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レガシへの帰還2


レガシの街に帰還した先生たち。


連れ帰った獣機たちを遺跡に収納すると、先生の家まで戻る。

と、イーディさんが来てた。

「お帰りなさい、先生、デイエート。」

じろりと睨みつける。

ああ、ベータ君に危ない事、させちゃったもんな。

「お、おう、イーディ。ただいま。」

先生、腰が引けてるぞ。

「あれ、僕は?」

スルーだ。ハイエートお兄ちゃんはスルーされた。

「うーん…」

先生がうなりながらチラッとディスカムを見る。

「キラ、マビ。僕らは家の片付けに戻ろう。」

察しのいいやつ、ディスカム。

サキュバスおっぱいとは名残惜しいだろうに。

3人がいなくなると、イオニアさんもデイエートも居心地悪そう。

お兄ちゃんエルフは、ベータ君の話なら自分も当然って顔してますがね。

「わたくしも…」

「いや、イオニアにも話しておこう、この際。」

「デイエートも知っちゃったしな。」

「まあ、そのほうが良いですね。」

イーディさんも承諾だ。

「アイザックを街に引き戻したのは、ベータの固有魔法。」

器機召喚アポーツだ。」

全然知らなかったのはイオニアさんだけだ。

さすがに驚いた。

「す、凄い! ベータ君すごい魔法ですね。」

それだけに、色々ヤバいので隠してた。

「知ってたのはイーディ、私、ハイエートだけだ。」

「え? ハイエートさん、知ってたんですか?」

びっくりしたのはベータ君。

「実は一番最初に気づいたのは僕なんだよ。」

「赤ん坊の頃のベータ君がオモチャの弓で遊んでて、」

「飛ばした先から矢を引き寄せてるのを見てね。」

ふふーんって自慢げな顔でイーディさんの方を見る。

マウントとりに来てるぞ。

ぐぬぬって口惜しそうな顔するイーディさん。

何やってんだろうね、この二人。

「そうだったんですか…」

納得顔のイオニアさん。

「実は、お前にも固有魔法がある。」

「え?」

「【重力】というのを操れるらしい。」

「重力という言葉はアイザックから聞いたんだがな。」

重力についてちょっと俺から説明。

「じゃあ、あの時のあれって…」

「あの時?」

お屋敷襲撃の時、ゴリ獣機の攻撃を防いだ一件を先生に説明。

「なるほど、被甲身バンパーと合わせてそんな使い方があったか…」

「この力、魔法的にはともかく、物質的、科学的にはすごくとんでもない力だ。」

「だから、おまえ自身にも教えて無かった。」

「気づいたのは私と、アイザックだけだ。」

お嬢様、思わず俺(タマちゃん)の方を見る。

「落としたカップが必ず割れるのは、この魔法のせいですよ。」

「ああ!」


今後は、無理に隠すことはないけど、積極的にはアピールはしないという方針に。

「よし、後は工房へ行っておやっさんに報告。フロ! メシ! 寝る!」


工房では職人衆が大歓迎。

すでに新しいメカを連れ帰ったことが話題になってる。

女騎士が馬獣機で乗りつけたせいで、大いに期待が高まっていた。

工兵機サテュロスの事か? 北遺跡に置いて来たが…」

がっくり、 (´·ω·`)ショボーン!

すごすご解散、職人衆。


工房へ来る途中でお店によって組合長も同行してもらった。

おやっさん、タモン兄貴、そしてビクターさん、エアボウド導師。

そして食堂の隅でご飯食ってるのは女騎士。

泊まってた宿が半壊してたんで行くところがないそうだ。

大変ですね。(他人事)

ビクターさん、メガドーラさんにびっくり。

おっぱいにびっくりしたわけじゃなくて。

「バッソ侯のお母上ですか!?」


今後のことを相談する。

組合長、メガドーラさんから一番離れて座ったね?

「では、大街道関所の軍用獣機は片付いたのですな。」

あきれたようにビクターさん。

「いやはや、この街の住人は…桁外れですなあ。」

「だが、このままではすまんじゃろ。」

「王都の制圧が完了すれば次は湾岸都市、バッソ侯爵を攻めるだろう。」

「レガシも放っておいてはくれんだろうな。」

「とにかく、王都の情報が欲しいが…頼みはクリプスだな。」

「ミネルヴァか犬獣機に伝言を頼むか…」


「おい、クラリオ!」

先生が宿なし女騎士に声をかける。

「ふあい!」もぐもぐ「ななな、なんでしょ?」

「タモン殿に【人間】のことは話したか?」

「い、いいいえ、ちょっと、どうしていいかわからなくて…」

「そうか。」

タモン兄貴、けげんそうな顔。

「何の話です。」

「アイザックも話してないんだな。」

腕組みする先生。

「うーん。」

周りを見回す。まあ、それなりに人がいる。

内緒話のできる状況じゃないね。

「明日、遺跡に来てくれ。話しておくことがある。」

デイエートが大きなあくびをした。

お前なー。

「先にお風呂入ろうよ。」

「早く家に帰って、寝たい。」

マイペースだなー。


まあ、そうだよね。今夜くらいはゆっくりしよう。


「あー、メガドーラ、お前どこ泊まる?」

「なんじゃあ? お前んちに泊めてくれんのか!?」

「いや、イオニアがいるし…」

「そうですね、それはまずいですね。道徳的に。」

組合長とビクターさんが同調した。道徳的に!?

お嬢様に夢幻投影しちゃう?

「じゃあ、お前んとこに泊めてくれるかの? ナシオナル大公爵さま?」

「やだ! 絶対ヤダ!!」

何があったんですか? 組合長!


「じゃあ、キララのとこに泊めてもらうかの。」

いやいや、それはまずい! おもにディスカム的に。

そうこうしてるうちに、マビキラ、ディスカムもお風呂にやって来た。

なんやかんやで、ディスカムはおやっさんちに。

メガドーラさんはマビキラんところに泊まることに。

ドアとか壁とかツギハギだけどね。

食堂に集まっちゃったんで先に食事、その後お風呂ってことに。

お姉さまと、先生と、待望のご一緒入浴にお嬢様の目つきが妖しい。

いや? 夢魔女王のサキュバスボディにも興味津々。

タマちゃんボディはすっかり警戒されちゃったんだけど…

どっちかっていうとこのヒトの方が危なくないですかね?


女湯から聞こえるきゃっきゃうふふな声。

先生お背中流しますわ、お姉さまもお疲れ様、

今度はわたしが洗ってやるよ、あら、いやですわそんなとこ、

あん、ちょっとそこは敏感だから…、きゃっきゃうふふ!

「ナビンの娘か、顔は似なくて良かったなあ。」

てなこと言ってるのはメガドーラさんだな。

「儂らが風呂入ってるとよくナビンとプロフィルがのぞきに来たもんじゃが…」

何やってんだよ、七英雄!

「もちろんエアボウドもな!」

男湯に聞こえるようにでかい声。

たぶん、生臭賢者ずっこけた。

お年寄りが風呂場で転ぶと危険ですよ。

転倒による死者は交通事故による死者より多いですからね。

ま、男湯の音、聞こうとは思いませんがね。


待合室で球形モードに変形して静かに耳を澄ます。

きゃっきゃうふふ。

動かざること玉のごとし。

まあ、となりでミネルヴァが見張ってるしね。


「あ、ミーちゃん、タマちゃん…アイザックさん?」

おう、タンケイちゃん。タオルとか抱えてる。

今日はお風呂当番ですか?

「今はアイザックです。」

「そ、そうなんすか?」

すいませんね、システムが複雑で。

「導師たち、帰って来たんすねえ。」

心配かけたね。タンケイちゃんにも。

「実は今日、お屋敷の再建で下見にいったんすよ。」

ほほう、ビクターさん。動いてるね。

「それでですね。兵隊さんがいる間は無理だったけど…」

「今日は、壊されたケロちゃんやミーちゃんの体の部品を拾えるだけ拾って来たンす。」

おう! そうか、獣機の例からいくと使える部品はあるはずだもんな。

「後で、確認して欲しいっす。」


湯上り先生とイオニアさん、自宅に戻る。

ほかほか、色っぽい。

「スッキリした。やっぱり家はいいなあ。」

ここ数日、イオニアさんが泊まっていたからキレイになってるしね。

お嬢様は、先生とお泊りでちょっとウキウキ。

ミネルヴァは止まり木にとまってすでにスリープモード。

俺も球形に変形してスリープしよう。

「早く本体が治るといいな。」

ご心配おかけします。先生。

「タマちゃんじゃマッサージしてもらえないからな。」

あー、はいはい。

……待てよ。お嬢様が先生んちにいるうちに本体を回復させれば…

お嬢様を揉めるんじゃね?

そうだよ! きっと先生が勧めてくれるよ。

気持ちいいからお前も受けてみろ的なこと言って!

ヘルプ君、どうなの? 回復具合どうなの?

『順調に回復中』

頼むよ、ハリーハリー!


ベッドはお前が使え、いえいえ先生が、わたしは床に毛皮敷くから、

いえいえ、やっぱり先生が、てなやりとりがあって…

「じゃあ、一緒に寝るか。」

本懐! お嬢様、本懐! 同衾!

さすがに先生、いつもの裸族じゃなく、下着一枚身につけるだけの分別はあった。

一緒のお布団、お嬢様ドキドキだぞ。

先生が、静かにイオニアさんを引き寄せた。

「王都がああなっては…お前も今までどおりと言うわけにはいかんだろう…」

「もう少し、のんびり暮らさせてやりたかったが…」

「先生……」

先生の胸に顔をうずめるイオニアさん。

肩を震わせているように見えるのは将来への不安だろうか?

それとも、先生の心遣いに対する歓喜だろうか?



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