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だって天使だもん

 手を振って送り出してくれる天使リーンベルさんに癒され、ギルドを後にした。


 きっとリーンベルさんは子供が好きなんだろう。

 ゴブリン討伐頑張ったら褒めてもらえるかもしれないね。


 頑張ってゴブリンを醤油漬けにしてやんよ。


 異世界を過ごすためのお金稼ぎから、天使に褒められるためのゴブリン討伐に目的が変わった。

 やる気満々で西門へ歩き出していく。

 ちなみに、街へ入った門は東門だ。


 途中市場のような場所があったので、物の値段を確認しながら進むことにした。



『ニンジン2本-銅貨1枚

 癒しニンジン1本-銅貨3枚

 極・癒しニンジン1本-銅貨5枚』


 値段よりニンジンの名前が気になってしょうがない。

 この世界のニンジンはすごく癒される味なんだろうか。



『じゃがいも2個-銅貨1枚

 爆弾じゃがいも1個-銅貨3枚

 ダイナマイトじゃがいも-銅貨5枚』


 野菜なのか? 兵器なのか?

 このじゃがいもは、普通に食べていいのかわからない。

 茹でる時にじゃがいもが爆発しなければいいけど。



『タマネギ2つ-銅貨1枚

 金タマネギ1つ-銅貨3枚

 黄金タマネギ1つ-銅貨5枚』


 名前付けたやつ、ちょっとこっちに来い。

 タマネギでセクハラするとは何事だ?

 金タマネギを略したら大変なことになるじゃないか。

 本当に……けしからんやつだな。


 って、ダメだ。野菜の名前が気になって物価がわからない。

 聞き耳だけ立てて、歩きながら情報収集することにしよう。


「もう少しだけ安くならないかしら?」


「取れたての新鮮なハチミツだよー」


「オーク肉が最近入ってこないんだ。すまない」


「この間の金タマ美味しかったから2つもらうわ」


「昨日はウルフに逃げられた、今日は仕留めるぜ」


 ほらっ! 女の人が金タマネギを略して危ないことになってるじゃん!

 しかも2つ買わないで。

 どう食べたのか気になるよ。


 急に恥ずかしくなってしまい、僕は気が付けば西門に向かって走りだしていた。



 門に着くと、兵士さんにゴブリンのことを尋ねた。


「離れたとこにある森には近付くなよ、ウルフが出てくるからな」


「わかりました、ありがとうございます」


 ニュアンス的に『ウルフ > ゴブリン』の強さだろう。

 それならゴブリンは余裕で倒せそうだね。

 お礼をいって、門を後にする。



 30分ほど歩いていると、草原に2体のゴブリンを発見する。

 ゴブリンは1mほどの小鬼で、あまり強そうには見えない。

 いきなり2体は危ないかもしれないけど、そんなことは気にしない。


 天使リーンベルさんの笑顔がみたいんだ、2体くらい同時にぶっ飛ばしてやんよ。


 醤油をガンガンぶつけて、ごり押しでやってしまおう。

 今の僕にならできると思うんだ。

 なぜなら、天使のおかげで気分がハイになっているからね。


 ゴブリンに向かって走り出し、5mの距離まで詰める。

 これはゲームじゃないんだから、油断などしてはいけない。

 5mの近距離から先制の醤油攻撃だ。


「醤油解放!」


 ドバーーーッ


 ギャボッ


 ゴブリンは突然の醤油に驚くだけで対応できていない。

 全身が飲み込まれて醤油の勢いに転倒。


 一度状況を確認する。


 ゴブリンは口の中に入った醤油でむせたり、目に入ったりして苦しんでいた。

 圧縮しなければ威力は低そうだ。


 もう1度ゴブリンの顔面に容赦なく醤油をぶつけていく。

 すると、合計3回ぶつけたところで動かなくなった。


 あえて言おう、食べ物を粗末にしてはいけない。

 僕はスキルだからセーフなんだ、大目に見てね?


 ゴブリンの醤油漬けをアイテムボックスに入れて、またゴブリンを探しだす。



 おっ、すぐにゴブリン1体を発見。

 今度はウルフを倒した、圧縮醤油ビームを試そう。


 ゴブリンは「ギャギャギャ」と言いながら、近付いてくる。

 対抗して「ギャギャギャ」というと「ギャギャギャ」と返ってくる。


 どうしよう、ゴブリンとよくわからない会話をしてしまった。

 このゴブリンを倒して証拠隠滅をしよう。


 ギュッと醤油を圧縮して……解き放つ!


「醤油ビーム!」


 ブシューーッ


 ドンッ


 ゴブリンは10mほど吹き飛んだ。

 全く動かない、一撃だ。


 醤油がヒットした部分だけ、衝撃でくぼんでいる。

 思ったより強力。さすが醤油だ、強い。


 醤油が強いって、ちょっと何言ってるかわからないよね。

 でも僕は完全にマヒしてしまったんだろう、醤油だからなって思ってるよ。


 冷静に圧縮してわかったけど、圧縮して醤油を出すのは神経を使う。

 スキルが反発してくるような感じがして、ちょっと難しいんだ。

 しっかり意識してやらないと、うまく発動しない気がする。


 倒したゴブリンをしまおうとすると、遠くからウルフが走ってきた。

 攻略法がわかっているとはいえ、また戦いたくない相手だ。


 トップスピードで走ってくるウルフにカウンターで醤油を合わせるのは難しい。

 威嚇醤油で足をいったん止めよう。


 ドバーーーーッ サッ

 ドバーーーーッ サッ

 ドバーーーーッ サッ


 よし、ウルフも『コイツ変なやつだ』って目で見ている。

 その時点で君の負けは確定しているんだよ。

 戦いの雰囲気に飲み込まれた、哀れなウルフめ。


 1番哀れなのは、醤油で戦っている僕だと思うけど。


 ウルフは警戒しながらも飛び掛かってきたので、カウンター醤油ビームで倒した。

 やっぱり醤油は強い。ウルフなんて敵じゃない。


 1つ気になったのは、さっきの醤油ビームは圧縮がスムーズにいったことだ。

 慣れたからなのかな? ステータス伸びたのかな?


 ステータスを確認する。


----------------------


 名前:タツヤ

 年齢:10歳

 性別:男性

 種族:ハイエルフ

 状態:普通


 Lv:1 (MAX)

 HP:100/100

 MP:0/0


 物理攻撃力:100

 魔法攻撃力:100


 腕力:50

 体力:50

 知力:90

 精神:320000

 敏捷:70

 運:100(MAX)


【スキル】

 アイテムボックス、異世界言語


【ユニークスキル】

 調味料作成:Lv.2 1up new!

(料理調味料Lv.2 1up new!・お菓子調味料Lv.2 1up new!)


【称号】

 悲しみの魔法使い、初心な心


----------------------


【調味料作成:Lv.2】

 思い描くように料理調味料お菓子調味料を作成することができる。

 生成した調味料で料理を作ると、素材の味を引き出し、あらゆる効果を産み出す。


【料理調味料:Lv.2】

・醤油  ・ソース

・香辛料 ・卵


【お菓子調味料:Lv.2】

・砂糖

・チョコレート


----------------------


 やった! 【調味料作成】のレベルが上がってる。

 だから醤油の扱いになれた感じがしたんだろう。


 レベルが1でカンストしてるから、ステータスは変わらないけど。


 それにしても、卵とチョコレートって調味料なのかな?

 まぁチョコで味付けしたり、卵で味を整えたりするから調味料だよね。

 味をまろやかにするために卵を使ったりするし。


 料理の味を調えると書いて『調味料』だ、問題ない。

 うんうん、せっかく作れるんだから、そういうことにしておこう。

 気にしたら負けだ。



 ゴブリン討伐を繰り返しているうちに、気付けば10匹も倒していた。

 初めてにしては上出来だろう。


 問題は、気付けば辺りは夕暮れだったことだ。

 天使に指切りしてもらったのに、約束を破るわけにはいかない。


 急いで街へ帰ることにする。

 出会ったばかりの天使に怒られたくはないから。


 ……それはそれでありだけど。


 そういえば、今日の宿まだ取ってないけど大丈夫かな。

 そもそもゴブリンを倒して、いくらもらえるんだ?

 ヤバイ、不安だらけで夜を迎えることになったぞ。


 まぁ、1人で考えてもわからないし仕方ない。

 早く戻ってリーンベルさんに相談しよう。

 きっと力になってくれるはずだ。


 だって天使だもん。

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