表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~  作者: マツヤマユタカ@1×∞(ワンバイエイト)コミック第三巻発売中!
第三章 幼年期の終わり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
94/2928

第九十三話 黒き巨柱

 ガイウスは瀟洒(しょうしゃ)な造りのレストランの二階で、この街名物の川魚をパイで包んで焼き上げた料理を、口いっぱいに放り込んだ。


「うん!これはいけるね」


 傍らのアベルもまた、白いクリームソースがねっとりと(から)んだ熱々の肉の塊を、これ以上ないというくらいに口を開けて詰め込む。


「んむっふっ!美味しい!」


 二人の満足げな表情を確認して笑みをこぼしたロデムルだったが、ふと目をやった窓の外で不可思議な光景を目にした。


 それは広場のちょうど反対側から伸びる、入り組んだ路地の先の家の屋根から立ち昇る、黒い煙のようなものであった。


「火事か?……いや」


 ロデムルの呟きにガイウスが反応した。


「うん?火事?何処?」


 ガイウスがきょろきょろと窓の外をうかがい見るのと同時に、先ほどの黒い煙のようなものが爆発的に膨れ上がり、一本の巨大な柱のようにそそり立った。


「なんだあれは!?」


 ガイウスの言葉に、夢中で料理にかぶりついていたアベルまでもが反応し、反射的に窓の外を見た。


 巨大な柱は、夏の終わりを告げる入道雲を一直線に貫き、天にも昇る勢いであった。


 三人は窓の外の驚くべき光景に見入られ、しばしの時が過ぎ去った。


 すると黒い巨柱(きょちゅう)は次第にその色彩を弱め、薄ぼんやりとした灰に近い色に変わったかと思うと、さらに色を弱めて、ついに音もなく消え失せてしまった。


「なんだったんだあれは、もしやカルラが?」


 ガイウスの閃きに、ロデムルも同意した。


「おそらくそうかと。あの方角は、カルラ様が向かった先でございます」


 ガイウスはうなずくと同時に、傍らのアベルへと視線を移し、優しく語りかけた。 


「アベルはここで食べているんだよ。僕らの分も食べていいからね。おとなしくしていて?」


 そう言い聞かせると、アベルは黙ってこくっと頷いた。


 ガイウスは、ロデムルへと向き直って声をかけた。


「行こう!」


「はっ!」


 ガイウスは勢いよく立ち上がると、一階へと通ずる階段めがけて駆け出した。


 だが歩幅の違うロデムルは、ガイウスよりも遥かに早く階段へと到達し、瞬く間に階段を駆け下りていった。


 ガイウスが小さな身体で必死に走り、ようやく階段へと到達して階下をのぞくと、ロデムルがレストランの店主にお金を渡しているのが見えた。


 ガイウスはその光景を見ながら、必死に階段を駆け下りた。


 ようやくガイウスが一階へと到着すると、店主と話し終えたロデムルが言った。


「店主に、アベルのことをよく頼んでおきました」


 ガイウスはうなずきながらロデムルの横を駆け抜け、出口へとさらに走った。


 しかしそんなガイウスをまたも追い抜き、ロデムルは大股で移動して先に出口へと到達するなり、重い扉を勢いよくブワッと空気の流れを起しつつ開け放った。


 ガイウスはロデムルの脇を走りぬけ、店の外へと飛び出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=46484825&si
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ