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はじめての異世界召喚 12 五人のお仕事

若干ウンザリしたような優志。そこで何か考えついたのか、蒼介を見る。


『蒼介、お前も何か作ってみろ』

「俺が?」

『厨房での料理経験あるんだろ?』

「あるにはあるが…」


蒼介はとりあえずやるかとばかりに、調理台へと向かい、食材の確認をしていく。


「大体は日本というか地球と同じような食材でいいのか、コレは?」


蒼介が選んだ食材は色や形こそ同じだが、選んでいる際中に緑ではなく青い葉物野菜や毒々しい斑模様をした紫の根菜などを見つけていた。

蒼介は普通なら見向きもされないような肉の切れ端を集めながら言う。


「とりあえず、ハンバーグでも作るか…」


先ほどの野菜を見た限りでは何の肉だか分からない謎肉だが、まとめて包丁で叩いてミンチにしていく。

しかし蒼介も先ほどの優志のように、その工程を無視するかのように一瞬で終わらせていた。


「…(オォ)」

「莫迦な!? 化物がもう一人だと!?」

「この国は一体何を呼び出したんですか!?」


優志が感嘆の息を吐く。そして、またしても料理人たちは絶望し、絶叫する。だというのに――――――――――


「付け合わせはー…、簡単にジャガイモだけでいいか」


蒼介は周りが騒がしいのにそんな呑気なことを言っている。そして、蒼介は調理を終わらせた。完成したハンバーグを蒼介は副料理長に渡す。完成したハンバーグを恐る恐る口に入れた副料理長の反応はというと――――――――――


「この世に捨てるべき食材はないのです…」


何やら悟りを開いた聖人か真実に到達した求道者のようになっていた。


「…(ウンウン)」

「あんな捨てるつもりだった部分を使って副料理長をあんな状態にするとは…!」

「これはもはや革命だ! 食の革命だ!!」


厨房のナンバー2を豹変させた蒼介に対して称賛とも革命への賛同ともつかない雄たけびに、蒼介は面倒臭いとばかりにそそくさと優志と共に厨房を脱出する。


「戻るか、めんどくさいし」

『明日はもっとめんどくさいことになりそうだがな』

「まー、確かになー」


ニヤニヤと笑う優志に対して、蒼介は憂鬱そうな表情をしながら食事中の部屋へと戻っていく。


「お帰りー、ってどうした?」

「何かやらかしたか?」

「また蒼介が何かやったのか?」

「何で俺がやらかしたことが確定してんだよ…」

『謁見中に目の前でキ〇肉バスターしたからだろ? ま、今度はオレも共犯だがな』


優志は器用にもとてもいい顔で笑いながらも悪い表情を浮かべる。スレイが恐る恐る蒼介に対して聞いてみる。


「今度は何をした…?」

「そんな顔すんな、料理を一品ずつ作ってきただけだ」

「何で料理を作ってもらうはずが、作ってきたんだ…?」

「最初は優志が料理長と言い争いをしたあとに料理して、何故かお前も作れって優志に言われてな…」


疲れたように蒼介は天井を仰ぐ。若干ウンザリとした表情なのは、料理をした時の周りの反応を思い出しているのであろう。


「一応、あの反応を見ると仕事にはありつけそうだな。めんどくさいことになりそうだが…」

『あぁ、この料理の完成度は高いが、郷土料理ばっかりで新しい料理を作ることはしていない感じだな』

「どういうことだ?」


二人は席に着きながら考察する。二人の会話にほかの三人が食いつく。その瞬間扉が勢いよく音を立てながら開いた。


「優志殿はここか!?」

「蒼介殿はここですか!?」


入ってきたのは料理長と副料理長の厨房のトップ2である。イヤ、その後ろには入って来ないものの、料理人たちが待機していた。その目は入ってきた二人以上にギラついている。


「「お願いします! 特別顧問になって下さい!!」」

「…雇用条件によるけど、とりあえずいいよ」

「…(コクリ)」

「「「「「イヨッシャァァァァァァァァァァ!!!!!」」」」」


蒼介と優志の二つ返事で、城の中に歓声が鳴り響く。そのせいで城の中にいる衛兵や使用人が様子を見に走って来ていた。


「オイ、コレはどういうことだ?」

「まさか、コイツらが先に仕事を見つけるとは…」

「…明日にでも女王に仕事を斡旋してもらうか」


三人は溜息を吐きながら、残った料理を平らげていった。まだ手をつけていない蒼介と優志の分も含めて…。

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