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はじめての異世界召喚 18 スレイの魔法

場所は王宮の書庫。そこでスレイはこの世界での魔法に関する本を読んでいた。


「なるほどなぁ」


この世界では魔法は全員が使える。しかしながら、それは女のみに限った話であり男は当てはまらない。理由としては体質とのことと書いてあるが、スレイはこの世界の価値観について改めて納得した。


「女尊男卑になるわけだよ。まったく」

「何か理由が分かったのか?」

「――――――――――ッ!?」


突然後ろから声がかかり、スレイが振り向きざまに懐から抜いた小太刀で切り裂こうとするも腕が掴まれて阻まれる。


「オイオイ、早速渡した小太刀を使ってくれるのは嬉しいがココは書庫だぞ? 物騒な物は出さないでくれ」

「…蒼介か、今日は仕事だったハズだが」

「仕込みがひと段落したからな。休憩がてら、ソレの感想を聞こうと思ってな」


スレイの対面に蒼介が座りながら答える。スレイは小太刀を見つめながら答える。


「よく切れるし、使い勝手がいいよ。今まで使ってたナイフは何だったのかと思うほどだ」

「そいつはよかった」

「ところで、もうこういうのは作らないのか? フランツが少し…、な」


フランツが刀を壊した翌日に京平たちが見守る中、壊した本人が朝一番にアクロバティックな動きで土下座をしてきて謝罪をした。意外にも蒼介はフランツを許した。蒼介は「フランツなら絶対にやる」と半分予想していたとのことである。フランツが物理的に地獄を見ないで済むと分かった、蒼介を除く三人は大変安堵して息を吐きながら崩れ落ちた。

調子を取り戻したフランツは蒼介に刀の作り方を教えてもらおうと突貫したが、飛び込んできたフランツの頭めがけて踵落としを食らわせて撃墜したうえで拒否した。曰く、自身もまだ充分な腕ではなく、半端な腕で人に教えることは御免だとのことである。せめて新たに刀の制作を依頼したが、それについても拒否された。その日以来フランツは絶望したのか目が死んだ魚のようになり、ブツブツ言いながら仕事をするようになっていった。


「壊したことに怒りこそしないが、作った傍から何本も壊されてたまるか。絶対に作った物を調子に乗ってすぐにダメにするタイプだぞ、アイツは…」

「それについては同意する」


蒼介の立場になれば、スレイは同じように考えるだろう。


「というか、何を読んでたんだ?」

「あぁ、この世界の魔法について少しな」


スレイは自分の読んでいた本の表紙を蒼介に向ける。


「そうか、お前自分の世界の魔法が使えたんだっけな」

「この世界の魔法に興味が出てな、もう一度読み直してみた」

「自己紹介でしか言ってなかったから忘れてが、使えるって言ってたな。お前の世界の魔法ってどんなのだ?」

「そうだな…」


スレイは説明するために眼鏡の位置を調整し、一度息を吐く。


「俺の世界の魔法は火、水、風、土の基本四属性に加えて系統外の属性がある」

「それって、光とか闇属性か?」

「ほう、良く分かったな」

「俺の国は娯楽大国でな、色々と妄想というか想像力が逞しいんだよ」

「少し行ってみたいな、楽しそうだ」

「やめておけ、金がいくらあっても足りん」


脱線したところで、もとの話に戻る。


「それで、お前のお察しのとおり系統外には光と闇も含まれる」

「他にもありそうだな…」

「あるぞ。時とか空間とか」

「レアそうだな、それ」

「実際にレアだぞ。そんで基本四属性には派生があってな、俺は基本属性は水なんだが氷属性の派生属性をよく使ってる」

「その派生属性ってほかもあるのか?」

「あるぞ、水は氷だけじゃなく霧とかがある。他の基本属性だと火なら炎に熱、土なら岩とか砂だな。ちなみに基本属性の適正は先天的で一属性が鉄則だが、派生属性は訓練次第で習得可能だ」

「ある意味報われてる世界だな。努力で目に見える成果があるのは」

「だがそれでも腐るヤツはいるぞ」

「どこにでもいるよ、そんなの」


全くもってその通りだとスレイは蒼介に同意する。


「それで、水属性で氷属性も使えるわりかし優秀なスレイ君はこの世界の魔法についての何が分かったのかな」

「いろいろとな。だが、割としょうもないことも分かった」

「何ィ?」


スレイは説明する。この世界の魔法について。そして、女尊男卑のしょうもない理由について。


まずこの世界の魔法は火種を起こすなどの生活魔法と呼ばれる魔法と、一人一人のみが使える強力な固有属性魔法と呼ばれる二つに分類される。

前者は本当に生活を便利にする程度の使い方しかない。例えば、暑い日などに自身の周囲の温度を下げる魔法、若干部屋が暗い時などに使う明かりの魔法といったものばかりである。例外的に身を守るための攻撃魔法もあるが、これも子供が石を投げた程度の威力しか出ない。

後者はスレイの世界の魔法に少し近い。ただし派生などでの複数属性を使用するのではなく、その属性のみしか使用できない。例を挙げるなら、スレイの世界の魔法は火属性の適正があった場合、努力次第で基の属性となる火属性に加えて炎や熱といった属性も使えるようになる。それに対してこの世界の魔法は何の神に祈りを捧げるかで大本の属性かが決まり、その系統の中のどれかが取得できるかもランダムであり若干ギャンブル的な要素がある。


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