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はじめての異世界召喚 31 反撃準備

その場にいた騎士たちは怒りの声をあげる。


「あの侵略者ども! どこまで恥知らずな真似をすれば済む!」

「ここまでコケにされて黙っていられるか!」

「徹底抗戦だ!」


蒼介たちはその光景を呆れた目で見ている。


「何言ってんだかな」

「どういう意味だ!」


蒼介の呟きを聞いたのかその場にいる騎士全員が睨んできて、騎士の一人がドスドスと足を踏み鳴らしながら近づいてくる。


「どういう意味も何も、事実を言ったまでだ」

「貴様、訓練で我々いつもいつも勝っているから自分の方が上だと思っているのか!」

「当たり前だ、少なくともアンタよりかは強い」

「おの――――――――――」

「なら!」


本当のことを言ってもなお噛みついてくる騎士に対して蒼介は部屋全体を見渡してから言う。


「これだけのことできる相手から、自分を含めて他の奴を守れんのか?」

「ッ!」

「深い愛国精神に王への忠義と高いプライド、大いに結構! 俺にはそんなモンないから、羨ましいよ」


蒼介はそう言いながらも、目の前にいる相手を小馬鹿にしたような顔で見る。


「だがな、自分すら守れない奴なんぞに誰かを守ることなんざできないんだよ」

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

「重いな、それに何故か説得力が半端ないと感じるよ」

「当たり前だ、実体験を言ってんだぞ。それに俺は正義の味方じゃない、悪党の家の生まれだ。どうしようもない現実なんざいくらでも見てきた」

「そんなのが普通に高校生やってるとか、世も末だな」

「おい京平、どういう意味だコラ」

「ちょ、その顔で睨むな! マジでおっかないから!」

「カッカッカ、いいね。アンタら! 男な上に余所者である奴らが絶望してないうえにじゃれているんだよ、恥ずかしくないのかい!」

「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」


蒼介は噛みついてきた騎士を放って、未だに異形の残り香が残った顔で京平に向かって据わった目を向ける。その様子を見ていたカエラが笑い、絶望していた騎士たちをたきつける。それによって、わずかに底まで落ちていた士気が上がる。その様子を見ていたフランツはニヤリと笑い、便乗するように煽る。


「恥ずかしくないんでしょう、カエラ殿」

「ほう、どういうことだい?」

「暗殺者が来てからも遠巻きに見てましたし、蒼介が自由になってからも自分たちは手を出しませんでしたし」

「それは酷いね。ウチの騎士団は平和ボケでどこまで腰抜けになったのかね」

「挙句の果てに女王陛下どころか自分たちを余所者に守ってもらう始末! 対して防ぎきれないと分かっていながらも氷を出し続けたスレイに、特別な力を持っていなかった京平もせめてもの思いで女王の上に覆いかぶさって防ごうとしていました!」

「カッカッカ、国を守ろらなきゃならない王国騎士団の面目丸潰れだね!」


騎士団員は何も言い返せずにいる。ただただ俯いて手を握りしめている。中には唇を血が出るまで噛みしめている者までいる。その様子を冷たい目で見て、カエラは呆れて溜息を吐く。


「…何をやっているんだい、アンタら。余所者にここまで言われてまだ黙っているのかい」

「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」

「…何をしょぼくれてんだい小娘どもがァ!!」

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」


カエラは老いたその体から想像もできないほどの声量で黙っていた騎士たちを怒鳴り散らした。じゃれていた蒼介と京平も身を竦ませてそっちを向いた。


「本当のことを言われて何も言い返せないのはいいけどねぇ、何も言わないで腑抜けているんだい!」

「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」

「それにここまで男に言われて悔しくないのかい!? 悔しくないって奴は騎士の前に女である資格はないから、とっととここから出ていきな!」

「「「「「「「「「「………!」」」」」」」」」」

「ここで逃げるか戦うか…、さっさと決めな!!」


カエラの怒鳴り声に沈み切っていた騎士たちの士気が再燃する。帝国の暗殺者に守るべき主君を殺されかけたことに、ただただ恥じ入る。女王の命どころか自分たちの命すらも異邦人である男に救われ、何もできなかった自分たちに怒りが滾る。


「こ…い……う…」

「フン?」


「これ以上、コイツ等に任せてばかりでいられるか!」

「そうだ! ここは私たちの国だ!」

「一から十まで任せっきりにしてたまるか!」

「帝国の奴らを返り討ちにしてくれる!」

「やるぞ! お前たち!!」

「「「「「「「「「「オォォォォォォォォォォ!!!!!」」」」」」」」」」


王宮全体に騎士たちの怒号が響き渡った。カエラはその様子を見て凶悪な笑みを浮かべた。


「言ったね小娘ども、吐いた唾は呑み込むことはできないよ。分かったら反撃の準備だよ!」

「「「「「「「「「「ハイ!」」」」」」」」」」


その日から数日に渡り、王宮内部は眠ることはなかった。

そして、蒼介たちは――――――――――


「俺たち、空気だな…」

「…(コクコク)」

「どうするか」

「どうしようか?」

「それなら――――――――――」


――――――――――男五人で何やら企んでいた。

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