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第九百四十九話 アルメントの町

「ここがアルメント?凄いわ~。本当にここは、噂に違わず風光明媚なところね~」


 エルバが、別荘地アルメントを眼下に見下ろす丘の上で、感心したように傍らのコメットに対して言った。


 するとコメットも眼下を眩しそうに眺めながら感嘆の声を上げたのだった。


「はい、姉様。山々の神々しいまでの青さに、吸い込まれそうな程美しく輝くエメラルドグリーンの湖。本当に素晴らしい景色ですよね。久しぶりに見ましたけど、幼い頃の楽しかった記憶が蘇ってきます」


「そう。それはよかったわね。それにしてもこの景色を見られただけで、ここに至るまでの長い道のりの苦労が報われるわね~」


「はい。もう疲れも吹っ飛んじゃいました」


「ええ。でも……やっぱりお風呂に入って大きな湯船に足を伸ばして浸かりたいわねえ~」


 するとコメットが後ろで控えるバルトを顧みた。


「ねえバルト。あの別荘ってここから近いのかな?」


 するとバルトが重々しく首を横に振った。


「いえ、眼下に見えますアルメントの町を突っ切った先にございますので、まだ幾分お時間がかかります」


 するとコメットが大きくうなずいた。


「やっぱり!道理で幼い頃に見た景色とちょっと違うなって思ってたんだ。そうか、じゃあ……あの辺になるのかな?」


 コメットはそう言うと、町の遙か先の方を指さした。


 するとバルトが今度は首を縦に振った。


「はい。あの山の中腹に、件の別荘はございます」


 するとエルバが少し不満げな声を漏らした。


「そう……じゃあ、まだだいぶかかるわね……」


「姉様、本当にお疲れのご様子ですね?」


「ええ、結構ね……」


 エルバが肩をすくめながら言った。


 するとそれを聞いてコメットが心底困った表情となった。


 そして首を左右に振ってシェスターの姿を探した。


「……あ、シェスターさん。別荘に行く前にアルメントの町で最後の休息を取りませんか?姉様も僕もくたくたなものですから……」


 するとシェスターが、軽く馬腹を蹴って二人のすぐ近くまで進んだ。


「ふむ。そうだな。多少遅れたところで別荘が逃げ出すわけでもあるまい。その前に一旦休息を取って英気を養うというのも悪くはないな」


 するとシェスターが振り返って皆に問いかけた。


「どうかな?諸君。一旦アルメントの町で休息を取ろうと思うが、反対の意見の者はいるかね?」


 シェスターの問いかけに、声を上げる者はいなかった。


「よし。ではアルメントの町で一時休憩を取ることとしよう。アジオ、トランと共に先行し、休憩できそうなところを探しに行ってはくれまいか?」


 するとそれを聞いたエルバが、いたずらっぽくウインクをしながら言ったのだった。


「足を伸ばして浸かれる湯船のあるところよ?二人とも頼むわよ」

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