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はじめての異世界召喚 26 崩壊は唐突に3

「ありえない…。あの蛇の毒は一噛みでドラゴンすら動けなくなる上に常人なら即死モノのハズ、魔力の高い王族である女王がまだ生きているのならともかく何故キミが…」

「どうでもいいんだよ、そんなこと。それよりも散々やってくれたなぁ…」


大蛇の頭を細切れにしたらしき禍々しい大剣を肩に担ぎ、凶悪な表情を浮かべる。蛇の毒に侵されて衰弱している女王に一瞬だけ視線を向ける。蒼介は青褪めた顔の女王を一瞥して吐き捨てた。


「ヒトの金ヅ…、雇用主を好き勝手しやがって」 

「今、金ヅルって言おうとしましたよね!?」

「国のトップに対してこの言い様、間違いなく蒼介だ…」

「…(コクコク)」

「死霊かゾンビになったわけじゃなさそうだな…」

「フランツの世界にもアンデットはいるのか」

「そこー、一応今はシリアスだからね」


死んだと思われた蒼介の復活劇を前にそれぞれの反応をする面々。しかし、一番混乱しているのは毒蛇を使用した暗殺者であることは間違いない。


「何故生きている!? あの蛇に噛まれた時点で即死のハズだ!」

「だから、どうでもいいんだよ。散々振り回してくれた挙句に殺そうとした分の仕返しを何倍にもして返してやる!」


最初から質問に答える気はないとばかりに、蒼介が一歩を踏み出す。近づかれる度に暗殺者は後ずさりする。そんなことを何度もやっているうちに、ついに暗殺者の背が壁に密着して逃げ場がなくなる。

その体が一瞬硬直する。その隙を蒼介は見逃さず、担いでいた大剣をプロ野球選手も真っ青な速度で間髪入れずに投げつけた。暗殺者は大剣を投げつけてくるとは思わなかったが、なりふり構わず全力で横っ飛びになることで回避に成功した。大剣は壁に突き刺さり、部屋全体を揺らしながらヒビを壁に入れていく。

暗殺者は危機を乗り越えて生きていることに肝を冷やしていたが、即座にその場を離脱した。その直後に蒼介の鉄拳が振り下ろされ、今度は城全体が揺らされ床は陥没した。

暗殺者は悟った。一撃でも当たれば、命はないと。蒼介の復活から今の短い時間の中で冷や汗を滝のように流しながら暗殺者は生き延びる方法を考えた。迎撃か、撤退か。本来なら女王を毒で侵した上で首を斬って暗殺を行って撤退するつもりであったが、毒蛇を噛みつかせることに成功したために即座に撤退を選択。しかし、異界の魔法で作られた氷の壁により撤退は不可能。ごく短い思考時間で迎撃を選択した。

毒蛇を新たに喚びだして、蒼介に向かって噛みつかせた。その数は十数匹であり、すべてが違う種類である。その上に噛まれた時点で生きることを諦めろと言われる種類ばかりである。そのすべては余すことなく蒼介に噛みつく。暗殺者はほくそ笑んだ。だが、その笑みはすぐに崩れ去ることとなった。


「効かねぇなあ。同じ芸は飽きられるぞ、もう少し違うネタも考えろや」

「なッ!?」


蒼介は何ともないとばかりの様子で、乱雑に自身を噛んでいる蛇を引っ張って引き剥がした上で頭を踏みつぶして処理をした。暗殺者はもはやわけがわからなくなる。


「何だ、何なんだ一体キミは!? 噛まれたら即死の蛇の毒を何種類も受けていられる上に、国が総力を挙げて討伐するべき対象である私が喚び出したバジリスクを一瞬で切り刻んだその実力! 王国は一体何を呼び出した!?」

「知るかよそんなこと、だがあえて言うならテメーを殺す存在だ」


言い終えたと同時に蒼介は高速で暗殺者の目の前に接近し、蹴りを胴体に放つ。暗殺者は両腕でガードをするが、そんなものに意味はなかった。蒼介は両腕のガードの上から蹴りを見舞う。暗殺者は蹴られた勢いのまま飛び、壁に激突する。激突した場所が円形にめり込み、部屋全体がまた振動する。暗殺者はめり込んだ場所からふらつきながら降り立つが、その両腕はかろうじて見た目を保っていたが、その実戦闘不可能なまでに折れていた。


「くッ、両腕が…!」

「言っとくが俺の拳打やら蹴りはガード不能だ」


そう言った直後に蒼介による蹂躙劇が開始される。蒼介の拳が振るわれる度に部屋全体が揺れる。その光景を見ていた蒼介と手合わせを行ったことがある者は、戦慄していた。蒼介は今まで剣や槍だけでなく鞭や斧といった様々な武器を使って手合わせをしていたが、素手での戦闘は一度もなかった。もしもあの拳が自分に使われていたと考えると背筋が凍る思いであった。しかし、そんなことを思わない者が四人ほどいた。


「蒼介、今まで手加減してたのか…」

「そういうことになるな」

「…(ハァ)」

「クソが、この騒動が終わったら絶対にリベンジしてやる」


四人は怖れるどころか、嬉々としていた。その姿はまさに戦闘民族そのままであった。そして、蹂躙劇が始まってからしばらくが経ちフランツがあることに気付いた。


「なぁ、アレまずくないか…?」

「アレって?」


フランツの視線の先を三人は追い、そして目を見開く。


「俺と優志で蒼介を止める! 京平とスレイは護衛と一緒に女王を守れ!」

「「分かった!」」


蒼介が暴れたせいで大剣が刺さった場所から部屋全体にヒビが入り、丁度倒れている女王の真上の天井が落ちてきそうになっていた。蒼介はそのことに気付かずにただ狂戦士のように拳を振るっている。

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