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初めてのCランク依頼1

 マールさんとヒソヒソ話している間に、スズが依頼を選んでくれている。


 前もリーンベルさんにお任せだったからね。

 パーティになった今はスズにお任せだよ。


 しばらく経つと、スズが依頼書を持ってきてくれた。



 〇『Cランクモンスター』シルバーウルフ3体討伐

 1週間前から明け方にやって来て、畑を荒らしている。

 人が襲われ被害が出ているので、早めに対処してほしい。

 シルバーウルフは単体でもCランクモンスターになる。

 ※パーティ推奨



 ここから半日ほど歩いたところにある、『エンレイ村』の討伐依頼だ。

 Bランク冒険者のスズがCランク依頼を持ってきたのは、僕に気を使ってくれたのかな。


 リーンベルさんの元へ向かい、スズと一緒に受付処理をしてもらう。

 僕とスズのパーティ『ショコラ』の初依頼だ。


「スズがいるから問題ないけど、くれぐれも無理しないようにね」


「大丈夫ですよ。ウルフ系は得意ですから」


 ウルフには腐った卵最強説があるからね。


「「あのステータスなのに?」」


 2人でぼやかなくてもいいじゃないですか。

 低すぎてネタにするしかない的な雰囲気はやめてください。


 依頼受付を終えたら、宿へ戻って依頼で離れることを伝える。


 宿の夫婦はすごく心配してくれたよ。

 クッキーが逃げると思ったんだろうね。

 だって「クッキーを少し置いてってくれ」って頼まれたから。断ったけど。


 エンレイ村には『行きは馬車、帰りは徒歩』の予定だ。

 田舎の村へ向かう馬車は少ないため、1週間に1回しか出ていない。

 偶然にも今日、馬車が出発する日だったから、急いでスズと飛び乗ったよ。




- そのまま馬車で揺られること、約半日 -




 途中で馬を休ませるために、何回か休憩を挟んで進んでいった。

 何も問題のない順調な旅で、ギリギリ明るいうちにエンレイ村へ辿り着いた。

 スズは村に着くと、迷わず村長さんの元を訪ねる。


 出てきた村長さんにギルドカードを見せながら、


「Bランク冒険者、火猫のスズです。

 依頼を受けてきました」


 と、Bランク冒険者であることを伝えた。


 Cランク依頼でこんな子供が来たら、正直ガッカリするだろう。

 僕とスズは互いに身長が低く、見た目は二人とも子供。


 それなのに、村長は「あの火猫様が!」と歓喜をしていた。

 それを聞いた村人も「あれが噂の火猫様か!」「火猫様だって?」「猫神様か!」と、次々に集まり始める。


『火猫のスズ』のネームバリューが半端ない。

 僕の付き人感も半端ない。


 村長とスズは固い握手をして、村長宅で依頼の話をする。

 僕に握手がなかったけど気にしない。

 付き人だと思われてるだろうからね。

 あながち間違ってもないし。


 シルバーウルフの目撃者と村長から現状と被害について話を聞く。


「約1週間前から突如シルバーウルフが現れて、毎日のように畑を荒らしております。

 そればかりか家まで襲ってくるようになりまして……」


 村長と目撃者たちの話が長かったので、まとめようと思う。


----------------------


・毎朝シルバーウルフ3体が北側、もしくは東側からやってくる


・村の4割の畑が壊滅状態


・貯蓄していた食糧庫が襲われ始めている


・人的被害も出ている


・シルバーウルフが怖くて身動きが取れず、狩りに行けない


----------------------


 村に着いてから1時間ほど話が続いた。

 辺りはすでに真っ暗。


 この世界は娯楽が少ないため、夜に活動するのは酒飲みぐらいだ。

 でもシルバーウルフの被害が大きい状態で、酒を飲もうとする人はいない。

 家に灯りが付いていても、かなり静かな夜だった。


 依頼の話が終わって解散かと思ったら、スズが耳打ちをしてきた。


「肉、20キロ出して」


 スズの言う通り、僕は目の前に20キロのオーク肉を取り出す。

 ドンッと肉の塊がいきなり現れたため、村人たちは驚く。


「話を聞いて疲れた。

 代わりに料理してほしい。

 余った肉はあげる」


 狩りにいけない村人のために肉をわけてあげたいんだろう。

 やっぱりスズさんはイケメンだな。


「こ、こんなにですか!?

 ありがたい申し出ですが、いただくことはできません。

 料理はお作りいたしますから、残りはお返しいたします」


「持ってても腐る、処分するしかない。

 有効活用するべき」


 アイテムボックスに入れてあるから、腐らないけどね。

 僕は空気を読める男だから口に出さないけど。

 苦しんでいる村人に食べてもらいたいんだろう。


 村長は涙を流しながら、オーク肉を受け取ってくれた。

 僕が思っているより被害が大きいのかもしれない。


 あまりにもスズがイケメン過ぎるから、僕の存在がますます付き人になってしまった。

 誰も僕を見ちゃいない、ちょっと悔しい。

 ここはスズの存在に負けてはいけない気がする。


 対抗心が芽生えた僕は、【調味料作成】で唐突に塩を作り出す。

 いきなり現れた岩塩の塊に、村人と村長は驚いている。


「この前3トン見つけて腐りそうだから」


 よくわからない嘘をついてしまった。

 だが仕方ない、対抗したいんだ。


「はぁ~~~!! ありがとうございます!」


 ようやく村人が僕のことを認知してくれたようだ。

 スズみたいに崇められたよ、やったね。


 きっとスズのポイントも上がったと思うんだ。いい付き人でしょ?

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