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はじめての異世界召喚 8

全員が溜息を吐き終わった時に、ドアがノックされ声が掛けられた。ドアが開けられて、そこにいたのはメイドだった。


「皆様方、よろしいでしょうか。」

「あ、はい」

「謁見の準備が整いましたので、ご案内させていただきます」

「謁見ですか…」

「面倒な…」


蒼介とスレイが顔をしかめる。他の3人は「まぁ、仕方ないか」といった顔をしている。


「一応聞きますが、この国特有のマナーとかはありますか?」

「いえ、今回は過度に無礼な態度をとらなければ、いくらかは不問にすると陛下はおっしゃっております」

「陛下…、王様か。行きたくないな…」

「蒼介、そうも言ってられないだろ。何でこんな状況になってるのか、説明もしてもらわにゃならんし」

「…(コクコク)」

「…分かってるよ。厄介ごとの臭いしかしないから鬱なだけだ」


京平と優志に諭されて、蒼介は覚悟を決める。しかし、端から見ると病院に行くのを嫌がる子供が渋々親に連れていかれるようにも見える。

そんなこんなでメイドに案内され、城の中では正面の城門を除けばひと際巨大な扉の前に五人は横一列に並んで立っている。


「鬱だ…」

「…(バンバン)」

「蒼介、とりあえず切り替えよう?」

「そうそう、なるようになるから」

「気楽だな、フランツ…」


そんなことを言っているうちに門の方から声が響いてきた。


「来訪者の方々のおなーりー!!」


その言い方に日本人三人組は吹き出した。蒼介は呆然とした表情になり、優志と京平は笑いをこらえて震えている。フランツとスレイはそんな三人組を訝し気に見ている。


「何かおかしかったか?」

「そんなことはないが」

「イヤ、こっちの問題だ…」

「…(プルプル)」

「まさか自分にやられるとはな…、ククッ」


扉が開き切り、五人は中へと入っていく。中はかなり広い空間になっており、人の体以上に太い柱が等間隔に何本も立っていた。その奥には玉座がありシンプルながらも質が高くデザインの良い服を着た女が座り、その周囲には近衛隊と思わしき女の集団が控えている。

五人は並んだまま歩き、玉座からある程度離れたところで止められた。


「私はこの国、イフラ王国の女王、アリーシャ・レイ・イフラと申します。あなた方が私たちがお呼びした方々でよろしいのですね」

「お呼びされたというのが少々わかりませんが、あの場所にいた人物ならば我々にございます。女王陛下」


女王―――――アリーシャの問いかけにフランツが洗練された動きで優雅に跪き、応対する。フランツの豹変に五人が信じられないようなモノを見るような顔をする。


「気色悪…!」

「…(ビクッ)」

「フランツどこ行った…?」

「残念だが目の前だ」

「酷い!!」


四人の反応に若干涙しつつも、フランツは女王への対応を続ける。四人も弄りながらも、先ほどの洗練された動作からフランツを信じて対応を任せる。


「それで単刀直入にお聞きしますが、今回はどのような事情で我々をお呼びになられたのでしょうか」

「えぇ。現在この国を世界一の大国であるプテラン帝国が侵攻しております。理由としては、我が国の国力の低下の隙を突いたこととなります」

「国力の低下ですか。それはどういった理由で?」

「えぇ、まず帝国が我が国の産業の一つである主要農業施設を襲撃しました。」

「では、その施設を破壊されたことによって食糧事情が悪化したのですか」


フランツの推測を女王は否定する。


「いえ、襲撃された施設の被害状況は大きいものではあるのですが、施設自体を建て直すことが不可能というわけでも食糧事情が悪化したということでもないのです」

「では、帝国は一体何をしたのですか?」

「それに答える前に、この世界のことをお話しましょう。この世界では男性よりも女性の方が保有する魔力が圧倒的に多く、国によっては男性を奴隷とする国も少なくありません。また、魔力量も本人の両親の魔力量が多いほど多くなるということが多いのです」


奴隷という言葉に、五人は眉間にしわを寄せながらも女王の話を聞き続ける。


「まれに女性並みに魔力を保有する男性も生まれるのですが、その場合は貴族や王家に婿入りすることが大多数となります」

「この世界は女性上位な世界なのですね」


女王は「えぇ」と会釈しながら次の言葉を紡ぐ。


「そういった事情のために我が国も魔力保有量の高い男性を食糧施設の近くに建てた選抜所とも言うべき施設に集めていたのですが…」


女王はすこし逡巡してから口を開いた。


「帝国は施設に併設されていた、次期女王の王配候補選抜所にいた男性を全員帝国へと連れ去ったのです」

「「「「…はい?」」」」


女王から帝国のやったことを聞き、五人の口が開く。


「帝国へ潜入している密偵からの連絡では、『これで次の次に生まれる王国の女王は脆弱な存在になるに違いない』と女帝が笑いながら言っているらしいのです」

「莫迦か…」


蒼介の呟きに他の面々は、渋い顔をしながらも心の中で同意する。


「そして、その問題を解決するために我が国で崇める神であるファルティーシア様へと祈祷を行い、信託によって『異界から男性を召喚せよ』とのことであなた方をお呼びしたのです」

「「「「「………」」」」」


五人は無言である。ただただ無言である。


「ご察しの方もいらっしゃるかと思いますが、あなた方にお願いしたいのは我が娘たちへの婿入りでございます」


女王は頭を下げた。しかし、




「お断りだ」


蒼介が流れをぶった切った。

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