修業兼攻略②
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修業をすると決めて守たちが強い魔物を探していると、遠くから大きな声が聞こえてきた。
「なあ、今の声聞いたか?」
「ああ。聞いたね。」
「ええ。聞きましたね。」
「俺が思うに今の声は人の物だったと思うんだけど、お前らはどう思う?」
「私も人の物だと思うね。」
「私もです。」
「それじゃあ声が聞こえた方向に行ってみないか?強い魔物の情報が聞けるかもしれないし。」
「それもそうだね。」
「賛成です。」
相談を終わらせて三人は声の方向に向かう。
「いよっしゃー!今回のMVPは俺だな!」
「クッソ!調子に乗るなよ!今度こそは俺がモンスターを殺しつくす!もう強い奴なら誰でもいいから殺し合いがしてえ!」
何やら物騒な会話をしている声に顔を若干引き攣らせながら守たちは声の持ち主がマトモな人間であることを願いながら声の聞こえる方向に向かって進んでいった。
だが、守たちの淡い希望は砕かれることになる。
「いやったー!まさかドラゴンを殺せるなんて運がいいぜー!」
「クッソー!うらやましいぜ、あの強さ!アイツの強さはあらゆる女を引き付けるからな!俺もあんな強さを手に入れて女の子にモテて―!」
そこには、上半身裸でドラゴンらしき生物の上に立っている男とそれに黄色い声援を送っている多くの女性、それをうらやましそうに見つめる上半身裸の男たちがいたのだ。
守たちはどんな変な人物が声を出しているのかと警戒をしていたが、まさか上半身裸の変態たちに遭遇するとは思っていなかった。
完全に予想外な出来事に守たちの思考が一旦フリーズする。
数秒経って思考のフリーズが溶けた守たちは、岩陰に隠れて会議を始める。
「おい、なんだよアレ。明らかに変態の群れじゃねえのか?もしかして迷宮には変態っていう魔物も出現するのか?」
「落ち着け、マモル。アレが変態集団にしか見えないのは私も否定しないが、一旦冷静になって考えよう。床に転がっているドラゴンらしき物、その上に立っているどう見ても汗臭そうな変態…。ダメだ。思考回路がショートしてしまう。」
「お、落ち着いてください、フランさん!?ホラ、深呼吸です。ひっひっふーですよ、ひっひっふー。」
「お前らの方が遥かにパニックになってんじゃねーか。」
自分よりも遥かにパニックに陥っている二人を見てツッコミを入れながらも守は頭を冷やして提案をする。
「落ち着け二人とも。今俺たちに必要なことは、どうやってあの変態の群れから逃げ出すか、そうだろ?」
守の言葉に二人はハッとなってかあら心を落ち着けるために深呼吸をして、真剣な表情で話し合いを始める。
「まずはあの変態たちが危険な存在かどうか、だ。」
「ああ。私が思うに、あの変態たちはおそらく危険な存在ではないと思う。あの姿を見てみろ。迷宮の中で魔物が寄ってくることも考えずにあれほど大きな声を出すということは、おそらく奴らはかなりの馬鹿だ。馬鹿など恐れるべき存在ではないよ。」
フランの意見に守は少し考えてから答えた。
「いや、そうやって最初から相手を見下していては足元を掬われるぞ。馬鹿だってできることはあるんだ。それに、馬鹿なことと危険なこととはあまり関係ない気がするんだが。」
「ふむ…。確かに馬鹿といえど侮ってかかってはいけないな…。しかし、どうする?このままではいい結果が出ないうちに時間だけが進んでいってしまうと思うのだが?」
「そうだよな…。」
「そうですね…。」
そうして守たちが話をしていると、ドラゴンらしき物の上に立っている男がいきなり守たちの方を向いて、大声で叫んだ。
「おい、そこの者たち!一体何者だ!覗き見などと、趣味の悪いことをするでないぞ!」
(お前らの方が趣味悪いだろ!)
守が脳内でそんなツッコミを入れているとも知らず、男は続ける。
「さあ、出てこい、不届きものども!」
男の声を聞いて今逃げたらおそらく追いかけられて捕まるだろうと直感的に感じ取りながら守はフランとルギと一緒に男の前に出ていく。
「おお!男の方は目と髪以外普通だが、女は美人だぞ!」
「美人なんて俺たちの一族の中には少ししかいなかったからな!ついに俺にも春が来たぞ!」
容姿が整っていて控えめに言っても美少女であるフランとルギを見ながら男たちが口々に話し合うが、肝心のフランとルギは顔を顰めていた。
「何なんですか、この人たち。すごく恐ろしいんですけど。」
「その点については同感だな。私たちをそういう目で見ているのがまるわかりだ。控えめに言ってキモイな。」
そんなことを言っているフランとルギを見て苦笑しながらも、守はドラゴンの上の男に問いかける。
「ちょっと聞かせてくれ。お前たちは何者なんだ?」
毎回微妙なところで話が終わってしまうのは反省している。すまない。




