第1話:報
だめだめです。がたがたです。
読んでて嫌気がさすかもしれませんが、そこはぐっとたえて最後まで読みきってやってください。
よろしくお願いします。
洋介は、いつも通り机に伏せつつ授業をやり過ごすと、長いHRがはじまった。
日直が教卓の前にたち、本日の反省やら先生のお話やら言っている。
やがて、担任教師が前に立ちなにやら話し、起立の号令がかかった。
寝起きの洋介は、目と鼻の間をつねって、伸びをして、欠伸をして立ち上がった。
「きょうつけー。れーい。」
洋介と他の生徒たちは軽く頭を下げてから、ぞろぞろと教室を後にする。
周りの生徒たちは皆、靴箱に向かう。
しかし、洋介を待ちわびる2人の親友がいた。
隣のクラスの、浅田亮・倉持慧。
そして、葉山洋介
小学校から同じ学校だった3人は、いつも一緒だった。
だが、中3になった春。運の悪いことに、洋介のみA組で、亮と慧はB組だった。
最初は不安と嫉妬があったものの、今ではなんともなく過ごせている。
「おっせーよ!俺らとっくに終わってたから!」
悪い悪いと洋介がなだめる。
「ほらっ!さっさと行くぞ!」
そうして、仲良く3人で帰り道をワイワイと歩く。
途中、慧が抜ける。分れ道で左と右に別れる。
さらに数分後、洋介の家の前につく。亮が手を振っている。洋介も笑顔で振り返す。
家に入ると、誰もいなかった。
カギも開けっ放しで…。洋介はあきれる。
「あー。疲れたー。」
洋介はそう言ってベットに横になった。
…どれくらいたっただろうか。
本日何度目かわからない伸びをする。そして欠伸。寝ていたようだ。
時計を見る。現在8時59分。
危ない。間に合った。
7時から見たい番組があるじゃないか…。
洋介はそう思いテレビをつけようとする。が、リモコンが見当たらない。
しかたなく本体の電源をつける。
左上の12の数字。12chか。
たしかあの番組は8chだったはず。
そう思い洋介は8chにしようとした。
が、動かない。
どうしたことかと思っていると、突然部屋のドアが開いた。
「おにいちゃーん!」
妹だ。
妹の可憐が入ってきた。
「おいカレン!ノックくらいしろよ!」
洋介は怒る。
だが、可憐はエヘヘと笑いながら洋介のベットに腰掛ける。
「ほら、テレビ。1人で見んのなんか不安だからさ!一緒に見ようよ!」
「なんだ?なんかホラー特番か?もうそろそろ夏休みだしな。」
洋介はそう言って笑う。
だが、可憐は
「違うよ!おにいちゃん知らないの?9時から一斉放送で見なきゃいけないやつがあるんだよ!」
真面目な顔で言う。顔が近い。
「な、なんだそれ。一斉放送?」
小6の妹に問う。
「うん。なんかねー政府発信?だったっけな?そんなの。とにかく見なきゃいけないの!」
可憐はそう言ってテレビの前に座る。わざわざ移動してだ。
「へ〜。」
洋介は信じない。
まあどうせ可憐が勝手なこと言ってるんだろう。
そうしてケータイを開く。未読メール12件。
あわててみてみると、全員宛先が違かった。
しかし、内容は同じ。
「一斉放送のヤツ?見るよね?」
「なんだろね。政府発信だなんて。」
「おーい洋介ー。起きてるかー?」
など。
そして、
放送が始まった。
しかし、普通のニュース同様、2人のアナウンサーが座っている。
「こんばんは。国民の皆さん。」
視点がずれる。
総理大臣がいた。
「こんばんは。」
可憐はつまらなそうな顔をしている。
「みなさん。」
中川総理が口を開く。
「この番組は20分しかありません。すべての放送局に通じてお送りしています。」
つまり、テレビジャックだ。
「さて、いきなり本題なのですが、何もかも便利になった今、私たちに足りないものはなんでしょう?」
お金。と可憐が即答する。
「お金。愛。などとおっしゃる方もいるとは思いますが、違います。」
可憐はげんなりした顔をする。
「今、我々に足りないものは、意識です。そう防御意識。」
いきなり何を言い出すんだ?洋介はそう思う。
「現在、私たちの国、日本は、危険な状況にあります。朝鮮民主主義人民共和国との関係問題、アメリカ、ドイツ、ロシア、中国…。」
可憐はあきてしまったようだ。欠伸をしている。
「日本が今まで特別視されていた理由は、技術があったからです。日本特有の技術。しかし、それもいまや海外に伝わり、中国に追いつかれています。」
アナウンサーたちもうなずいて聞いている。胸には小宮山と書かれたプレート。
「大きな国同士ですし、大規模な、国あげての攻撃はありません。ですが、単体的な潜入。つまり、テロ行為などの、中規模攻撃のことです。」
小宮山さんも一生懸命きいているぞ。可憐は眠そうだ。
「日本人は、個人としての能力が低い。海外に攻め入られるのは何十年後かわかりませんが、今後のため、第一回日本サバイバル強化大会。を開きたいと思います。」
バカらしい。だがアナウンサーたちは熱心そうだ。演技ではないようだ。
「詳しい内容は…。」
洋介はみつけたリモコンで電源をきった。
これに関しては可憐も異論はないようだ。
可憐はおやすみーと言って部屋を出て行った。
晩御飯は食べていないが、食欲もたいしてないな。
そうして洋介は眠りについた。
目をさますと、授業が終わっていた。
が、それは昨日からの眠りではなく、学校にきてからの居眠りだ。
気づくと6時間目が終了。給食を食べたかさえ忘れている。
昨日のように、HRもチンタラ終わり、また慧たちが待っているかな。と思い急いで外に出る。
が、まだB組は終わっていないようだ。
そんな洋介がB組の前まで行くと、1人の女子生徒がいた。
相原静。
名前の如く静かなヤツで、同じクラスだということさえも忘れてしまう。
そう思っているとき、急に静がぶるっと震えた。
だが、震えたのは静だけでもなく洋介もだ。B組の中から怒鳴り声が聞こえてきた。
「だからなぜダンボールを壊した!まったく!気が狂ってる!」
カエルみたいな顔の石川という先生だ。全く今日も元気だなあ。
苦笑いしていると、静の視線を感じた。
静の方を見てみると、同じく苦笑いしている彼女がいた。
まだまだ続きそうな説教の声が聞こえる。
こうしているのも何なので、声をかけてみよう。
そう思って洋介が口を開く前に、静が口を開いた。
「ねえ、葉山くん。」
凛とした声をしていた。
「葉山くん、昨日のアレ。見たよね?」
アレ。一斉放送のことか。
「ああ。見た。まあそこまで興味がわかなかったが。」
「そう。でも私は出たいかな。」
「サバイバル大会?だっけか?あんなの出てメリットあんのか?」
問う。
「…。葉山くん、ちゃんと見てないでしょ。優勝賞金30億円。」
洋介は声をあげて驚く。
「それだけじゃないよね。地位、名誉。すべて手に入るって。どこの企業にも就職できるし、国の後ろ盾がつくんだってさ。」
静は笑っていう。
「でも、いっぱい参加しそうだな。それって。」
洋介は再び問う。
静はげんなりした顔で言う。
「葉山くん、ほんとに見てたのかな。参加できるのは、8組16人だよ。」
2人ペア参加か。そう思った。案外少ないな。
話ていると、いつのまにかB組のドアが開く。まっさきに出てきたのは慧と亮だ。
「わりぃわりぃ。待たせたな!じゃあ速効帰るぞ!」
そうして、静と別れてダッシュする慧と亮を追いかけたのだった。
つづく。




