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はじめての異世界召喚 7

「次は俺がする」

「お、今度は自称王子か」

「本物だから、自称じゃないから!」

「逆に必死すぎて怪しいわ」


蒼介の茶々にフランツが必死になり、他の3人が笑いをこらえるように腹を抱える。その様子にフランツは若干拗ねたような表情になる。


「フランツ・スミス・アイゼンブルグ。今年で17歳のアイゼンブルグ王国の次期国王というか、現国王の一人息子だ。」

「アイゼンブルグ…」

「あったか、そんな国?」

「知らないな」

「…(フルフル)」

「アララ、大国の部類に入る割と有名なんだがな」


首を捻る四人におどけたようにフランツは言うが、自分の身の上話を続ける。


「得意な武器はさっき持ってた戦槌とかの長物で、特技と能力は鍛冶に錬鉄術だ。」

「そういや、戦う前に大概の武器なら作れるって言ってたな」


京平は戦う直前の会話を思い出し、もしかしたら日本刀ができることへの期待を膨らませる。


「しっかしここに来る際に、ホントに自分の足で馬車と並走するとか俺らのこと言えんだろ」

「…(コクコク)」

「フッフッフ、日々騎士団と鍛えているからな」

「おー、流石王族」


スレイは感心した声を出し四人は立派にやってるんだなと思っていたのだが、フランツの次の言葉でそのことを後悔した。


「毎日城から抜け出して城下町で遊んでるのを騎士団に見つかって、追い回されてるからな」

「バカだ! バカがいる!!」

「コレがホントのバカ王子…」

「俺の感心を返せ、クソが!!」

「…(ジトー)」


フランツの株が急上昇するも一気に暴落した。しかし、フランツはめげない。バカ王子と言われても四面楚歌になろうともカラカラと笑っている。


「ハァ、次行くぞ、次」

「最後は俺か」


スレイは眼鏡の位置を直しつつ、気分を改める。


「スレイ・アルスト、学生兼錬金術師と薬師の見習いだ。歳は16だが今年で17になる。得意武器はナイフで、時々魔法を使う」

「魔法…」

「そういや忘れてたが、俺たちを殺そうとした連中も魔法を撃って来たな」

「…(コクリ)」

「ん? 魔法を見たことがないのか?」


日本人組三人にフランツが話しかけるが、蒼介と優志は京平の方を向いて何とも言えない表情をする。逆に京平も人外二人組を見て苦い顔をする。


「似たようなモンならあるんだがな」

「…(コクコク)」

「見たことがないというか俺たちのいたところじゃ、魔法とかドラゴン自体が空想の産物と言われてたんだがな…」

「どういうことだ? 現にその二人は知っているようなんだが…」


スレイが人外二人と京平の認識の間に壁のようなモノを感じて聞いてみた。


「昔に魔女狩りっていうことがあってな、それからは魔法使いやらは表舞台に一切出てこなくなってな」

「あー、大体分かった。それで表の人間には魔法は空想の存在だって認識になってるんだな」


蒼介の説明とも言えない言葉に、スレイは大体の事情を理解する。フランツは漠然と把握したようだが、イマイチ理解しきれていないようだ。


「それで、この状況どう考える」

「どうって?」


自己紹介が一通り終わったところで、蒼介が確認の意味も込めてこの場にいる全員に聞いてみる。


「俺はあの襲われた場所に来るまでは、いつも通ってる道を使って自分の家に帰るところだったがお前らはどうなんだ?」

『オレはお嬢様の屋敷でベッドメイクの最中だったところをヘンな陣が出てきて、気がついたらあのミステリーサークルにいた』

「俺は姉ちゃんとの夜の稽古が終わって、布団に入ってから目が覚めて気が付いたらあそこにいたな」

「昼に城内を歩いてたら優志と同じように魔法陣の中にいた」

「朝に薬草採取に出かけようとしたところで魔法陣が出てきて、目が覚めるまであの場所にいたな」


全員とまではいかないが、突然魔法陣によってこの世界へ呼び出されたことを確認する。そして、それぞれが呼び出された時間帯もそれぞれバラバラであることが疑問に拍車をかける。


「何だかな、こういった状況は…」

『無人島に知らない連中と一緒に漂流したような感覚のような…』

「それに近いかもな、実際に知らない連中だし」

「それと気づいてるか、あの襲ってきたのと案内をしてきた連中は全員が女だったってことに」

「え、マジか…!?」


さらに蒼介はあの戦闘を行った集団に関しても疑問を抱いていた。女が戦場に出ることはあるとしても基本的には戦闘と言った荒事に関しては男がいないということはおかしい。


「相手は鎧とか付けてたのに、よく気付いたな蒼介」

「少し女に関しては、敏感なんでな」

「スケコマシなのかー」

「違う、女なんぞいらん」


フランツが自己紹介での反撃とばかりに蒼介に対してナンパ野郎のレッテルを張ろうとするが、蒼介自身が毅然とした態度で否定したため失敗した。


「しっかし、女だけが戦場に出てくるってどういうことだ?」

「…(ンー)」

「男が全員腹壊したとかはー…、ないな」

「あったら情けなさすぎるだろ…、教科書にでも載るくらいの珍事だ」

「やめだ、答えが出ないし誰かに聞こう。というか脱線してないか?」


話を切り上げて、元の議題に戻る。


「全員が違う場所からあの場所まで一瞬で移動か…」

『こっちが仕事している最中に傍迷惑なことだ』

「それに生きてるとはいえ、殺されかけたしな…」


互いに蹂躙――――――――――もとい迎撃したあの状況について、考察と愚痴を言い合う。そして、蒼介がある可能性を口にした。


「異世界召喚…」

「…(ン?)」

「そういや、クラスで誰かがそんなこと言ってたな」

「何だそれ…?」

「詳しく頼む」


蒼介のつぶやきに日本人組はハッとしたような表情になる。それに対してフランツとスレイは蒼介の一言に食いついてきた。


「イヤ、小説とか空想の出来事でな…」

「何でもいいから、教えてくれ」

「…分かった。例えば、お偉いさんが自分の世界か国が滅びそうなとき他の世界から呼び出す誰かは、世界情勢を変えるほどの力を持っているとしたらどうする?」

「そりゃ、呼び出して頼み込むな…、ってそういうことか」

「困ったときの神頼みならぬ、英雄頼みか」

「ご明察だ。大概が役割を終えた後はWIN-WINの関係で終わるが、これにはいろいろとパターンがある」

「パターン、ねぇ…」


スレイは大体察しがついているのか、顔をしかめる。


「用済みと言われて、処分されるパターン。そもそも呼び出した側が悪いパターン。戦争の駒にされるパターンと様々だ」

「そんな未来は御免だな」

「そうも言ってられんだろ」


フランツは不敵に笑って言うが、スレイは頭を抱えている。


「そもそも、俺たちは帰れるのかが問題だな」

「…(コクコク)」

「こっちにも都合はあるしな」

「帰れないときは思いっきり暴れてやるか」

「国を落とす気か…」


それぞれが溜息を吐き、疲れたような表情になった。

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