蘇生
リッチーの設定を入れてみた。
小説って書きにくい…。
パチパチと何かが燃えるような音が守の耳に入ってくる。
死んだので音が聞こえるわけがなかったので不思議に思いながらも守は目を開けた。
守の視界に入ってきたのは、赤く燃えている炎と、炎の横に座っているフランの姿だった。なぜか炎の周りにはどこからとってきたかわからない魚らしきものが置かれている。
「いや、その魚どこからとってきたんだよ。」
そんな的外れなツッコミが、起きた守の最初の言葉だった。
「おや、目が覚めたのかい?良かったねえ。あのまま死なれたらどうしようかと思ったよ。」
守が起き上がったのを見つけたフランが守に声をかけてくるが、守はその言葉をスルーしてフランに問いかけた。
「なあ、ここどこだ?もしかして天国とか?だったら悪かったな、フラン。守ってやれなかったみたいで。」
その言葉を聞いてフランは一瞬キョトンとした後、少し安心したような声で笑い始めた。
「クッ、ハハハハハ!」
「おい、何がおかしいんだよ?」
いきなり笑い出したフランに守は何がおかしいのか問いかけたが、フランの返答は守にとっては意外な物だった。
「おや、君は本気で自分が死んだと思っているのかい?」
「?どういう意味だよ?」
フランの言葉に守が聞き返すと、フランは得意そうに胸を張りながら答えた。
「マモル、確かに君は一度矢に当たりまくって死んだ。だがその後すぐに君は生き返ったのさ!」
「だからそれがどういう意味だって言ってるんだけど?」
理解のできていない守にやれやれと肩をすくめながらもフランは説明を続ける。
「もしかして君は忘れていないかい?君が一度死んだ後に別の生き物になって蘇生したことを。」
「ってことはまさか…」
ようやく気付いた様子の守にフランは再び得意気になって喋りだす。
「そう!君はリッチーだから、無限の命と無限の再生力を持っているのさ!」
「ほーん…、て、ええええええ!?」
さりげなくものすごいことを口にしたフランに守は詰め寄り、フランを問いただす。
「おい、今なんつった?リッチーが無限の命を持ってるとか言ってたよな?そんなの初耳なんだが?それは本当なのか?」
ものすごい勢いで詰め寄ってくる守にフランは若干引き気味になりながらも丁寧に答える。
「ああ、本当さ。信じられないかい?だろうね。無限の命なんて仮設上ではありえない物だからね。普通の人間だった君には信じられなくてもしょうがないさ。
でも、私が言ったことは本当だよ?なにせこの私が開発したリッチーの完成体が君さ。無限の命くらいは持っててくれなきゃ困るんだがね。」
「…。」
フランの研究の凄さを実感して絶句している守を見ながら、諭すようにフランは守に話しかける。
「だがね、マモル。いくら君が死んでもすぐに生き返る存在だからと言っても、君はちゃんとした感性を持った人間なんだ。
しかもさっきなんて、自分が不死身であることを知らなかったにも関わらず、自分の体を張って私を守った。自分が不死身の体を持っているなんて知ったら、自分の体を犠牲にしまくって人を助けようとするのだろうさ。
だけれども、くれぐれもさっきやったみたいに、自分の体を犠牲にして他人を助けようとなんてしないでおくれよ?
さっきも言ったように、君は人間なんだ。いくら不死身だろうが、君の体を犠牲にしていい理由なんてどこにもないんだぞ?」
「んなこと言ってもよ…。俺の価値のない体一つで他人を守れるならそれで良い…」
守の言葉はそこからさらには続かなかった。炎に照らされたフランの頬にうっすらと涙の跡があるのを見たからだ。
言葉に詰まった守にフランは最後の説得の言葉を投げかける。
「君はそれでいいのかもしれないけど、残された人の気持ちも考えておくれよ?」
「ハァ…。わーったよ…。」
「うんうん、それでいいのだよ。自己犠牲なんてものは何も産まないし、他人の心に傷をつけるだけだからね。」
満足そうに頷いた後、フランは炎の横に置いてあった魚らしき何かを守の方に差し出した。
「全力で走りまくったからお腹が空いているんじゃないかい?これでも食べて体力回復をしておきたまえよ。」
「おいフラン、この魚らしき物体は何だ?」
守の問いにフランは少し間をあけた後、答えた。
「……、ただの魚だよ?」
「オイ、今の間は何だ。」
ジト目で見てくる守の視線から逃れるようにフランは魚らしき物体を手に持ち、守の口の中に突っ込んだ。
「フガガガ、ガ!?」
「お味はどうだい?」
口の中に魚らしき物体を突っ込まれたことで混乱している守にフランが味を問いかけると、守の答えは意外にも好意的な物だった。
「いや…。意外と悪くないかもしれないな…。素材は気になるけど、美味いからまあいいか。」
「おや?君は食品の素材にはこだわる人間だと思っていたのだがね。」
意外そうにフランが問いかけた答えに守は顔を顰めながら答えた。
「お前、俺のことをどれだけ几帳面な奴だと思ってるんだよ…」
「いや、なんとなく几帳面そうな顔をしていたものでね。」
「なあ、それって褒めてるのか?褒めてるんだよな?貶されてるような気がするんだけど?」
悪びれもなくフランが答えた言葉にイラっときて守はフランに詰め寄っていったが、青筋の浮かんでいるその顔とは裏腹に、その口元は確かに笑みの形を作っていた。