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修業兼攻略⑥

ブックマークが増えてた。


読んでくれてありがとうございます。



守とフランとルギはクラハシの集落の中で酒を飲んでいた、というよりも飲まされていた。


「さあさあ、姉御、飲んでくだせぇ!」


「あ、兄貴の分もまだまだありますからねぇ!」


理由は、三人の目の前でニコニコしながら酒を注いでいるキロだ。


キロに言われてクラハシの集落に泊まることが決まった後、自己紹介の場でフランとルギが自分並みの戦闘力を持っていることを守が言うと、なぜかフランとルギまで畏敬の念を込めて姉御などと呼ばれるようになったのだ。

キロに尊敬されているという点が注目を集め、クラハシの人たち全員が自分たちより力も心も大きい者として守たちを尊敬するようになったのである。


「だから、その姉御というのは何とかならんのかね…?むず痒くて仕方がないんだが。」


ついに姉御呼ばわりに耐えられなくなったフランが呼び方を変えてくれないかと頼む。


「それじゃあどういう呼び方にしますぅ?女神フラン様、戦乙女フラン様、大天使…」


「うん。やっぱり姉御のままでいいよ。」


真顔で申し出を断るフランを見て苦笑いしながら守はキロに問いかけた。


「なあ、キロ。一つだけ聞きたいことがあってさ。

勝負の時に、クラハシの精鋭がどこかに出かけている、みたいなことを言ってたじゃん?その精鋭たちって、やっぱり強いのか?」


守の問いかけにキロは少し考えてから言った。


「はい。ウチの民族、クラハシでは族長と族長を守る数十人の精鋭がいましてねぇ。俺たちはそいつらのことを「牙」って呼んでるんですが、そいつらの強さは俺に匹敵するほどの物でぇ、一人一人がボスモンスターを単独で倒せるほどの猛者でしてねぇ…。」


キロの答えに守は驚いた顔をしながら質問する。


「ってことは、キロは単独でボスモンスターを倒せるくらい強いってことかよ…。俺はなんて奴を相手に戦ってたんだ…。

だがキロ。お前もそれくらい強いんなら、なんで「牙」に入らないんだ?」


守の問いにキロは誇らしげに胸を張りながら答える。


「そりゃあ、俺がクラハシの族長の息子だからですよ!」


キロの答えに目を見開いて守はさらに質問を重ねる。


「だが、お前には護衛はついていないのか?お前だって族長の息子なんだったら、その身を守るために護衛がつけられるものじゃねえのか?」


「クラハシの中でのルールは、族長をリーダーとしてその下に族長の家族、その下に「牙」がくるんですよぉ。

基本族長が外出するときはクラハシの中で二番目に地位の高い族長の家族が集落を守るのが掟なんですよぉ。」


その答えに守は感心したように頷いてキロを褒めた。


「ほぉー。族長の留守の間にたった一人で集落を守っていくなんてすごいじゃないか。」


「いえ、それが、親父、族長には二人子供がいましてねぇ。俺はその二人の中でも年下の方なんですよぉ。」


その言葉に守は再び驚いた表情をした後に問いかけた。


「そのお兄さんはどんな人なんだ?」


「いや、兄ではなくて姉ですよぉ?」


「へ?」


族長の子供と言うからゴツい大男を予想していたが、それが見事に外れて驚いている守にキロがジト目を送りながら問いかける。


「もしかして、戦闘民族の子供は男しかいない、なんて前時代的なことを考えていたわけじゃないですよねぇ?」


「も、もちろんじゃないか。」


正直、クラハシにいる女はみんなよそから奪ってきたものだと思ってました!などと言えるはずもなく、曖昧な笑顔を浮かべながら守は質問をする。


「そ、それじゃあ、そのお姉さんはどんな人なんだ?強いのか?」


その問いにキロは少し迷ってから顎をかきながら曖昧に答えた。


「姉さんは、なんというか、その、美人でクラハシの中にも姉さんに惚れてる奴はたくさんいるんですが、一族の中では珍しく強い力を持つ男に言い寄られても無視できるっていう意味わからない性格の女なんですよぉ…。」


(むしろそれが普通の女な気がするんだけどなぁ…。まあ、普通の人間でも戦闘民族の中では浮いて見えるんだろうな…。)


普通の人間なのに戦闘民族に生まれてしまったキロの姉を可哀そうに思いながらも守はキロの話に耳を澄ます。


「しかも、姉さんはなぜか対象の人間の思考を読み取れるらしいんですよぉ。」


(訂正。やっぱり戦闘民族にマトモな奴はいないわ。)


その後も同じように守が気になったことをキロに質問して、キロがそれに答えて…ということをしばらく続けているうちに深夜になったので、守とキロはお互いにお休みと言い合ってから自分に与えられた寝床に向かった。

ちなみにフランとルギは酔いつぶれてしまったのでクラハシの中の女性に負ぶわれていった。



守はまだ知らない。寝床に到着したときに自分は人生でトップに入るであろう衝撃に出会うことを。

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