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お屋敷攻防戦


ミネルヴァからカロツェ家お屋敷の状況が、現在までの記録も含めて送られてきた。


モアブ兵は日のあるうちに焼き討ちの準備を進めていた。

工房から焚き付け用の粉炭や石炭、油を鉄蜘蛛に乗せてお屋敷の近くまで運ぶ。

作業を始めたのは深夜過ぎ。草木も眠る丑三つ時。

焼き殺すのが目的だから眠りが一番深い頃、と言うわけか。

母屋の周りに焚き木、石炭を積み上げ、油をまく。

ところが兵士は人間なので夜目が効かない。

カンテラの灯りを頼りに苦戦しているようだ。

音を立てないようにしていることもあって、時間がかかっている。

そのためかゴリラ獣機も作業に加わった。

軍用獣機は暗視能力があるらしく暗闇の中でも余裕で作業をこなしている。

こいつらの作動音は驚くほど静かだ。

何らかの魔法処理がされているのかもしれない。

そう言えば、犬獣機も壊れてさえいなければ無音動作するもんな。

まあ、ボストンダイナミクスの牛ロボみたいに騒音をまき散らしてたんじゃ歩行兵器としては失格か。

ちなみに、鉄蜘蛛は結構すごい騒音立てる。


ミネルヴァ、タモン兄貴、ケルベロ2号は夕方から近くの民家に身を潜めてスタンバイ。

具体的に言うとデイシーシーんちですがね。

モアブ兵が積極的に探していないこと、ミネルヴァが空から偵察できることがあって、兄貴が移動中に見つかることは無かった。

陽が落ちるとともに身を隠してお屋敷に接近。

兵士たちを監視していた。

お屋敷の中でもビクターさんや従業員が逃走準備を整えているはず。

「まずいですね、軍用獣機が3体も集まってしまいました。」

ミネルヴァの言葉に兄貴が答える。

「作業用に使えば便利だもんな。」

「しかし、工房の見張りを兵士だけに任せて抑えられると思ってんのかね?」

「武器を取り上げたことで十分だと思ったんでしょう。」

兄貴、自分の鉄棍をなでる。

「武器ねえ…工房の中は武器だらけだけどな。」

「そのぶん、工房の方は楽になったでしょうけど…」

「この将機ボディには戦闘力はありませんし…」

「ミネルヴァは敵の動きを見て、獣機に指令を出す方法ってやつを探ってくれ。」

おやっさんの言われて気づいた。

命令さえ防げばゴリラ獣機は動けない、はず。

「てっきり犬型獣機と同じ電波式だと思ったんですが、そうじゃないみたいです。」

「行き当たりばったりの作戦だが仕方ない。」

イオニアさんが殺されちゃってからじゃ遅いからね。

「とりあえず全員ぶっ飛ばせば何とかなるだろう。」

兄貴も意外と乱暴だ。先生に影響されたんだろうか?

まさか、穀物ドーピングの副作用なんてことは……

護符を1枚、取り出して額にかざす。

「何です?」

「暗視魔法さ、以前エルディー導師にもらったんだ。」


動きがあった。

兵士の一人が火炎魔法で松明に火をつける。

お屋敷に近づく、着火マン。


その瞬間!

街の方から閃光が上がる。閃光輝ライトニングだ。

そして、町内放送。合図だ!

「ぴんぽんぱんぽーーん、ざざざ」

「こちらは町内組合です、ぴー」

「ただいま、カロツェ家お屋敷で住宅火災が発生しました!」

「ぶつぶつ、ぴー、消防団はただちに出動してください。」

兵士たちが動揺する。

え? 俺たち、まだ火つけてないよ? てな感じ。


「よっしゃ! いくぞ!!」

兄貴が鉄棍をひっつかんで駆けだす。

後に続くのはケルベロ2号、ベルちゃん。

ケロちゃんのかたき討ちだ!

ミネルヴァはその場待機。ヘッドバードを分離!

上空からゴリラ獣機の操縦者を探す。


お屋敷の玄関扉が吹っ飛んだ!

火をつけようとしていた兵士が巻き込まれる。

同時に2階の窓が吹っ飛ぶ。

窓から光の矢が放たれる。

エアボウド導師のマジックアロー!

目標は兵士、ではなくてお屋敷の塀。

周囲、何ヵ所かに炸裂して塀をぶち破る。

警備側に脱出経路を絞らせないためか!?

脱出! 先頭はもちろんビクターさん!

鬼人ハーフの全力戦闘、手には槍?

手近な兵士を軽く突き伏せる。

モアブ兵は軽装鎧を装備しているが、突きの前にはあまり意味がない。

そしてこの槍、刺すだけじゃなく斬る用の刃も付いている。

両鎬りょうしのぎ、大刃の槍!

刺す! 突く! 斬る! 殴る! 払う! 

血しぶきが上がる! いや、これが血煙ちけむりって奴か!


ビクターさんにお嬢様が続く。

今夜、お屋敷に残っていたのはビクターさん、お嬢様、ネコミミメイドーズ、ジジイ。

生臭導師は二階の窓からバンバン魔法を放つ。

マジックアローにファイヤボール、アイススラッシュ!

「ぎゃああー!」

「うわあああー!」

兵士たちから悲鳴が上がる。


「弓隊!」

誰かの叫び声で、弓や弩弓を持った兵士が駆けつける。

街には100人近いモアブ兵が進駐していた。

だが、救護院、マビキラ宅、工房にけっこうな人数が取られている。(そしてやられた)

この焼き討ち作戦、逃走防止にお屋敷をぐるりと取り囲んだために、一か所ごとの配備は薄くならざるを得なかった。

駆けつけるのにタイムロス。

だが、それでもイオニアさんに向けて矢を放つ!

被甲身バンパー! 防御魔法発動!

お嬢様は命を狙われていた。

当然、先生は防御を重点的に指導する。

デイエートとともに野外訓練もつんだ。

その力量は実戦馴れしていない王都の魔道士を凌ぐほどだ。

詠唱魔法の遅延発動と無詠唱魔法の同時発動。

サジーさん、スカジィちゃんもフィールド内に囲い込んで防御。

通常の矢など届くはずもない。

もちろんそれだけじゃなかった。

やはり先生の弟子だ、普通の使い方で満足するはずがない。

次々に魔法障壁を発動!

駆けつけ、追いすがろうとした兵士がいきなり出現した魔法壁に激突してぶっ倒れる!

これはイヤらしい、けっこう性格悪い魔法だわ。

そして、兄貴が参戦!

なるほど、塀をぶち壊したのは兄貴が入れるようにってのもあったわけね。

うなる鉄棍! 一振りで3人が巻き込まれて吹っ飛んだ!

「元王軍将軍、タモン・ギャザズ見参! 死にたい奴! かかってこい!」

大音声だいおんじょうで名乗りを上げる!

兵士たちがひるむ。誰でも知ってる大英雄。

たぶん憧れでさえあったはず。それが今は敵!

その大英雄の傍らには二つの首を持つ魔犬!

復讐に燃えるベルちゃんの猛攻!

ダブルヘッドアームを開くと高速回転!

ダブルぶんぶんハンマーアタック!

当たるを幸い殴り倒す!

もう半数以上が戦意喪失。

魔道士は? ああ、最初っから逃げ腰、参戦すらしてねえよ。


「獣機! 獣機を使え!」

これは、モバリックの声? どこだ?

ゴリラ獣機が起動。

ミネルヴァ、操縦者は見つかった?

『いません、それらしいのは見当たりません。』

くそ!

巨体に似合わぬ機敏さで突進! 危ない!

エアボウド導師渾身の連続攻撃が炸裂!

さしもの軍用獣機も揺らぎ、尻餅をつく。

だが、その間に、屋敷の反対側を見張っていた獣機が側方から迫った。

「お嬢様!」

ビクターさんの悲鳴に近い声!

ゴリラ獣機、横殴り! 払うように振りぬく。危ない!

イオニアさんが被甲身を発動!

だが、重量が違い過ぎる!

被甲身は衝撃を吸収することは出来ても質量を遮断できるわけじゃない。

どんなに頑丈な防弾チョッキを着ていてもトラックにはねられたら終りなのと同じだ。

だが!

本人も無意識に、予想される衝撃に対して踏ん張ろうとしたのだろう。

死地の中、自己防衛本能によりお嬢様の固有魔法が発動した!

重力魔法グラビトン

被甲身のフィールド全体が高重力に引かれ、見かけ上の質量が増加!

地面に埋め込まれた鉄柱を殴ったかのようにゴリラ獣機の腕が跳ね返された!

す、すごい!

お嬢様自身もびっくりしてるぞ。


「うわっちゃちゃー、熱いー!」

実はなんやかんや、戦っているうちに火が広がっていた。

お屋敷炎上! あちゃー!

二階からエアボウド導師が飛び降りる!

「とおっ!」

歳に似合わない掛け声。

危ねえ! ジジイ! 大腿骨頚部骨折、必至!

ラ○ダーキックは仮面ラ○ダーだから出来るんだぞ!

着地寸前、送風魔法で軟着陸!

そこへ、オレ到着!

『オレも操縦者を探す!』

ほぼ同時に、工房から援軍が到着した!

おやっさん、ダットさん! 職人衆!

そして運んできたのは【穴あけ器】

ミネルヴァの将機ボディが使っていたケース型ビーム銃。

雀竜のウロコやら何やらの穴あけ器として使ってた。

てっきり工作機械だと思ってモアブ兵も見逃していたのだ。

当初の予定では工房での戦闘でも使用するつもりだった。

だが、後で聞いたところによると、使うまでもなく決着がついたと言う。

職人衆は作業中とか、作りかけとかいって武器を大量に隠し持っていた。

新発明、新設計、考案、試作したけど使う機会が無かったやつとか。

実戦で使ってみたくてうずうずしてた新兵器が大量に投入された。

モアブ兵はなすすべなく駆逐されたと言う。

怖いわ! 職人衆!


「ミネルヴァ! どこ!?」

「ダットさん、こっちです!」

ヘッドバードの指示で、合流!

「待ってました! これでボクも戦えます。」

ミネルヴァ、将機ボディと合体。

穴あけ器として使用するために接続されていた魔力変換器を外す。

ケース型ビームガンを手首のマウンタに装着。

コネクタ接続!

今のオレ、タマちゃんはミネルヴァと情報共有中。

ミネルヴァの感覚がそのまま伝わって来てる状態だ。

接続したとたんに新たな視界が表示される。

ケースガンの照準カメラ映像だ。

超広角と望遠のダブルイメージ。

切り替える必要は無い。人間じゃないんだから。

「行きます!」

お屋敷の庭に飛び出すミネルヴァ。

「な、なんだ?」

気づいた兵士がとまどいの声を上げる。

無理もない。外観的には華奢な人形。

しかもマントは脱いじゃったから、裸だしね。

一瞬で照準をセットするとケースガンからパルスビームを連射!

裸ドールと機関銃!

と言っても弾をばらまくわけじゃない。

すべての照準が正確無比。はずれビームはない。

一連射でモアブ兵がバタバタとなぎ倒された。

『か・い・か・ん…』

いやいや、ミネルヴァ、どこで仕込んで来たネタなの?

だが、これはもう戦闘じゃない。

虐殺!

悲鳴を上げて逃げ惑う。大混乱に陥った。

ゴリラ獣機も動きを止めた。

屋敷の裏側を見張っていた人数が駆けつけたが、理解するまもなく撃ち倒された。

一緒にやってきた3体目の軍用獣機も棒立ち状態。

操縦者を倒したのか? いや、混乱しているだけか?


この間にお嬢様がたは塀の外へ脱出。

そこへ駆けつけていた馬車にのって全速力で離脱。

もちろん御者はアトラックさん。

このまま、北遺跡に向かってもらう。

イオニアさん救出は完了したが、作戦が終了したわけではない。

ゴリラ獣機の動きを止めなくてはならないからだ。

「軍用獣機を放棄してください。」

「さもなくば、全員射殺します!」

この辺、ミネルヴァ容赦ない。

「助けてくれー」

「俺も入れてくれー」

「開けろ! 乗せろー!」

隅っこで震えていた魔道士たちやパニック兵士たちが駆けよったのは……鉄蜘蛛!

その下部ハッチのあるあたりに駆け寄って必死にボディを叩いている。

しまった、そういう事か!

「ミネルヴァ! 操縦者は鉄蜘蛛の中だ!」

『あ!』

迂闊だった。ゴリラ獣機の印象が強すぎたのか。

鉄蜘蛛を単なるトラック扱いしていた。

コイツだけでも十分な脅威だと言うのに。

そして、鉄蜘蛛の中にいる奴は他の兵士を見捨てたようだ。

すがりつく兵たちを振り払うように移動を開始。

やはり、操縦者とモバリックは鉄蜘蛛の中に逃げ込んでいる。

ゴリラ獣機が動いた。

ミネルヴァが走る。速い!

ええー? そんなスピードあるなんて知らなかったよ。

行く手をふさごうとした軍用獣機をケースガンで掃射!

だが、ビームが拡散反射! 通じない?

そうか、どっかで見たような色の装甲だと思ったら…

雀竜のウロコと同じ色だ。

おそらく、参考にして開発された耐光線装甲なのだろう。

『やっぱり通じませんか、なら!』

わきをすり抜けると標的を変更。

「こっちだ!」

鉄蜘蛛にビーム連射! 

周りにたかっていた兵士を巻き込んで鉄蜘蛛下部の半球形部分、コクピットがあるはずの場所にビームを集中する。

あ、ちょっと待って。

そこ、換装してあるんだよね? 魔力仕様に。

以前調査した奴だと、換装前は核動力だったぽい感じだったけど…

まさか、そのままなんてことは…

ゴリラ獣機の1体が動きを止めた。

両前足をついて静止。鉄蜘蛛内の操縦者を仕留めたか? 操縦器を破壊したのか?

鉄蜘蛛も停止、ダンパー動作で沈み込むように動きを止めた。

ミネルヴァが続けて連射!

2台目を打ち抜く! 鉄蜘蛛自体は停止した。

だが、ゴリラ獣機は残り2体とも動きを止めない。

『止まらない?』

「操縦者の残りは二人とも3台目の鉄蜘蛛に乗ってるんだ!」

あれ? この鉄蜘蛛…ちょっと他とちがうぞ。

かなり細身って言うか…獣機っぽい?

そして色が…

続けてケースガンを連射するミネルヴァ、だが!

ビームが拡散反射される! こいつ、軍用獣機と同じ装甲だ!

『え? 反射? この鉄蜘蛛…新型?』

危ない! ミネルヴァ!!

2体の獣機が一斉にミネルヴァに向かう。

掴みかかる!

身をかわし、離脱をはかるミネルヴァだったが…

握り込んだ指に足が挟まれた。

そのまま腕を振り上げる獣機。

『あああー!』

悲鳴!

叩きつけた! ばらばらに吹っ飛ぶ将機ボディ!

「いやあーー!」

「ああ!」

「うお!」

ダットさん? おやっさん? 兄貴?

悲痛な声があがる!

残りの兵士たちを掃討していたケルベロ2号がかけよってきた。

だが、軍用獣機はそれを無視して向きを変える。

3台目の鉄蜘蛛はおそらく当時の最新型鉄蜘蛛だ。

地球側の技術だけじゃなく、魔道機としての技術が入ってる。

残り2体のゴリ獣機も付き従うようにして移動を始めた。

街の方に向かう。


いかん、作戦は失敗した。街が危ない。

追うよ、ミネルヴァ!


そう、将機ボディは破壊されたがヘッドバード、ミネルヴァは無事だ。

叩きつけられる直前に分離した。

『ボクの身体があああー!』

『あのクソ獣機! ぜったい許さねえ! ぬっ殺す!』

言葉使い悪いよ。どこでおぼえてくるの?

オレ、タマちゃんとフクロウ型ミネルヴァは鉄蜘蛛と軍用獣機の後を追う。

「迂闊だった。、まさか新型鉄蜘蛛とは。」

『装甲だけじゃなく駆動系も新型の様です。』

今までの鉄蜘蛛は、俺の知ってる地球技術の延長でできていた。

だが、この新型は魔道機文明の技術が入ってる。

脚とか関節とかが獣機っぽい。

もっと注意深く観察すべきだった。

えっこらしょ! とりあえずゴリラ獣機の後頭部に取り付く。

ミネルバに比べると飛行速度は遅いんだよね、タマちゃん。

今夜のことで、レガシにいたモアブ軍はほぼ全滅。

残りは鉄蜘蛛に乗っているやつだけ。

詰め込んで4人ってとこか。

その中にはモバリックの野郎も居るはずだ。

どうでるか? アイツ。


獣機2体と新型鉄蜘蛛は街に入った。

白々と明るくなってきた。

鉄蜘蛛に比べるとゴリラ獣機は足が遅い。

それでも、人が走って追いつけるほどじゃない。

巨体で通りがいっぱいになる。

建物の軒にぶつかって被害がでているが気にする様子は無い。

向かったのは、組合長のお店か!

この街の代表者は組合長ってのがモバリックの認識。

実際、なんやかやと交渉したのは組合長だしね。

店の前まで来ると、鉄蜘蛛の脚を振り上げて軒の屋根をえぐった。

「出て来い! 組合長!!」

あー、そういえば…オレ、組合長の名前知らないや。

モバリックも知らないみたいだ。

崩された軒先も、立ちふさがる巨体も、まったく気にする様子もなく組合長が出てきた。

「乱暴ですなあ、何かありましたか? サー・モバリック。」

いつもどおり、飄々とした佇まい。

鉄蜘蛛のハッチが開く。

モバリックが降りてきた。

髪を振り乱し、剣を持っている。

竿男優的な芝居がかったとこや皮肉な笑みは影を潜めた。

怒りで青筋立ってる。

「とぼけるな! よくもやってくれたな!」

剣を突きつける。

「イオニアはどこだ!? どこにかくまった?」

「言わねば、この街を破壊しつくしてやる。」

「おや、工房の協力を得られなくてよろしいので?」

遠征の意図を見透かされてさらに逆上するモバリック。

「かまうものか! これだけの兵を失っては俺も処分を免れん!」

兵隊が死んだことではなく、自分の経歴に傷がついたんで怒ってる訳ね。

わかりやすい下衆野郎でゲスな。

「せめてもの憂さ晴らし、お前らの守りたいものをぶち壊してやる!」

「言え! イオニアはどこだ!?」

剣を突きつける!

「いや、私に聞かれましても…」

まったくひるんだ様子が無い組合長。豪胆にもほどがあるぞ?


視界の隅に…ベータ君? 思いつめたような表情。

何か手に持ってる。あれ? それ、先生に渡したお守りのプレートじゃ?

ぎゅっと握り締める。

再び手を開くと…プレートが2枚に…増えた。

手品? 2枚目のプレートには何か傷がついてるよ。歯型?

「先生の許可が! アイザック…さん、来て!!」

ベータ君が叫ぶ!

え? 何?


モバリックが酷薄な笑みを浮かべる。

「そうか、お前が知らないというなら、他のやつに聞く事にしよう。」

「お前は……見せしめだ!」

組合長の胸に深々と剣を突き込んだ!



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