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はじめての異世界召喚 35 開戦前2

お待たせしました。

一方で王都の前に展開させているプーランテ帝国の陣営では――――――――――


「何だというのだ、後顧の憂いを断ったというのに何が不満なのだ」


帝国軍四天王竜将軍シーラは王城の襲撃から帰還し、自軍の幕営で説明を行った。しかし、説明が終わった後に同僚に射殺すような剣幕で詰め寄られていた。


「不満も不満だ。報告にあった竜を殴り飛ばした男はアタシがもらうって、言っただろ」


シーラに詰め寄る女は、名をツバキと言いシーラと同じく帝国軍四天王である。そして、その額の中心からは一本の角が生えているため、普通の人間ではないことがわかる。それもそのはず、ツバキは人間ではなく亜人と言われる人種であり、鬼人族と言われる種類の人種である。鬼人族の特徴は見てわかる通りの額から生える角と、ほかの人種とは比べ物にならないほどの比類なき腕力である。性格はほとんどが竹を二つに割ったような者が多く、力のある者との闘争を好む。ツバキもその例に漏れず自身の故郷から一人旅を行い、プーランテ帝国に流れ着き自身の力を磨いているうちに四天王に至ったという経緯がある。しかし、最近は骨のある相手が見つからないためにフラストレーションが溜まっていた。しかし、今回の侵攻の際に起きた異世界召喚された者が竜を殴り飛ばしたとの報告を受けて、思う存分に戦える相手が来たと狂喜乱舞した。

だが、その存在もシーラの愛竜が灰にしたとの報告を受けて、怒り狂っていた。やっとこの乾いた心を潤してくれると待ち望んだ存在が、一瞬で燃え尽きて――――――――――実際には生きてはいるが――――――――――しまったのだ。


「そんなことは知ったことではない」

「何だと?」

「これは戦争だ、個人の感情でどうこうなるものではないということを理解しているのか?」

「あぁ、分かってるさ。だが、やるんなら暗殺者なんざけしかけて不意を突くようなやり方じゃなくて、真正面からぶつかった方が後腐れなくていいと思うがね」

「無駄に戦力を損耗させるよりかは、安上がりだとは思うが?」

「その安上がりの策も今回は大して効果はなかっただろうが。それどころか相手を逆上させて悪い方向に作用していると思っているんだが」


ツバキのその言葉にシーラは忌々しいとばかりに舌打ちをする。本来ならば城を竜で襲撃したあの瞬間に女王は息絶えていたハズだったのである。国家権力の頂点が死んだとなれば、どんな国でも数日は屋台骨が揺らぐものであり、兵の士気はだだ下がりである。しかしながら、女王は意識不明の重体ではあるが何故か生きており、イフラ王国の兵士たちは女王を殺されかけたということから怒り狂っているために士気が最高潮に達している。


「とりあえず、今回アタシの部隊は好きなようにやらせてもらう」

「待て、何を勝手なことを――――――――――」

「それとも何か? 今回の作戦の失態をあることないこと事細かく報告してやろうか?」

「………好きにしろ」


その言葉を聞いたシーラは不機嫌な表情になり、再び舌打ちをして天幕から去っていった。


「はてさて、これで残ってる楽しみは第一王女のヴェロニカ姫だけかー…。楽しませてくれよー…」


ツバキは後頭部に両手をあてて、天幕の天井を仰ぎ見ながらぼやいた。



そして、王国のとある場所では――――――――――


「この程度か、お前の覚悟は!」

「んなわきゃねぇだろうがァァァァァァァァァァ!」


蒼介と京平による殺し合いにしか見えない光景がそこにあった。事実、京平自身は着ている服はほぼ切り裂かれ、全身は傷のない場所を探す方が難しいほどにボロボロだった。それを優志、フランツ、スレイの三人はただ見ていた。


「京平が覚悟を決めたはいいが、蒼介のやり方がえげつないな」

「数日の短期間で強くなるにはこうするくらいしかないだろ」

『だが、京平の体力が持つのか?』


京平は蒼介に覚悟を問われた翌日、蒼介のもとへ行き自分の覚悟を聞かせた。しかし、その覚悟はこれから起こる戦争で命を奪う覚悟ではなく――――――――――


「オラ立てや、この程度でへばってるなら誰も守れやしないぞ!」

「当たり前だ! 決めたんだよ、誰も殺さずに守るって!!」

「だったらもっと来いや!」

「アァァァァァァァァァァ!!」


十代であるが故の青臭い理想論である。本当の戦場を知っている人間なら本来、一笑に付すだけである。しかし、四人は笑わなかった。


そして蒼介は言った、理想を叶えられるだけの力があるのかと。その言葉に京平は唇を噛み締めながら黙り込んだが、蒼介はその様子をあえて無視して言葉を続けた。ないのなら作ればいいと。それが今二人がやっていることである。


蒼介はただひたすらに京平の心をへし折ろうとしている。そのために刃を研いでいない刀を作り、何度も京平を打ち据えていく。それに対して京平は折れてなるものかとばかりに吼え、何度転がされても即座に立ち上がり向かっていく。何度もその繰り返しである。


「とりあえず、京平の仕上がりがどうなるかが肝だな」

「蒼介が面倒見てるんだぞ、出来る限りのことはするだろ」

「…(コクコク)」


決戦の時はもうじき来る。それまでに三人も準備することにした。

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