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第九百四話 仲違い

 するとエルバがニコッとコメットに対して優しく微笑みかけた。


「大丈夫よコメット。間違っていても心配しないで。こういう時はね、悪い方を想像しておいた方がいいのよ。だってそれでもし良い方だったらラッキーって思うじゃない?でも良い方だけを想像していて、逆に悪いことが起こったら凄~くガッカリしちゃうでしょ?だから悪いことが起こると思っている方が良いのよ」


 そう言ってエルバは可愛らしくウインクをした。


 コメットは少しはにかみながらも、笑顔を返したのだった。


 するとシェスターも二人のやり取りを見て、笑顔を見せた。


「……それにしてもずいぶん短期間で仲良くなったものだな?」


 シェスターが感心したように言った。


 するとエルバが意外そうな顔をした。


「そうかしら?……そう……ね。確かにいわれてみれば早いかしら……どう思う?コメット」


 するとコメットが少しうつむき、しばし考えてから答えた。


「そうですね。確かに普通より早いかもしれません。でも、特に早すぎるってこともないと思います」


「ふむ。そうだな……確かにわたしも古い記憶を辿ってみれば、学校でクラス替えをした初日に、隣に座った子といきなり仲良くなったことがあったな……」


「ええ、いつもという訳ではありませんが、そういうことは希にあると思います。僕と姉様のケースも同じじゃないでしょうか?」


「うむ。思えばそのクラスメイトとはよほど気が合ったのだろう。いまだに付き合いがある。もしかしたら初対面ながらも何かを感じ取っていたのかもしれんな」


「そうですか。そのお友達とは今もお付き合いがあるのですか。なら、僕らもずーっと仲良くやっていけそうですね?姉様」


 コメットは朗らかな笑顔でエルバに語りかけた。


 するとエルバもとても可愛らしい笑顔を浮かべてうなずいた。


「そうね。たぶんだけど、わたしたちのどちらかが死ぬまで、仲を違えることは無い気がする……ま、なんとなくだけどね」

 

 そう言ってエルバがさらに可愛らしい笑顔を見せた。


 コメットは大いにうなずき言った。


「はい。僕もそう思います。生涯仲違いはしないと」


 するとその時、エルバのお付きの者が報告に来た。


「お待たせ致しましたエルバ様。ただいま宿泊手続きが終了致しました」


 するとエルバが反射的に身体を起こした。


「やった~!やっとお風呂に入れるわ。さあ行きましょコメット」


 エルバにうながされコメットも立ち上がった。


「さあ、案内して頂戴。ところで浴槽は足が伸ばせるかしら?ああ、そうね。貴方に判る訳がなかったわね。いいわ、どうせ部屋につけば判ることですもの。さあ、行きましょう」


 エルバは早口で捲し立てると、そのまま早足で階段に向かって一直線に歩いて行った。


 シェスターはエルバと、そのエルバに付き従うコメットの後ろ姿を見て、ほんわかとした思いを抱きつつ、睡魔に襲われソファーに身を沈めてしまうのであった。

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