Ⅳ誌
何この、状況。
彼女の頭の中は、この言葉しかなかった。
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この世界は乙女ゲーム。ヒロインと、攻略対象者たち。そして、サポートキャラクターがなぜか数名いる。大抵一人なのだが、この乙女ゲームには男女合わせて4名もいる彼らは地味に暗躍してくれます、ハイ。そして、悪役というかライバルキャラクターたち恋のスパイス、いいよねライバルキャラクターがいることで燃え上がりますよねーと彼女、樹向は思ってる。しかし、彼女は現実的に恋愛には興味はないので傍観を楽しむのみであった。
前世で一番人気のキャラクターは、なんと攻略対象者の一人ではなくサポキャラだった。4人のうちの一人、美しすぎる男サポキャラだ。俺様不良様よりも美しいその容姿は、攻略対象者ではないため世の女性たちは泣いた泣いた。攻略不可は逆に燃えるなんてプレイヤーたちは言ってたし二次本なんか色々出回ってたなと振り返る。
公式では、彼には既にお相手がいるので攻略不可です。という、抗議に対しての回答だった。
そして、冒頭に戻るのだがなぜそのサポキャラは私に微笑むのだろうか?
「野園ー、っと」
数年前、偶然仲良くなった年下攻略対象者の彼、お元気イケメンくんは私を探してかキョロキョロしながらこちらへとたどり着き驚愕の表情を浮かべた。
「神杜星冥様?」
と、彼の名を呼んだ。彼の家は、絶大的な信頼が集る陰陽道一族。世界各国の企業たち、またその国のトップたちは彼の家の力を欲すほどの力らしい。そんな人がなぜか、サポキャラである。しかし、彼の時折の言葉はヒロインを何度も救う。
「やあ、こんにちは。元気そうだね」
元気が取り柄の彼にそう告げ、微笑めばほのかに頬を赤らめ…「彦、なに頬赤らめてますの?」
「う、あ…しまった!」
「……男に惚れられるのは、僕もごめんかなぁ」
微笑み、そして惑わす男。しかし、彼には既にお相手がいるはずだが一体誰なのか?彼女、樹向はそう思った。前世からの最大の謎がいますぐそばに、しかしそんなに面識がない上彼にはお相手がいるなんて噂もないため安易に訊ねるのは出来ない。
「……あっ!樹向、現国の先生よんでた」
「…ええ、わかりましたわ」
たまに、名前でよぶ彼に気をつけてという視線を送るとあっと肩を狭めた。なぜ、神杜星冥は私を見つけ微笑んだのかそれは謎だ。そう思いつつ、名残惜しいが離れる。
「名前よび、かいいね」
「え?」
ぽつり、呟いた神杜星冥。それを聞き逃した彦は疑問符を浮かべた。
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