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はじめての異世界召喚 10

蒼介、大暴れ!!

そして、ついに蒼介がライラのもとへ辿り着く。蒼介はライラを容赦なく蹴り倒し悶絶させ、動けなくなったライラの胴体に後ろから手を回してがっちりとホールドをする。


「女相手に容赦ないな、蒼介…」

「…(オォウ)」

「何か女に恨みでもあるのか…?」

「イヤ、あんだけボロクソ言われればああするだろ…」


 京平たちがそんなことを言っているうちに蒼介はホールドを保持したまま、ライラごと後ろへと海老反りになりながら倒れていった。


「シャア!!」

「ぐォォォォォ…!」


 その光景に日本人二人組である優志と京平は目を輝かせる。そんな二人とは対照的に他の面々は、ライラに対して同情しているようで何も言えないようである。


「…(キラキラ)」

「ジャーマン・スープレックスだと…!」

「スンゴイ音がしたんだけど…」

「下手したら死ぬな、アレ」


 しかし、蒼介の怒りは未だに収まらず、猛攻は続いている。


 ゴスッ!! バキッ!! ドゴッ!! ギリギリギリギリ!!!!!


「…(ウルウル)」

「ブレーンバスター、ストーンコールドスタナー、あ、アレはカーフ〇ランディング!? 今度はキャメ〇クラッチだとゥ!?」

「もういっそ殺してやれよォ! 見てるこっちが辛いんだよォ!!」

「哀れだ…」


 蒼介の処刑――――――――――もとい、プロレス技の猛攻に見事に明暗が分かれている。ちなみに、女王や親衛隊は目の前で行われている蒼介の所業にドン引きしている。そして、自分たちの「男は弱い」という価値観を現在進行形で破壊されている最中でもある。


「これで最後だ…!」

「………」


 もはや白目になっている相手に、いろいろな意味でようやく解放の時が訪れる。


「…(クワッ)」

「あ、あの構えは…!」

「アレはズボンだからいいが、スカートだったら悲惨なことにならないか」

「既に悲惨なことになってるだろ」


「ダォラ!!」

「カハッ…!」


「…(ォォォォォォォォォォ!!!!!)」

「キ〇肉バスターだァァァァァァァァァァ!!!!!」

「女に対してやる技じゃないな…」

「というか、生きてるのかアレは…?」


ついに蒼介の処刑――――――――――もとい、勝利で試合が終了した。決め手はどこかの超人の48の殺人技の一つである。決着をつけた蒼介の表情は疲れたようであった。しかし、どこかホクホクとしているかのような雰囲気を漂わせている。


「あー、たのし…、スッキリした」

「「「「「楽しかったって言おうとしたよね!?」」」」」


周りから蒼介に対して、男女問わずにツッコミが入る。


「…(ジロー)」

「蒼介、相手があんなだったといっても、女に対してやり過ぎだぞ」

「さっきまでお前らもノリノリだっただろうが」

「手の平返しがすさまじいな」

「見てただけのお前らが言えることじゃないだろ。それに俺はああいう腰巾着みたいなのは大嫌いなんだよ」


蒼介はやさぐれたような顔で観戦者だった四人に対応する。そして、本題に戻る。


「そんで、京平を生けに…、差し出して元の世界に帰るということでいいか?」

「…(コクコク)」

「賛成だ」

「異議なし」

「ちょっと待て! 生け贄って言おうとしたろ、コラ!!」


京平を除く四人の心は一つであった。


「いいだろ、こっちは夏休み初日にこんな妙ちきりんな冒険に強制参加させられてるんだから」

『帰って夕飯の支度をせにゃならん』

「というか、お姫様とやれるんだから役得だろ」

「というわけで、俺たちは早く帰りたいんだが」

「俺の初体験は夏休みと夕飯以下の価値しかないのか!?」


しかし、そうは問屋が卸さない。女王が難しい表情を浮かべながら、スレイの愚痴とも願いともつかない言葉に対して口を開く。


「それはできません」

「「「「「は…?」」」」」

「いえ、あなた方が帰れないというわけではないのですが…」

「何か問題が…?」


蒼介は最悪の可能性を考えた。この異世界召喚が一方通行であり、女王が誤魔化している場合のことを。しかし、それは杞憂であったようである。

女王は言いづらそうにしながらも、打ち明けた。


「召喚するための魔法陣の一部が帝国によって破壊されてしまいまして、修復作業中なのです」

「完全に帰れないってわけでもないのか…」

『アイツらがあんだけ派手に襲ってきて暴れたらな』

「というか本当に碌なことしないな、帝国」

「だが、しばらくはこっちで生活することになるのか…」

「魔法陣が完全に修復されるまでに、どれほどかかるのでしょうか」

「…一年ほどになります」


今度は蒼介たちの空気が凍りついた。蒼介は認めたくないのか、もう一度聞いてみる。Say it not so queen!(女王よ、嘘だと言ってくれ!)


「………もう一度、言ってもらえますか」

「………一年ほどになります」


しかし、事実は覆らない。あるのは、受け入れがたい非情な現実のみであった


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!


「「「「ふざけんなァァァァァァァァァァ!!」」」」

「…(ァァァァァァァァァァ!!)」


五人はあらん限りの魂の叫びを張り上げた。

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