女子会に参加するよ
帰り着いたのは深夜。たぶん。
時計、というかこの世界の時間の単位すら知らないな。俺。
教会堂にはかがり火がたかれていた。
室内の明かりは、例の魔法ランプか?
「戻りました。」
タモン兄貴と兄エルフが駆け寄ってくる。
「無事か? 遅いから心配したぞ。」
「よかったー。」
「こちらは無事ですか? 獣機が2体向かったようでしたが。」
「大丈夫だ。1体は倒した。」
「もう1匹は急に引き返しちゃったんですよー」
自動帰還モードか。さっきの奴かな。
「こちらは、予定通り塚を破壊しました。」
「鉄蜘蛛は崖から転落、たぶん破壊できたと思います。」
教会堂の中でおやっさん、先生、組合長も交えて皆に報告。
遅くなったのは山向こうの塚も破壊してきたから。
移動に時間がかかったことを説明。
「あきれたな、なんともすごい奴だ。」
「これで当分、安全だと思いますよ。」
「すごいです、アイザックさん!」
少年エルフもいる。後ろにピッタリお姉さんがくっついているけど。
「あ、姉です。」
思いついたように紹介。
「ベータの姉、イーディと申します。」
「姉さんも先生の弟子なんですよ!」
「弟子だった、です。」
冷たく訂正。
すらっと背が高い、短めの銀のストレートヘア。
ドカンと突き出すところは無いが、締まったウエストと合わせて十分な起伏。
きっと手のひらサイズ。
すっぽりおさまるけど、このくらいがちょうどいい。
そんな安らぎサイズ。
そうに違いない!
「回復魔法の使い手だ。そこに関しては、もうわたしより上だな。」
回復魔法!
私の魔法で回復してあげる、もう1回できるでしょう?とか言われたい。
「自慢の弟子だよ。」
「自慢はしないでください。」
おっぱいは安らぎサイズだが言葉に棘がある。
棘があるぞ、お姉さん、チクチクだ。そして先生はスルー。
「アイザックです、よろしく。」
あ、また頭下げちゃった。やっぱり変な顔された。
身に着いた習慣は変えられないなあ。身は変わっちゃったけどね。
「おやっさーん、だったらもう安全? ウチ帰れるんすか?」
巨乳ドワーフもおやっさんの後ろでふらふらしている。
危ないな、そのおっぱい。
ぶつけたら、けが人が出るから。
「明日はいつもどおり! 工房は開けるからな。遅刻すんな!」
ブラック! おやっさん、ブラックすよ。
組合長が立ち上がる。
「じゃあ各自帰宅ということで。」
おやっさんとアニキに後を託すとふらふらと去っていく。
「私はこれから本業ですんで。」
「組合長と言うのは?」
「ま、本業が暇なんでいろいろ街のことを押し付けられておるんだわ。」
「傭兵の取次とかまでやってもらってますからねー。」
結構大変そうだな。
「本業は何を?」
「葬儀屋じゃ。」
あー……
「では、皆を解散させましょう。」
アニキが立ち上がる。
「ワシも工房の連中を帰すとしよう。」
「タンケイ! お前も帰っていいぞ。」
おやっさんとアニキが行ってしまう。
「ふいいぃ~。」
ロリ巨乳ドワーフ、おやっさんが居なくなったので一気に気が抜けた様子。
椅子に座り込むと、机につっぷ……
ドスンと胸をテーブルに置いた! ドスン!
「疲れたっす。」
胸の上にあごを乗せてるぞ!
タンケイちゃん、イーディお姉さんが合流したので女子率アップ。
で、なんとなく女子会的な雰囲気に。
兄エルフとベータ君は混じっても違和感ないしな。
「ああ、湯浴みがしたいなあ。」
先生が大きく伸びをする。
「ドワーフ工房の湯屋は再開するの?」
妹エルフがロリ巨乳ドワーフに尋ねる。
風呂屋があるのか? 異世界混浴か?
「火を落としちゃったんで…早くて明日の夕方すかね。」
と、タンケイちゃん。
「先生…ずっと遺跡に泊まり込んでましたよね?」
少年エルフがなんだかすごい顔だぞ。
「え、ああ、まあ。5日くらいかなあ。入ってないのは…」
全員引いたぞ。異世界的にもヤバいレベルらしい。
いや、昨日の段階で5日って言ってましたよね。6日め。いや、朝になれば7日目。
「家に帰りましょう。すぐ沸かしますから!」
「はいはい。ベータも一緒に入るかあ?」
「入りませんよ! 子供じゃないんだから!」
ニヤニヤしながらイーディお姉さんに投げる。
「そうなのか?」
「小さい頃は私が洗ってあげたのに…」
「ね、姉さん、そういうことは…」
焦りまくるベータ君、かわいいのう。
だが、混浴習慣はないのか、残念。
「で、いつまで一緒に入ってたんだあ?」
さすが先生。セクハラどころを逃がさない。
俺も知りたいなあ、ニヤニヤ。
どうして一緒に入らなくなったのかな~?
「や、やめてくださいよ。」
真っ赤になっておねショタ姉を制止する少年エルフ。
そして俺は見逃さない! デイエート妹エルフ。
おまえ、今、何か言いかけてやめたろ。
入ってるんだな、一緒に、今でも。ハイエートお兄ちゃんと!
「ぼくらは一緒に入ってますよ。」
言っちゃったよ、お兄ちゃん。
みんな、凍り付いてるぞ。
「大物狩りに出かけると何日も家に帰れないですからねえ。」
「水浴びできる機会も、そう無いですし、恥ずかしがってる場合じゃないですから」
ナイスフォロー!
そうだよね!
アウトドアサバイバルライフ状態じゃ、恥ずかしがってなんていられないよね。
羞恥心がどうとか言う方がエッチだよね。
妹エルフのささやかちっぱいとかつるつる(想像)アソコとか。
ちらりと見えてしまっても仕方ないよね!
……あ、脇の下のことですよ。
お兄ちゃんの顔に似合わないたくましいアレとか。
つい気になって横目で見てしまっても仕方ないよね!
……あ、大胸筋のことですよ。
それだ!という顔するおねショタ姉さん。
ベータくん、お姉さんから狩りに誘われるぞ、2、3日中に!
それは仕方がないことなんだ。
一緒に水浴びすることになっても仕方ない。
洗いっこするうちにお姉さんの柔らかいところが当たってしまっても仕方ない。
そのせいで、キミの柔らかいところが硬くなってしまっても仕方ないんだ!
「で、アイザックはどうなんだ?」
ありですよ! 妹エルフのちっぱいも、姉エルフのやすらぎおっぱいも!
「水は大丈夫なのか?」
ああ、そっち。
大丈夫、保護等級指標IP68ですよ。
6は耐塵性能で粉塵が侵入しないことを、
8は防水等級で水没状態で浸水しないことを表しているんですよ。
だから、お風呂もOKです、先生。
お背中流しますよ。前も洗いましょうか?
奥まで優しく洗ってさしあげますよ。
「水中でも大丈夫です、耐えられる深さや時間の限界はわかりませんが。」
「そうか。」
風呂掃除させようとか、洗濯任せられるなとか、思ってる顔だな。
「まあ、ベータも家に帰れ、ゆっくり休め。」
「風呂は自分で入るから…」
ウソだね!
「そうします。」
答えたのはお姉ちゃんでした。
「先生! ちゃんとお風呂に…」
ベータ君、引きずられて、行ってしまいました。ドナドナ。
「それじゃ、僕らも。」
兄妹エルフも席を立つ。お兄ちゃんの腕に抱きつくようくっつく妹。
一緒に寝るのかな? 今日は怖かったから一緒に寝ていい? みたいな。
お兄ちゃんの背中広いね、もっとくっついていい? とか?
爆乳ドワーフもふらふらと立ち上がった。
「明日もいつもどおりなんすか? お休み欲しいっす…」
ぶつぶつ言ってる。おやすみ。
あ、人妻エルフ、デイヴィーさん。ミニイたんはおんぶ。
熟睡してるね。よだれよだれ。おやすみ。
あれ、そういえば旦那さんは?
主張中? 未亡人?
「お前はどうする? 」
え? いや、まだ知り合って1日ですし。
でも奥さんがさみしいっておっしゃるんなら…
「とりあえずは、わたしの家に来てくれ。」
ああ、先生。ええ、はい、とりあえずは。
「お世話になります。」
「ところで…」
ニッコリ顔でエルフ先生。
「お前、家事とかは得意?」
やっぱりか!