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破壊するよ


地形と道に関する簡単なレクチャーを受けた。

魔法ディスクを収める革製のウエストポーチみたいなのをもらう。

手持ちの武器は…ロケッ○○ンチの邪魔になるかな?

どっちみちうまく使える気がしない。手ぶらで行こう。

走り出す。行って来ます。


機械は休まない?

それは俺も同じだ。

今は俺がター○ネーター!


地形は…、カメラ? ソナー? レーダー? スキャナー?

なんだかわからないが確実に把握してくれる。最適な走行。

例によってマルチタスク。誰かが運転してくれているみたい。

完全自動運転が実現していたらこんな感じだったんだろうか?

まあ、もう俺がそれを見ることはないだろうけど。

この間に自己チェック。

武器ライブラリ

「ビーム」「ロケッ○○ンチ」…はまずいよな。

何か名前を…「ナック○○ンバー」同じやん!

『どっちの?』

え? 誰? もちろん鋼鉄ジ○グの方だよ。

待てよ? 片腕ずつ発射できるから……ネオゲ○ターの方?

「なんとかフィスト」「フライングアーム」?

インパクトが無いな。パンチが効いてない!

ぶはは、うまいこと言った。

漢字で? 「飛翔拳」チガウナー。

拳骨げんこつ! 拳骨シュート! 

…あんまりだあ~、ひどい、いくらなんでも…

「拳骨シュート!」あれ? 「拳骨シュート!」

あれれ、採用されちゃった? インパクト重視?

変更変更!

『変更はひと月に1回まで』

マジかよ! そんなあー!


む、電波発信体が2体、街へ向かった! 獣機か。

今はタモン兄貴たちに任せるしかない。

だが、どうも変だ。獣機側の対応。

基地局を防衛するなら戦力を分散させるのはおかしい。

ヒト族を襲うのが目的なのか? 他に目的があるのか?

ちぐはぐな感じ。

こちらとしては獣機が減るのはありがたい。


山頂に到達する。移動基地局はすぐわかった。

でかい! あれが、鉄蜘蛛か!


違う、獣機とは全く! まず大きさが違う!

獣機とは1/12アクションフィギュアと1/4ドールくらい違う。

え、たとえが変?

じゃ、1/144リアルグレードと1/35ジャンボグレードで。

それどころか、大きさとか形態とか以前にコンセプトが全然違う!

獣っぽさが欠片もない。獣機じゃなくて重機!!

建設用とかそんなの。ごっつい6本脚。

シンプル! 獣機の関節の持っているような複雑さ、自由度は皆無。

グリコのおまけをパーフェクトグレードサイズで作ったような感じ。

チューブとかシリンダーとか球体関節とかなし。ただの回転軸関節。

その組み合わせで意外なほど素早く器用に動いてる。

6本脚をすべて伸ばし、伸び上がるように立ち上がった。

すごい威圧感。

…でも、それだけ? 武器とかは?

ごつい脚部分に比べ、上に乗っかるアンテナは貧弱。まさに骸骨。


巨体の陰から獣機が飛びかかってきた。2体。

俺の足を狙ってきた? 動きを止めるつもりか?

戦法を変えてきたな。

でも、付き合うつもりはないんだなあ。

ジャンプしてかわすと同時に両腕を発射。

拳骨シュート!! うああーかっこ悪いネーミング!

片腕は獣機にヒットするが、もう片方の狙いは別。

飛んでいく腕が握っているのは、雷魔法のディスク。

鉄蜘蛛の上のアンテナ群に突っ込む。

ディスクを折って置いてくる。

3つ数えて投げてそれから発動だと、合計5秒くらいか?

来た! 雷神槌サンダーボルト!!

電光がアンテナを包む!


ゆっくりと、鉄蜘蛛が座り込む。

ダンパー付きか。

2体の獣機も動きを止めた。圏外。

と思ったらてくてくと山頂に向かって走り出した。

リズミカル。足並みそろえてすごくのんきな感じ。

段差を一つ登ると、急に元の動きに戻った!

自動帰還モードか? 

電波が途絶すると、自律的に基地局側へ移動するようになっているのか?

だが、もう敵じゃない。電波のないこちら側には来れない。

図らずも帰還モードのせいで境界線が明確になった。

ビームランプが過熱したのは切断に使ったから。

短時間のパルス発射にすれば連発も可能だ。

弱点もわかった。腰の関節に打ち込む。

見ると狙うを区別しない! 

『普通当たるものでしょう?』

お兄ちゃんエルフの境地。

2連射で2体の動きを止める。

圧倒的じゃないか!


ジャンプして鉄蜘蛛の上に乗る。

アンテナをへし折る。突き崩す。引きちぎる。

基部に箱があった。回路ボックスか?

蹴り飛ばして、できた隙間に手を突っ込んでこじ開ける。

当たり、コードと、基板。

あー、雷神槌、全部使っちゃった。

3枚で殺せるとか、先生が言うからー

え? ディスクに描かれた魔法陣が画像再生された。

そういえば、きれいだからじっくり見てたよ。

と、同時に右手の甲にその魔法陣が浮かび上がる。

「ピロリーーーン」

うわ来た。

『雷神槌を習得しました』

ええ、魔法もいけるの? 凄いぞ俺!

でも、折れないじゃん! 起動呪とか聞いとけばよかった。

え? 魔法陣に描いてある?

取扱説明書付き? グッジョブ! 先生。

ボックスに手をぶち込む!

雷神槌サンダーボルトおおー!」

気合が入る!!

発動しない!?

『おおーが余計』

すいません。

雷神槌サンダーボルト!」

電撃でボックスが火を噴く。


勝ったな。

アンテナやボックスの残骸をけり落とす。

鉄蜘蛛の上が真っ平らになった。

真っ平ら? 荷台? どこにもコードもチューブも出ていない。

これ? トラック?

アンテナと繋がっていない?

基地局とは完全に別物? 載せてただけ?


再起動した!

電撃のノイズでバグってただけ?

リセットして復活したのか!

走り出した。

街とは反対側。元の基地局方向。

このトラックがあれば、いつまた急襲作戦が行われるかわからない。

なんとか破壊したい。

先回りして基地局を… だめだ! 自動帰還モードがある。

獣機と違って装甲に隙間とかない。

そもそも、ほとんど金属の塊で装甲ってレベルじゃない。

関節も隙間一つない。

地形チェック! 崖とかないかな?

突き落として…ってサイズが違い過ぎる。進路変更とか無理。

あそこ、崖だよね…

やってみるか。


6本脚だけど直進してるとき使ってるのは4本だけ。

前側は首風に、後ろ側はしっぽ風に上げている。

首をつかむ、腕を切り離す。後ろに移動。

しっぽをつかむ、腕を切り離す。

鉄蜘蛛から飛び降りる。

並走しながら、崖の脇を通るタイミングで…

拳骨シュート点火!! フルパワー!!

でっかいねずみ花火、無茶苦茶な方向へ噴射。

鉄蜘蛛の制御系、頑張った。でも、脚踏み外して崖下へ。

転げ落ちる! 自重も加わってすごい衝撃。

もげた! 足もげた! うわ、岩崩れた!

俺の両腕は、踏み外した瞬間引き戻したから無事。

物凄い音。土煙。やりすぎた感。


少しの間呆然としていたが、気を取り直して…

夕日が沈む。1日しか経ってないんだよな。

仕事したなー。

向うの山の基地局の電波を観測。

もう一仕事しておくか。


山を超え、谷を超え、30kmくらい走りぬくと夜になった。

この機体に暗さは関係ない。センサー優秀。

あれ? 鉄蜘蛛トラックに乗ったまま運んでもらった方が良かったんじゃ?

段取り悪いぞ俺。

警護の獣機がむかって来たが、一切構わない。

脚は俺の方が速い。すりぬけて突進。

基地局に体当たり。アンテナを破壊。雷神槌をぶち込んだ。

ついでに炎縛鎖で焼き払う。

あ、走行中に炎縛鎖も習得済み。

破壊に5分とかからない。


そのまた向こうの基地局を観測、記録する。

次はお前の番だ! 首を洗って待ってろ。

今日はこのくらいにしといてやらあ!!

勝ったけど負け犬みたいな捨て台詞。


さあ、帰ろう。


あの街へ「帰る」と考えている自分に驚く。


圏外へ移動できない警護の獣機は置き去り。

途中、自動帰還モードの獣機1体とすれ違った。

街へ向かったやつか?

今は手を出す気にならない。

帰れ、お前も。




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