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報告会



組合長の恥ずかしい過去やベータ君の秘密が明らかになった。

破損した俺ボディはとりあえず遺跡に収納することに。


「ええーっと? そうすっと今のタマちゃんは、タマちゃんじゃなくて…」

「アイザック本体が、タマちゃんの口?を借りて話してます」

「ややこしいっす!」

タンケイちゃんも頭抱えた。

「飛行ユニットの装備、ありがとうございました。」

「何なのかわかんないっすけど…役に立ったんすか?」

「ええ、すごく役に立ちました。」

ゲス野郎をぶっ飛ばしたからね、粉々に。

使いどころがむずかしいよなあ、ミサイル。

たぶん、爆弾はもっと威力あるよな?


さて、職人衆とタンケイちゃんがやりたい放題で改造した遺跡。

この世界、遺跡保護とかいう概念は、まあ、あんまりない。

もっとも、ダンジョンクエストとか墓泥棒の遺跡破壊そのものだしね。

今度の工事は、もともと獣機の部品とかを保管するのが主目的だった。

入口から搬入用の可動パレットがレールの上を通って下りエレベータへ続いてる。

そこから下に降りる。

すげえな、この仕掛け。

「ベータ、タンケイ、そっち持って。」

もともと俺魔道機体本体が保管されていたと言う、玄室っぽい場所に運びこんだ。

うーん、おさまりがいいね。棺桶とベストマッチ。

この先には、壁画とか、封印付きの扉とかがある。(13話参照)

「ここは変わってなくて、ほっとしました。」

まあ、お嬢様は来たことあるんだよな。先生の弟子だし。

「貴重な遺跡なのに…こんなにいじっちゃっていいんでしょうか?」

うん、不安に思ってるのは俺だけじゃなかった。

ミネルヴァが不満そうな声でタマちゃんな俺に話しかけて来た。

棺桶の上で鳥メカに話しかけられるムシメカ。

なに、この風景!?

「いつ頃動けるようになりますか?」

「魔道機体本体による承認が必要な案件がたまってるんですけど。」

ええ? 何そのお役所っぽい発言。

そう言えば、協定がどうとか…

「あと、実は…ですね、見てもらいたいものが有るんすけど…」

何、何か言いにくい事? タンケイちゃん?

「しばらくイオニアさんが隠れるかも…って話をきいて…」

「居住可能スペースを拡大するために、ちょっと掘り広げようってことになったんすけど…」

ああ、貴重な遺跡をね。勝手にね。

お嬢様、ベータ君、兄貴も微妙な顔してるな。さすがにね。

やりすぎかなあって。

ちょっと戻って…通路に板が立てかけてあるな。

「ここなんすけど…」

タンケイちゃんが板をずらすと…

通路? 通路があるぞ? 仕事早すぎない?

「ここの壁だけ板壁で…」

他はみんな石造りだもんね。

「外せば掘れそうだってことで兄弟子たちと…」

掘っちゃったのか。

いや、だけど…土はついてるけど…ちょっと奥は石造り?

しかも、その先に通路が続いている。

これ、板壁と土で隠してあっただけで、元から通路だよね。

ずーっと続いている、奥まで。はるか奥まで。

「なんか、他の遺跡か何かとつながっちゃったみたいなんすよ。」

ハロー、となりの大迷宮?

「こ、これ、さっき組合長が言ってた魔王の大迷宮?…ですよね。」

ベータ君、うなる。

キラすけ言うところの【冥刻界の女王神殿(ヘルズパレス)

レガシの街の地下全体に広がっているらしい。

発見したときはただの遺跡の隠し通路だと思ってた、と。

「まさか、伝説の大迷宮につながっちゃうとは…」

頭抱える兄貴。

「魔王? 大迷宮?」

イオニアさんが首かしげる。

はてさて、どこまで話して良いもんだか…

先生が帰ってくるまで、保留かな。


「ところで…」

なんざんしょ? お嬢様?

「エルディー先生やお姉さまはどうなってるんです?」

あー、そうだった。

色々あり過ぎてどこから手をつけていいやら…

とにかく、遠征の結果や獣機の顛末について報告会を実施しなくては。


「ここ、食べるものが何にもないにゃ!」

「寝具もありませんし…」

スカジィちゃん、サジーさん困ってる。

「救護院か、工房か? ま、工房だな。」

「炊き出しくらいはあるだろう。」

兄貴を護衛としてイオニアさんもメイドーズもタンケイちゃんと一緒に工房へむかうことにした。

モアブの残党が居るかもしれないから、ミネルヴァに上空から偵察してもらう。

まあ、お嬢様の防御魔法があるし、ベータ君も護符を取り寄せ済。

襲う方が気の毒な感じだけどね。

留守番はベルちゃんお願いね。

「ウチの肩に乗っかるといいすよ、アイザックさん。」

うれしいこと言ってくれるよ、タンケイちゃん。

おっぱいの上でたわわチャレンジでもいいんですよ。


途中、葬儀屋の前を通るとちょうど組合長が出てきた。

「ちょうどいいところへ、工房長のところで今後の相談をしましょう。」

みんなでゾロゾロ工房へ向かう。

? キラすけ、何でお前ついてくるの?

ぴったり組合長に張り付いてる。

「いや、さっきから……観察?されているみたいで…」

ああ…黒いの的には「魔王」が気になって仕方ないのか?

アイドルおっかけ的な…ストーキング?

迷惑かけんじゃないぞ。


工房の食堂に全員集合。

なんでか黒エルフもいるぞ。職人衆も集まって来た。

目、キラキラさせてるな、デイシーシー。

ビクターさんも来た。がっくりした様子。

さすがに丸焼けになったお屋敷はショックだったらしい。

ま、みんなでご飯食べながら情報交換。

え? まず、俺? この状態(タマちゃん)で?

「エルディー先生と一緒に獣機の本拠地をつきとめました。」

「獣機の管理者と交渉の結果、犬型獣機がヒト族を襲うことは、もう有りません。」

皆からどよめきが起こる。

「しばらくすれば犬獣機本来の姿、ケルベロスとほぼ同じ状態になるはずです。」

おおー、っと職人衆から声が上がる。

詳しい事は先生たちが戻ってからってことで。

ちょっと、デリケートな内容もあるからね。

「エルディー先生、ハイエート兄妹、クラリオ騎士全員無事です。」

お針子さんや食堂の女性陣から安堵の声。

ハイエートファン、百合系デイエートファン半々てとこか。

一部男性からも上がったような気がしましたが…どっち?

キラすけもほっとしたな。

先生、もうじき帰ってくるからな。


「あの、でっかい獣機は犬獣機とは関係ないのか?」

「別物ですね、自律行動はしない様ですし…」

「戦争用…だな、あれは…」

苦虫をかみつぶしたような表情のタモン兄貴。

モバリックは300体あると言ってた。

王都の制圧、湾岸都市への攻撃、その他の都市のこともある。

全部レガシに投入できるはずはない。

だが、正直、あれが何十体も来たら、さすがに対応しきれないぞ。


組合長からは、いつでも避難できるように準備しておくように、と指示。

もともと、この街…この世界の住人は自立意識が高い。

そもそも、行政ってもんがほぼ存在してないし。

自分のことは自分でやる人達だしね。

職人衆や一般住民はいったん解散となった。


「さて、どうしたもんか…やつら、また来るぞ。」

エアボウド導師。

「関所に居る奴らもどうにかしないと…」

兄貴。

「アイザックの修理が終わらんとどうにもならん。」

「当座の防衛は飛行ユニットで可能です。」

「ま、エルディーが帰って来てからだな…」

おやっさん。

「とりあえず、お嬢様の住むところを何とかしませんと…」

ビクターさん。

あー、そうだね。北遺跡は住むにはちょっとね。

「他にも家のない人がいますな…」

組合長も思案顔。

「ディスカムくんは入院中、マビカさんは救護院で付き添いしてもらうとして…」

「キララさんはどうします?」

「ふひ!?」

救護院、けっこう混んでるとのこと。満床。

生き残りのモアブ兵もほっとくわけにいかないしね。

宿屋はどうなの?

え? 半壊? 

ああ、ゴリラ獣機にやられて俺が突っ込んだの…宿屋かあ…

あの宿屋、実はオーナーは組合長。

ベータ君が提案。

「エルディー先生が居ないのですから…」

そっか、先生んちが空いてるよ。

「着替えも先生のを借りればいいですし。」

「なるほど、でも警備が問題ですな。」

イオニアさん、キラすけが先生の家に泊まることに。

警備にはミネルヴァとベルちゃん、と俺(タマちゃん)。

いや、まあ、ミネルヴァとタマちゃんの戦闘力には不安が残りますがね。

ビクターさんは馬車を乗り付けて中で寝るとのこと。


「お嬢、お風呂入るっし。」

おいおい、デイシーシー、何でお前残ってんの。

「そっすね、それがいいっす。」

タンケイちゃんも同調。

庶民ご飯を美味しそうに食べてたお嬢様。

「お風呂!」

ビクターさんがちょっとあわててる。

「入ります! 入りますわ!」

念願の庶民お風呂。大衆浴場。

イオニアさん、むふーって顔だ。嬉しそう。

いいですね! 高貴なお嬢様が初めて庶民とご一緒入浴。

羞恥心で真っ赤になっちゃう?

いや、それとも高貴スタイル?

洗ってもらうのが当たり前?

猫耳メイドーズに隅から隅まで?

これは確かめる必要があるっ! ありますとも!


がしっ!

あれ、ミネルヴァ? なんでオレのこと抑えつけてるの?

フクロウモードの猛禽類レッグでタマちゃんボディを捕獲。

『させませんよ。』

あ、ちょ、痛い。痛いって!




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