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修業兼攻略⑦

ブックマークが増えてて喜んだ。


読んでくれてありがとうございます。

自分にあてがわれた寝床がある家に入って、守はため息を吐いた。


「あぁ…。今日はボスモンスターも倒せるほどの相手によく勝てたなぁ…」


自分がギリギリで本気を出させずに倒したにも関わらずに自分のことを尊敬して手厚くもてなしてくれたキロの笑顔を思い出しながら守は呟く。


「キロが良い人で良かった…。最初にアイツをを見た時は、上半身裸の変態にしか見えなかったからなぁ…。人は見かけによらないってやつか…。」


そこまで呟いて布団をめくった瞬間に守の表情が固まる。


「おかえりなさい、ア・ナ・タ.」


黒髪赤目でなぜか無表情の美少女が布団の中にいたからだ。

驚きも一周周って逆に冷静になりながら守は問いかける。


「えっと…。君は誰かな?」


「私はアナタが戦ったキロの姉、つまりクラハシの族長の娘よ。」


「それじゃあ何で…」


「ここにいるのか、ね?あら、何でわかるんだって思ってる?ふふー。なんででしょうかー。」


無表情ながらも楽し気に言う少女を見ながら守は考え、そういえば、と思い当たることがあったのを思い出す。


「そういえば、キロが言ってたな…。」


「私が人の心を読めるって、でしょ?」


「ああ。それにしても本当に心なんて読めるんだなぁ…。」


興味深げに自分を見てくる守を見て少女は問いかける。


「な、なによ?珍しいと思ってはいるけども、君が悪いとは思っていない…?一体どういうこと…?」


無表情のまま不思議そうに首を傾げる少女に守は問いかける。


「何で気味が悪いなんて言わなきゃいけないんだよ?」


「へ?」


自分の問いかけに目を丸くしている少女に何か不思議なことでも言ったのだろうか、と思いキョトンとしながらも守は言葉を続ける。


「だってさ、なんか悟り妖怪みたいでカッコよくない?しかも自分の事情を悟ってくれそうでなんだかありがたいじゃん!」


目をキラキラさせだした守とは反対に少女の目は何かに驚いたかのように見開かれる。

その様子を見て何か気に障ることでもしてしまったのかとオロオロする守に少女は話し出す。


「何か私の気に障ることでもしたのかって考えておろおろしてるけど、安心して。別に何かあなたが悪いことをしたわけじゃないから。」


「それじゃあなんなんだよ?」


それならば何が理由で目を見開いているのか不思議に思って守が問いかけた質問に少女は答える。


「そ…、その…、初めて私の能力を見ても恐れない人を見たものだから…。」


「別にそれのどこに恐れる必要があったんだ?」


心底不思議に思いながら守が聞くと、少女は答えを返す。


「ちょっと私の話を聞いてもらうわよ?」


「おう、別にいいけど…」


守の心の中を確認して本気で守がそう言っていることを確認してから少女はポツリポツリと話し出す。


「私は所謂一つの魔術にのみ特化した魔術師なの。」


「その…」


「一つの魔術とは何か、でしょ?

アナタもどことなく気づいているみたいだけど、私の魔術は生き物の心を読み取る魔法よ。」


「へーえ…。そんじゃあ…」


「どうやったら他人の心なんて物を読み取れるか、ね?

私は自分の魔力を波として放出し、他人の感情の波と重ね合わせることによって他人の感情と一方的に同調して他人の心を読み取ることができるのよ。」


「ほーん。それって中々すごい才能だなぁ…」


自分が他人に自分の思考を読み取られていると聞いても気味悪がることをせずに逆に純粋な尊敬の念を向けてくる守に再び無表情のまま驚きながらも少女は話を続ける。


「確かに最初の方は凄い才能を持ってる、なんて言って尊敬されたわ。」


少女の言葉に眉を顰めながらも守は問いかける。


「最初のほうは、って…」


「どういう意味か、ね?いい?アナタは少しおかしいみたいだけど、普通の人間は、自分の考えが他人に筒抜けだ、なんて言ったら何かしら恐怖感や不快感を抱くモノなのよ?それなのにカッコイイ、なんて心から思ってるアナタがおかしいのよ。」


自分の論点がズレてきていることを察して一つ咳払いをしてから少女は話を続ける。


「オッホン。…、まあそれは戦闘民族のクラハシでも変わりはなく、私はクラハシの中でも浮いた存在になってしまったというわけなの。」


寂しげに言った少女を見ながら守はふと気になったことを質問する。


「なあ、君のその心を読むのも魔術なんだったら、君の手で制御とかできないのか?」


その質問に少女は無表情のまま悲し気に答える。


「それがなぜかできなくて、私は小さい頃から周りの思考を読み取りまくってたから、本気で気味悪がられるようになったの。」


「でもさ、クラハシの人たちはみんな少し頭のオカシイ人ばかりみたいだから、心を読み取れる程度で気味悪がったりはしないんじゃないのか?」


守の問いに少女は答える。


「確かにクラハシの人たちはみんな頭オカシイけど、戦闘民族だから相手の心を読んで戦うような卑劣な戦い方は好まないの。だから、クラハシの人たちにとっては私は卑劣な戦士なのよ。

確かに私を認めてくれる人もいたけど、そんな人たちも私の全てを肯定することはしてくれなかった。

みんな心の中では私の戦いは卑劣なものだ、なんて思っていたわ。」


少女の言葉に、悪いことを聞いてしまった、と思って守は頭を下げた。


「なんつーか、その…」


「辛いことを聞いてしまってゴメン、ね?別に気にしてないわ。むしろアナタには感謝しているわ。こんなに長く人と話せたのは久しぶりだから。」


少女の悲惨な話をこれ以上聞いていられなくなったことと、誰かの面影をそこに見たことで、守は少女を抱きしめる。


「ちょ、ちょっとアナタ、何をしているのかしら?」


混乱したような少女の声を聞きながら守は少女に問いかける。


「なあ、君の名前は?」


いきなりの質問にうろたえながらも少女は答える。


「メガよ。」


その戸惑った声を聞きながら、守はメガに言葉をかける。


「今のお前の話を聞く限り、寂しかったんだろうな…」


「な、そんなことアナタにどうこう言われる筋合いは…」


ない、と言いかけたメガの耳に声が入ってくる。


「だから、お前はもう一人じゃない。俺の心の中を読み取れるならわかるだろ?俺は同情とかじゃなくて本気でお前を一人にさせないと思ってる。」


それは同族であると感じ取ったが故の言葉。ずっと周りに認められなくて、挙句の果てに親からさえも失望されてしまった守だからこそわかる感覚。


だが、メガはそんなことを知る故もない。戸惑いながらもメガは身を委ねてみる。


「ん。なんだかポカポカした気分。」


メガの言葉を聞いて嬉しそうに守は微笑む。


「そりゃあな。人肌の温もりってのは意外と気持ちいいもんだ。」


「確かに。こんなに気持ちの良い物を味わえるのなら、さっきたくさんのクラハシの女の人たちを殴り倒してきたかいがあったというもの。」


メガの言葉を聞いて頬を引き攣らせながら守は問いかける。


「ちなみに、その殴り倒してきた、というのはどういうことなんだ?」


「ん?そのままの意味。アナタが強いってことを知ったクラハシの女の人たちがアナタを襲おうとしてたから、全員殴り飛ばして気絶させといた。」


「嘘ぉ…。」


そうして孤独だった二人の夜は過ぎていく。

同類を見つけた二人の声は楽しく弾んでいた。

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