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死亡

始まってから三話で死ぬ系主人公。


これからどうなるのか。


それは作者にもわからない。(嘘)

エリアナに言われて気の質と割合を測ってから一日が経ち、この日も生徒たちは広場に集合するように言われていた。


「あーあ。今日も広場に集合するのか…。鬱だ…。」


昨日最弱としか言えない数値を叩き出してしまった守は愚痴を言いながらも広場に向かった。


広場には昨日と同じように守以外の生徒たちが集まっており、守は昨日と同じように肩を小さくしながら広場に入っていった。


「みなさん、全員揃いましたね。」


「「「はい!」」」


全員がそろったのを確認した生徒たちにエリアナが声をかける。昨日騎士たちにさんざん褒め称えられていた生徒たちは今日も何か良いことがあるのだろうと想像し、楽しみそうに声を上げた。


「みなさんには今日から修業をしてしまいます。」


「おお!修業か!」


「なんだかそれらしくなってきたな!」


修業といういかにもバトル漫画らしい言葉に男子生徒たちが声を弾ませる。


「今日は、みなさんの気の質と割合に応じて騎士団の方々に修業をしてもらいます。それでは魔気が20%の方はこの列に、30%の方はこの列に…」


エリアナが生徒たちに指示して魔気が20%の者から100%の者までを並ばせる。

だがエリアナの言葉の中に守についての言及はなく、生徒たちが列に並び終えたとき、守だけが残った。


「はいはーい、王女様ー。魔気が0%で剣気が100%の間クンはどうするんですかー?」


「「「アハハハハハ!」」」


一人の生徒が嫌味ったらしく言った言葉に他の生徒たちが反応してみんなで笑い声を上げる。

エリアナは少しだけ申し訳なさそうな顔をした後、守に向かって言った。


「えっと…、申し訳ないのですが、修業をさせる騎士団の人員が足りないのでマモル様は自主練習、ということで…」


「うわー間の奴、王女様に申し訳なさそうな顔させてやがる!」


「おい、間のくせに王女様の心を傷つけてんじゃねーよー!」


「そうだそうだ!」


寄ってたかって間をいじめる生徒たちに由井やエリアナは辛そうな顔をしたが、それに気づいている者は守以外にはおらず、守は心の中で少しだけ王女や担任の教師の優しさに感謝しながらも広場を出ていった。


「おい、間が逃げていくぜ!」


「だらしない奴!」


「ベッドの上でおねんねしてろよ、間ちゃん!」


「アハハハハハハハハハハ!」


クラスメイト達の嘲りの声を後にして。



広場から自分の部屋に戻ってきた守は、着替えをしてから図書室に向かった。

誰もいない図書室の中で剣気を使って何かできないものかと考え剣気についての本を探すこと一時間、守はようやく「剣気について」という題名の本を探し当てた。


本の中には様々な専門用語が書かれていたが、最後のページに守にとって最も知りたいことが書かれていた。


『剣気は確かに殺気を鋭くしたり少し剣を上手く使えるようになるだけの気であるため最弱の気に見えるかもしれないが、もしも剣気の割合が高ければ、殺気のみで無敵の剣を作ることができると言われている。』


「これだ!」


自分が求めていた情報をこんなにも早く見つけられたことに喜びの声を上げながらも、その後に続く文章を読み進めようとして深く深呼吸をして(・・・・・・・・)


「…え?」


守の膝が図書館の床についた。

目の焦点が定まらない。

息が苦しい。

体が震えて動けない。


自分の横に立っている誰かの影。それが意識が消える前に守が見た最後の物だった。




その翌日。異世界から召喚された勇者たちの中の一人、間守が図書館で倒れているのが発見された。

医者が診断したところ何らかの理由で呼吸困難な状況に陥ったのだと診断され、脈がすでに途絶えていたため、死亡しているとされ、遺体は棺桶に入れて迷宮の中にある冒険者たちの霊廟に設置された。


葬儀は行われず、その死亡が世間に発表されることはなかった。


残った生徒たちは守の死因に対していろいろな案を出したがどれも核心に至る物はなく、その死は闇に包まれたのだった。

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