はじめての異世界召喚 24 崩壊は唐突に
「クソ、蒼介を放せ!」
「ハッ、放すと思うのか?」
京平が刀で威嚇しながら蒼介を捕えている暗殺者に言うが、暖簾に腕押しとばかりに笑いながら拒否する暗殺者風の格好をした女。
「クソが! ついにここまで帝国が乗り込んできたか!」
「間抜けな王族がいて助かったよ」
「姉さんのコトですね、今回のことが終わったらキッチリ罰を与えます。お忍びで出て行って秘密の通路をうっかり開けっ放しにしてしまうとは…」
「ハッハッハ、同情だけはしてやるよ」
フランツが戦槌を構えながら悪態を吐く。暗殺者の言葉にソフィーが当たりをつけて、据わった目になる。暗殺者の女が同情してやると言っているが、その表情はかなり楽しそうな様子である。
「てか何で、蒼介がそんな簡単に人質になってる!」
「城壁の上で昼寝をしてたから、人質にしてやったのさ」
「何でそんなとこで寝てんだよ…」
「そんなこと私が知るか」
スレイが信じられないとばかりに絶叫するが、暗殺者の言葉により気の抜けた表情を浮かべる。
「てか、ここまで引きずって来たが何だコイツは、異様に重いんだが。それに自分で歩かせるために蹴り飛ばして起こそうとしてもまったく起きる気配がないのはある意味尊敬するが…」
「…(ポリポリ)」
暗殺者が蒼介に視線のみを向けてぼやく。そのぼやいた言葉に対して、優志はこめかみを指でかきながら引きつった顔をする。
そして、女王が険しい目で蒼介を鎖で縛っている暗殺者を見た。
「何が目的ですか」
「そりゃあモチロン女王陛下、あなたの命ですよ」
「分かってはいましたが、あなた方は一体何をしたいのですか」
「知っているでしょう、帝国による大陸統一ですよ」
やはりという顔になる女王は溜息を吐く。
「軍事力で各国を脅して傘下に置き、それで本当の統一ができると思っているのですか」
「それは私みたいな人間が考えることじゃないんですよ。ただ戦う、私はそれだけです」
「愚かなことです」
頭痛がするとばかりに女王は再度溜息を吐いた。そしてそのときに――――――――――
「………どういう状況だコレは」
――――――――――蒼介が目を覚ました。
蒼介は自分の身に起こっている状況を呑み込むことにしばらく時間がかかった。
「一人でも変な動きしたら、コイツを殺すぞ!!」
「え、ちょっと何? てか、久しぶりこの状況」
「前にもあったのか!?」
「あったぞ、それで何でこうなってるのか説明を頼むわ」
「…あぁ、それはな――――――――――」
京平は蒼介が目を覚ますまでのことを説明していく――――――――――
「蒼介ー、どこだー?」
この日は京平と蒼介が休日であり、互いに特に何もする予定がない日のことであった。京平は蒼介のことを探していた。一週間ほど前の五人の休みの日が重なって蒼介の部屋で集まってからというもの、蒼介は自室にいることが少なくなった。本人曰く、『休みなのに自分の部屋で休めないから、安息の地を探す』とのことである。要は誰にも邪魔されずにだらける場所が欲しいだけということである。
「蒼介ー、出てきてくれー」
京平は昼飯時になっても出てこない蒼介に対して、優志から預かった片手にもった弁当を届けるため捜索をしていた。
「アイツ本当にどこに行った…」
京平はあの日に四人で蒼介の部屋に押し掛けたことを若干後悔していた。城中どこを探しても、蒼介が見つからないのだから。
「かくれんぼにしては、探す範囲がえげつないんだが…」
そうこう探しているうちに、京平は蒼介を見つけた。黒装束の暗殺者の女に鎖で雁字搦めに縛られた上で引きずられている状態で。
「止まれ! そして蒼介を放せ!」
その状態の蒼介を見て京平は抜刀して斬り掛かろうとするが、暗殺者は蒼介の首にナイフを近づけて言った。
「おっとー、コイツの命が惜しければ女王に謁見の間で待てと伝えな」




