修業兼攻略⑤
ブックマークが増えてた。
読んでくれてありがとうございます。
審判の声を聞いたその場の者たちの反応は様々だった。
キロを負かした守に驚く者。
守と戦いたくなってきた戦闘狂。
自分たちですら敵わなかったキロを守が倒してしまったので、守からフランとルギを奪い取ることを諦める者。
守が時間操作を使ったことに気づいて後でどうやって説教しようかとイイ笑顔をする者、というかフラン。
様々な反応をしている者たちを見ながらキロは清々しそうに言った。
「こりゃぁ俺の完敗だなぁ。いやあ、参った参ったぁ。」
清々しいキロの様子を不思議に思って守は問いかける。
「何でそんなに清々しそうな顔をしているんだ?俺はお前が本気を出す前に倒したんだぞ?そんな戦闘に満足できるのか?」
守の問いにキロは肩をすくめながら答える。
「全く、これだから戦闘の良さをわかってない奴はぁ…。
いいかぁ?俺たち戦闘民族は何よりも価値のある戦闘を好むんだぁ。
だから、たとえ本気を出せなかったとしても俺たちは満足な戦いができればそれでいいんだよぉ。」
「意味わかんねえ…。戦闘狂なんてモンは一生理解できねえわ…。」
理解のできないようなキチガイな考えを説明したキロに引き気味になりながらも守はフランとルギを呼んでから、三人で踵を返して去っていこうとする。
「オイ、何でお前ら女を奪っていかねえんだぁ?」
キロの質問に守はバレたか、というような顔をして振り返る。
戦って他人から女を奪い取るなどということはやりたくなかったので、守は断りの言葉を口に出す。
「いや、戦って勝ったくらいで他の人から女を奪い取るなんてことはしたくないしよ。」
その言葉を聞いてキロは守が自分を傷つけないようにしていると勘違いをして感極まったような様子で話す。
「お、お前、なんて心の広い奴なんだぁ!」
「へ?」
守の呆気にとられたような表情も気にせずキロは言葉を続ける。
「お前、俺を傷つけないように俺から女を奪い取らない、なんて言ったんだなぁ!」
(ええー!?イヤイヤ、そんなこと考えてねーから!)
内心で大絶叫している守に気づかないまま、キロは守に頭を下げて言う。
「お願いだぁ!アンタの名前を教えてくれぇ!」
「いや、さっき審判が言ってたよな…。まあいいか。俺の名前は守だ。」
ため息を吐きながら守が名を名乗ると、キロは感激した様子で衝撃の提案をした。
「俺はアンタの大きな心に惚れ惚れしちまったぁ!頼むぅ!マモルさん!アンタのことを兄貴と呼ばせてくれぇ!」
「いや、実力はそっちの方が上なんだから、せめて弟とかじゃなくて?」
守の少しズレている質問にキロは首を横に振りながら自分の考えを口にした。
「いーや!アンタは確かに俺よりも少しは弱いかもしれないが、その心の大きさは俺なんかじゃ比べ物にならねえよぉ!」
「えぇ…」
困惑している守を見ながらキロは見物しているクラハシの人たちに言い放った。
「聞けぇ、お前らぁ!今日からこの人、マモルさんを兄貴って呼ぶぞぉ!これほどの心の広さと実力を持ってる奴は他にはいねぇほどだからなぁ!」
「えっ…ちょっ…待っ…」
「「「オオオオオオ!」」」
「さあ、兄貴!今日は泊っていってくだせぇ!」
「ハァ…」
反論する間もなく兄貴と呼ばれるようになってしまったことにため息を吐きながらも自分をキラキラした目で見てくるクラハシの人たちには勝てず、守は仕方なく承諾した。
「おう…。それじゃあ一晩だけ頼むわ…。」
「「「よっしゃあああああああああああ!」」」
「「「ハァ…。」」」
狂喜乱舞しているクラハシの人たちを見ながら何か面倒な民族と関係を持ってしまったと思って守とフランとルギとはため息を吐くのだった。
そんな守を肉食獣のような目で見ているクラハシの女性陣に気づかないで。




