」

「なかなかに頑固ですよ。隊長クラスともなると…」

なるほど、平兵士とは違うか。

「逆に言うとそれだけ何か知ってるってことですがね。」

悪い笑みを浮かべる優男チャラ男騎士。

「方法はいくらでもありますので、2,3日中には成果が出ると思います。」

クズノハさんも何だかすごく楽しそう。

よろしくね。


ここからは飛行ユニットで戻るとしよう。

「これはすごいですな。王都までだってひとっ飛びですね。」

感心するクリプス騎士。

「そういえば、ミーハ村の女戦士が通りませんでしたか?」

「なにか、客人を連れてレガシに向かったというんですが…」

「いえ、ここのところ通関業務は開店休業で…フリーパス状態でして…」

うん? でも貴族とかだったら顔ぐらい出しそうだが…

あえて避けた?

王都の貴族じゃないのかも…

イケメン店長騎士に別れを告げてレガシへ戻る。

よし出発だ。

高機能接続モードではなく、普通の輸送モードでね。

『高機能接続モードが利用可能です』

いやいや、また外れなくなったら困るし。

『……』

ヘルプ君?

ええ? 不満? 不満なの?

途中、小街道をレガシに向かう2騎の馬を追い抜いた。

ウェイナさん?

でも、この状態、説明するの厄介だし…まあ、すぐレガシで会えるか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ