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プロローグ3

プロローグ3



「いったい何が起きたのですか!?」


世界中に雷鳴が響いてから2時間くらい経過してからあの場所にいた連中がやって来た。蒼介は待ちくたびれたとばかりに体を伸ばす。


「遅い、暇だ、待ちくたびれた」

「あ、あなたがコレをやったのですか…?」


少女の眼前には焼野原に地割れ、クレーターと自然災害も真っ青なレベルの暴虐があった。

目の前に広がる惨状をみて、恐る恐る聞いてくる少女。


「そうだって言ったら?」


分かりきっていることだが、蒼介はとりあえず白を切ってみる。


「そ、その…、私にできることであれば何でも致しますのでどうか、そのお力を我が国…いえ、これ以上この世界に向けないで下さい。」


俺のこと何だと思ってるのかと言われた本人は考えている。最初にどういった存在か言ってしまった時点ですでに手遅れであることを蒼介は棚に上げている。


「ん? 何でもするって言ったな?」


そう言った途端、身構える姫様と殺気立つ兵士か騎士の方々。だが言質は既に取られてしまっている。そして、蒼介は悪役風に雰囲気を出してみる。


「それじゃあ…」


そう言うと少女は悲壮な表情を浮かべ、その他の面々は怒りか侮蔑かもしくは両方かの感情を露わにする。


「飯おごってくれ」

「はい?」


そう言った蒼介に対して、少女はそのままの表情で間抜けな声を出した。



「いやー、助かったわ。昼飯食おうとした矢先に呼び出されて腹減ったままアイツら叩きのめすことになってて、どうすっかと思ってたんだわ」

「い、いえ、申し訳ありません。こちらも切羽詰まっていたとはいえ呼び出してしまい。」


あの後、呼び出された場所があった街に戻り、さっきも言った通りに蒼介は飯をおごってもらっている。最初はどこぞの高級な店に案内されそうになったが、蒼介自身が拒否して大衆食堂に連れて行ってもらうことになった。ちなみに丼ものである。

そして遅めの昼食を食い終わり、少女――――――――――巫女さんと向き合う。


「んじゃ改めて、青鬼蒼介だ。」

「はい。この度は誠にありがとうございました。それであなたはどういったヒトなのでしょうか…?」


もっともな疑問である。召喚側から見て蒼介は、ある意味今回の侵略者以上に謎生物になっている。周りの監視役―――――もとい、護衛の方々も気になってる様子だ。


「あー、簡単に説明すると、アンタらみたいに似たようなこと考えるヒトがいるって理解はできるか?」

「はい。実際に違う世界から来たあなたがいるので、別の世界があるということは想像できます。」

「それでだ、俺はその別の世界で国だの世界だのを救ってくれと王やら神やらに依頼されることになる羽目になったんだ。」

「え、そ、それって…」


物語に出てくる英雄や勇者を見る目で周りが見てくるが、現実はそう甘くない。


「ただなぁ、依頼主がとんでもない外道がほとんどで、世界征服するための駒にされかけたり、依頼を達成したら用済みとしてそれまでの仲間に殺されかけたり、挙句には神の目的がそもそも暇つぶしに呼んだってこともあってだな…」

「えぇと…」


巫女さんが目が死んでいっていく蒼介に対してそっとお茶を淹れてくる。それに対して蒼介は若干癒される。周りの方々も少々、イヤ、かなり同情的な目を向けてくる。


「まぁ、そんな異世界召喚を何度も経験をしたせいで無駄に強くなっちまった成れの果てが俺だ。」

「も、申し訳ございません…。」

「あぁ、いいよ。久しぶりにまともな人に呼ばれていくらかいい気分だから。」


余談ではあるが蒼介は人間嫌いの上、女嫌いである。基本的に女が近づいてくれば相手の手が届く間合いから外れるか、ただひたすらに無視を続けるかのどちらかである。

目の前にいる巫女の少女のように、蒼介がまともに対応していること自体がまれであり奇跡と言える。


「んじゃ、そろそろ帰るわ。」

「えぇ! もう帰ってしまわれるのですか!?」

「おー、そろそろ行かないと駄目だし」

「しかし、国や世界中にあなたが世界を救ったと説明しなければ…」

「あー、あの爆発で敵もろとも死んだってことで」

「それでいいのですか、あなたは!?」

「いいんだよ、自爆するメインキャラだっているんだし」


そう言って蒼介はどこぞの戦闘民族の王子を思い浮かべる。


「それに、この世界にいても勧誘やら来ると思うとめんどくせーし…」

「た、確かに勧誘されないと思われる可能性はありませんが…」

「だから今のうちに逃げ―――――帰りたいんだよ」

「今逃げるって言いかけませんでしたか!?」

「戦略的撤退を伝統にする一家だっているし、いいだろ」


そう言って今度は特徴的なポーズをする男とその孫を思い浮かべる。


「とりあえず後は頑張―――――ん?」

「お、お待ち下さい…って、どうされたのですか?」


マナーモードにしてあるスマホが反応したためやり取りを一旦中断する。


「うーい、久しぶり。どうしたって聞くまでもないか…。お前が俺を戦力として頼ってくることはあんまりないし、そんだけ状況が悪いってことだろ。すぐ行くから待ってろ。」

「あの、それは…?」

「あぁ、遠くの奴と話せる道具。こんな時の為に魔改造したモンだけど」


説明してる暇はないとばかりに蒼介は支度をする。


「悪いが、ホントに行かなきゃならなくなったが、気張れや」

「あの、失礼ですが何処へ…」

「悪友の所へ。俺並みに強いよー」

「あなた並みの方が他にも…」


遠い目をする巫女さん。強すぎるの人物が何人もいたらそんな反応にもなるだろう。


「それじゃ、ごっそさんでしたー。」

「えぇ、頑張ってください…。」


若干投げやりな対応を気にせず直通のドアを開け、行きますかとばかりに気合を入れる。その前に蒼介は若干の保険を掛けておく。


「うーし、もう一仕事だー」


特に気負った様子もなく蒼介は声を出すが、その瞬間周りの空気が触れれば弾けるような雰囲気に一変した。


「しかし帰るのが面倒になりそうだな…」


しかし、その一言で雰囲気のどこかが緩むのであった。

次回から不定期更新ですが、一週間以内を目指そうと考えています(願望)。

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