修業兼攻略③
これから数話は変態集団についてのお話。
守の問いにドラゴンらしき物の上に立っている男は誇らしげに胸を張りながら答える。
「いいかぁ?よく聞きやがれぇ!俺たちの名は、戦闘民族クラハシ!迷宮に暮らす最強の民族よぉ!」
「なっ…クラハシだって…?」
「なんと!そんなものがここにいたのですか!」
「なあ、フラン、ルギ。あいつらについて何か知ってるのか?」
驚いた様子のフランとルギに守は問いかける。
それに対する二人の答えで守の顔は真っ青になる。
「ああ、この世界で二番目に強いと言われている戦闘民族で、何よりも強いものを好む戦闘民族だ!」
「しかも、女性は強い男以外には全く興味を示さず、男性に至っては大の女好きでみんなハーレムを夢見ているという最悪の一族です!」
「あれ?それって俺たちかなりヤバい状態じゃね?」
「はい。彼らが女好きということはおそらく、私とルギを虜にしようとするだろうな。」
「ふぇ?わ、私ですか?」
フランの言葉にルギは慌ててフランに問いかける。
「あの…、何で私まで虜にされる可能性があるんでしょうか?」
「いや、それはお前が美人だからだろ。」
「ふぇぇ?マ、マモルさん…。女性にそうやっていきなり誉め言葉を送るのは反則かと…」
「いや、今それどころじゃないのだがね…」
ルギの様子に呆れたようにフランが言った時、守たちの話し合いを見ていたドラゴンの上の男が痺れを切らして話しかけた。
「おぉい、お前ら!よくわかんねぇけど、俺たちに何の用だ?」
守はいきなりの質問に少し焦りながらも、できるだけ動揺を悟られて見くびられないように平静を保って言葉を返した。
「いや、少し旅をしていたら君たちの声を聞いたものでな。興味があったのでついつい覗き見してしまった。それについてはすまなかったが、そろそろ俺たちも出発しようと思ったのでな。お前たちは俺たちに何も望んでいないと思うからな。それではさらばだ。」
余計なことを相手に言われる前に相手から逃げてしまおうと思って守たちがそそくさとその場を離れようとした時、ドラゴンの上の男の周りの男たちが焦ったように守たちに話しかけてきた。
「なあなあ、お前ら、少しだけ俺たちと一緒にいないか?そうすればたぶんお互いの良いところを見せあって良い男女関係を築けると思うしよ。」
「そうそう!恋愛にはお互いを知ることが大事だしな?」
もはやフランやルギに対する欲望を隠そうともしない男に引き気味になりながらも守は丁重に断ろうとする。
「いやいや、そこは堪えて、な…?」
「男のお前に興味はねえんだよ!」
「そうそう!どんな奴もそこのドラゴンの上にいるキロにはかなわねえんだしよお!」
「それにお前、見るからに弱そうじゃねえか!」
自分たちを止めに入った守を男たちはフランたちと一緒にいることへの嫉妬と守の見た目の軟弱さで馬鹿にするが、それに黙っていられない者がいた。
「ほう?貴様ら凡俗程度が、私の実験の完成体を弱いと思っているのか?」
フランである。
フランは自分の研究で作り上げた最高傑作である守を侮辱されたことと自分を男たちが恋愛的な意味で見ていることに不快感を堪えきれなかったのだ。
瞳孔が開ききっているその姿に、クラハシの男たちは一歩後ずさる。
そんな男たちを見て、キロと呼ばれた男がドラゴンの上から静かに降りてきた。
「オイ、お前ら。見苦しいぞ?いちいち言葉で女を奪い合うたあ、凡俗のすることだろうが。」
その言葉に男たちはバツの悪いような顔をして後に下がり、フランはキロの姿を見て目を見開いた。
キロの体から発せられている強者の雰囲気は間違いなく魔王の部下の中でも上級のクラスの物であり、戦闘民族とはいえそこまでの強さに辿り着くなど本来はありえないことだったからである。
フランの驚きの視線を浴びて心地よさそうに笑いながらもキロは言葉を発する。
「見たところ、そこの軟弱そうな男も中々に強いみたいじゃぁねぇか。
しかもそばの女は二人とも上玉。
となれば、することは一つしかねえよなぁ…?」
何やら不吉な予感を感じて顔を引き攣らせる守にキロは言った。
「それじゃあ、女の奪い合いを始めようぜぇ?」




