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召喚されるよ 前編


パソコンは自作派だ。若い頃はオーバークロッカー。

さすがに液体窒素は恐いのでドライアイス止まりだったけど。

そのうち、やれマルチコアだとかエンコーダー内蔵だとか、GPUコンピューティングだとかでオーバークロックする意味が無いんじゃね? すっかり萎えた。

そこへ降って湧いたのがマイニングブーム。久々にマシンを組んでまずはグラボ8枚挿。

出来上がった途端に仮想通貨大暴落! 萎えたわー。超萎えたわー。

どーするよ、このPC? 


友人が持ってきたのがNCCディープラーニングでAIに小説を書かせると言うプロジェクト。

リソース余ってんなら貸せや、と言われて色々ツールをインストール。

貸すだけじゃ面白くねえなあ、ちょっとカスタマイズしたれ。

データは無料のなろう系ラノベ。直木賞とか芥川賞とか、俺には関係ないしな。

「騎士団長殺し」よりは「女騎士団長くっ殺せ」のほうが好きだ!

最強のAIラノベで書籍化>コミカライズ>アニメ化、最終的にはハリウッドで実写映画化を目指す!|(壮大)

ネット小説だけじゃ新味がないか… よし、まず青空文庫。は、初期設定済みか…

次はマンガ、画像認識>テキスト抽出>OCRでセリフを学習。

さらに見るあてもなくHDDに溜め込んだアニメから音声認識>テキスト化

難しい事やってるようだが、実際にはネット上で大学や研究所、有志wが公開してるツールを組み合わせてるだけだ。

いや、これ、著作権は… いやいや、参考にしてるだけ。そんなこといったらマンガ読んで育った子供は漫画家になれない。そうだよね?


完成! スイッチオン! やりきったなあ。結果は…まあいいか。

趣味ってのは過程を楽しむもんだしな。


やれやれ、仕事が一段落した。そういえば、PCどうなってたっけ?

友人のプロジェクトに悪影響を与えていなきゃいいが、いやそれは始める前に心配しろよ。

ディスプレイON!

ディスプレイポート接続だといちいちウインドウ位置がリセットされるんだよなあ。

オーディオドライバーも停止してるみたいだし…

コマンドプロンプトウィンドウに履歴が表示されている。


「赤毛ツンデレを学習しました。」

「銀髪無表情を学習しました。」

「ハーレム展開を学習しました。」

「俺TUEEEEEを学習しました。」


ある意味、非常に順調に学習しているような…

最後の3行…


「異世界転生を学習しました。実行可能。」

「異世界転移を学習しました。実行可能。」

「異世界召喚を学習しました。実行可能。」


いや、学習の意味が違ってるような? 実行可能?

次の行が表示される。


「召喚リクエストを受諾しました。」

「異世界召喚シークエンスを開始します。」


は? 

40型4Kディスプレイ一面に赤いラインの円形幾何学的な見たことのない図形が表示される。

いや、見たことある。あれだ、よくある魔法陣的な…

人工知能怖い! ホーキング先生の言ってたことは正しかったよ!


異世界転移の元祖は火星シリーズのジョン・カーターだよね?


っと言うわけで、目覚めた俺が見たのはファンタジー感あふれる小部屋だった。


目の前にいるのは美人さん。金髪に白い肌、青…いや、緑の瞳に長い耳…

耳? 丸メガネをかけた美人女上司とか美人女教師とかそんなイメージ。いや、耳、耳! エルフ?

「起動した?」

顔を近づけて覗き込んで来る。

「聞こえるか? 聞こえるだろう! 見えるか?」

金髪をアップに、頭の右側にお団子にまとめている。

お団子でかいな。髪おろせばけっこうロングかな。

「言葉が通じるか?」

そういわれて気がついた。日本語じゃないぞ? なんで意味分かるんだ?

「あー、聞こえてます。見えてます。意味分かります。」

「おしっ! おーし、おしおし!」

コブシを腰に引きつけるようなガッツポーズ。小踊りせんがばかりに…

いや、踊ってますがな。

再び、くっつかんばかりに顔を覗き込んでくる。近い、近い、近い。

「私が認識できるか?」

あまりに近すぎるので手をあげてさえぎろう、と、動かないぞ。

バキン!

ものすごい音がした。右手が上がる。

金髪エルフ女史がものすごい勢いで跳び離れた。すごいジャンプ力。

え? 何か壊しちゃった? 右手を見る。

『なんじゃぁ、こりゃあーー!!』

自分の右手を見て驚愕する。篭手? 義手? ロボ??

金属製だ。ダークグレー、ちょっと青入ってる? つや消しで渋い感じ。

握ってみる、開いてみる、指一本づつ、数を数えるように折り伸ばしする。

スムーズだ。何の違和感もない。

音の原因がわかった。右手を固定していた留め金が壊れている。

留め金? 自分の状態を確認する。椅子に座った状態だ。

両手両足、腰、あと、たぶん首がゴツイ留め金で椅子に固定されている。

右手を上げたときに、留め金を固定するピンが折れてすごい音がしたわけだな。

「申し訳ありません、壊してしまったようです。」

エルフ女史が恐る恐ると言う感じで近づいてきた。

「破片とかで怪我したりはしていないですか?」

「そ、それは大丈夫だが… すごい力だな。」

「力を入れたつもりは無かったんですが…」

変な感じだ。普通にしゃべっているつもりなのに、聞こえている言葉も口から出ているのも日本語じゃない。

誰かが同時通訳してくれているような… いや、むしろ洋画の吹き替えに近い感じ?

違うな、あれだ、映画館では字幕版を見てきたのに、家に帰る頃には記憶の中で吹き替えになっちゃっている。

あの感じがリアルタイムで起こっている、そんな感覚。

…やべえ、不安になってきた。「Stevie Wonde??」が「目が見えないのか?」とか

「Let's party!」が「勝負しようぜ!」とかになってたらどうしよう?


「敵意はあるか?」

いや、初対面の美人さんに敵意なんかないですが… 

改めて自分の状態を確認する。

椅子に金具で固定されている。椅子じゃないな。鉄製だ。

拘束台とでも言うべきか。あれ? 俺って危険な存在?

「敵意はありません。状況の説明を希望します。」

漠然とした質問だな。ちょっと考える。

「私はいったい『何』なんでしょう?」


エルフ女史はボツボツと説明してくれた。はじめボツボツなかパッパ。

理解具合を確かめながら話し始めたが、こちらが理解していることを確認すると途中からノリノリ! 

「きみ、と言うかこの? 魔道機体は古代魔法文明の地下遺跡から発見された古代文明の遺産だ。まあ、その遺跡は要するにここなんだが。」

遺跡? ベッドとか机とかあるんですけど?

「いやいや、改造して研究室にしちゃったけど、保存すべきところはちゃんと保存してあるから。」

「まあ、家に帰るのが面倒になってそのまま寝るとかあって、ベッドとか私物とか持ち込んじゃってるけど。」

「熱中すると家に帰る間も惜しくてな、そういえば5日くらい風呂に入っていな… 」

おい、ちょっとこのエルフ…ズボラ?

周囲を見回すと…窓が無い。なるほど地下か。

灯りは白い炎を出すランプ? 壁に何箇所も据えられている。こんな炎見たことない。魔法?

「そう、この遺跡から発見された古代文明の遺産。ヒト型魔道機体。」

「私は、長らくその起動方法を研究していたのだが、知られている魔法起動法ではどれも効果が無くてな。」

「ある時、発光魔法による魔力光を照射することで、機体の表面に魔法陣が浮かび上がることに気づいて」

「この魔法陣はかつて発見された召喚魔法…召魂魔法と共通点があることがわかった。

「そこに着目した私はこの機体が一種の召喚装置を兼ねているのではないか、と考えたわけだ。」

「なぜ人型の魔道機に召喚魔法が必要なのか?」

「これはすなわち起動に必要なものを召喚するために付いているのではないか?」

「人型であることから考えるとそれは… 」

「『魂』なんじゃないか? と結論付けたわけだ!」

ドヤ顔すごい!

「魂を召喚する魔法は宗教的な理由もあって多くの国で禁止されている。」

「アポロン教会の連中は目の敵にして文献とか破棄しちゃってるんでけっこう苦労したんだよな。」

「いやいや、ウチでは禁止されてないし、信者じゃないから問題はないから。」

「ばれなきゃいいんだし!」

「そして今回、数々の試行の末についに招魂魔法の起動に成功したのだ!」

エルフ女史は感慨深げに胸を張る。

アンタのせいか! 

「しかし、実際のところ、この機体から発した招魂要請を受け入れてくれる魔法機が必要。」

「だれか、別のところでキミを送り出してくれた魔道士がいるのかもしれないな?」

え、俺のせい!?


「あー」

急に思いついたように尋ねてきた。

「ところでキミは… その、名前とか前世の記憶とか知識とかそういったものは…

どうなっているのかな?」

緑色の瞳が黒くなった。瞳孔が大きくなったのだ、強い興味を示す兆候だ。

ついでにエルフ女史の眼鏡が凸レンズであることを確認。老眼鏡??

あれ? どうしてそんなことがわかる? 俺の目が良くなって…いや、視覚が鋭敏に?

どこまで本当のことを話すべき?

「名前は…AI…アイ…相ザ…キ…」

あ、サキは上が大の「崎」じゃなく立のサキね(環境依存文字) 

チッチッチッ!サキじゃなくてザキ、濁るんですよ。

あれ?下の名前?なんだっけ…

俺? 俺は… 記憶?

「アイザック、か、名前はわかるんだな?」

知識はある。社会や歴史、友人や職場の記憶もある。だが自分自身のことがひどく曖昧だ。

脳? 脳が違うせい? 

「すいません、記憶は曖昧です。知識については判断を保留します。」

「うーん、まあ賢明だな、私が敵か味方かわからんしな。」

さっきも出てきたな、「敵」 敵がいるのか… この世界。

「すいませんが、何か鏡のようなものがあれば見せていただけませんでしょうか?」

「鏡、そうか、自己認識だな。よーし、よしよし。」

ちょっとおっさん臭いな、このエルフ。見た目より年食ってるんだろうな。

「鏡、カガミ……えーっと…」

周りを見回す、けど見つからない。

「えーい、めんどくさい!」

何やらモゴモゴ唱えると、俺に向けて手を突き出した。

その掌に……鏡が出現! 魔法?

JIS B5サイズ、少年漫画誌くらいの大きさの鏡だ。

俺の顔が映る。俺の? 顔?

手と同じ、ダークグレーの……ロボですやん!

口も鼻もない。のっぺりとした曲面に目だけがついている。

どこからしゃべってるんだ? 俺。

目、って言うか…

横に伸びた逆5角形の白とも銀ともつかない横並びの2つのパネルが目っぽいというだけだが…

目の上、額の部分にハチマキ、って言うか武士の鉢金みたいな物がついている。

質感が違うな、ガラス? もしかしてこっちが目?

ヒーローロボというより、戦隊シリーズのザコ戦闘員みたいな雰囲気なんですけど…

まあ、仕方がない。

体も確認したいが、全身が映るほど大きな鏡とかは出来るんだろうか?

「全身? いや、鏡魔法はこれが精いっぱい。」

すげえな、エルフ女史。魔法使いか?

「この拘束具、まだ外してはもらえませんか?」

「うーん、すまない。それ、私じゃ外せないんだ。」

そういえば、すごいゴツイぞ、留め金具。

この機体が持つパワーを予想していたってことか?

つまりある程度情報があった。神話とか伝説的なものか? 

いや、同種の存在がすでに存在して…活動している?

「朝になったら職人を呼んできて外してもらうから。」

ん、と小首をかしげる。かわいい。でもたぶんババアだよな。

「でも、自分で外せるんだろ?」

「いえ、壊してしまうのは抵抗あります。」

考えてみると自分自身でも不安だ。主役メカが最初暴走するのはお約束だし。

幸い、鉄の台に身動きできない状態で固定されていても、痛いとか苦しいとかいっさい感じない。

このままでいいか。

金具を固定した職人がいるんだな。

つまり、この実験には協力者がいる。

複雑な実験なら人手があったほうが便利だろう?

それなのに、今現在、一人でやっているってことは…

「もしかして…危険な実験だったのではありませんか? これ。」

「あ? ああ、まあ…それなりに、な。」

エルフ女史が無意識に周りを見回す。

地下だと言っていたな、自爆装置とかあるのか?

都合の悪いことがおきたら、生き埋めみたいな?

うわ、怖っわ!

2023年7月追記

AIイラスト生成始めました。

無限ガチャでキャラ生成とかもやってます。

PIXIVに置いときますね。

https://www.pixiv.net/users/13237859

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