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第八百八十七話 厨房

「……い、いえ……そんなに大きい訳ではありませんので……」


 亭主がかなり焦った様子で返答すると、間髪を入れずシェスターが言葉を継いだ。


「そうかな?実際数えてみるとテーブルが七台。そしてそれぞれのテーブルに椅子が四脚付いている。ということは、最大二十八人がこの店に入れる計算だ。となると到底一人で切り盛りできる数字ではないな」


 すると亭主が顔に脂汗をかき始めた。


「……はあ、いや……こんな辺鄙な村にはそんなに沢山のお客さんは来ないですし……」


「それならばこれだけの数のテーブルと椅子は必要あるまい?なのになぜ置いているのだ?」


 シェスターのさらなる追及に亭主が先程よりも大粒の汗をだらだらと流しはじめた。


 そしてそれと同時に、それまで怪訝な表情を浮かべて見守っていたバルトたちの腰がゆっくりと浮き始めた。


「……いや、それは……何と言いますか…………」


 亭主はしどろもどろとなって、仕舞いには口ごもってしまった。


 するとシェスターが、これまで壁に預けていた身体をむくりと起こし、にやりと口角を上げて言い放った。


「ではこれが最後の質問だが……この厨房の置くにいる者たちは一体何者なのかね?」


 シェスターが言うや、厨房から黒装束に身を包んだ男たちが飛び出してきた。


 だが男たちは二つある厨房からの出口に次々に殺到するも、その二つ共を瞬時に抜刀して身構えたシェスターとアジオに塞がれてしまったことで渋滞を起こした。


 するとバルトを筆頭に他の者たちも直ぐさま抜刀し、シェスターたちの援護とエルバたちの保護に殺到した。


「コメット様こちらへ避難なされませ!!」


「エルバ様どうかこちらへ!!」


 バルトとエルバのお付きの者らの叫び声が響く中、シェスターたちのつばぜり合いが続いた。


 だがそんな均衡はすぐに崩れ去る事となる。


「むんっ!」


 シェスターが遂に対峙する男の腹を、数々の修羅場を共にくぐり抜けてきた愛用の刀でもって深々と切り裂いた。


 すると直ぐさまシェスターは厨房の中に押し入り、二人目の男へと瞬時に斬りかかった。


 さらにその後をトランが続き、その腕力に任せた剣術でもって強引に襲いかかった。


 すると男はトランにほんのわずか気を取られた。


 その隙を百戦錬磨のシェスターが見逃すはずもなかった。


 シェスターは瞬時の内に男を逆袈裟に切って捨てた。


 そしてその返り血を顔一杯に浴びながら、シェスターが大音声で叫んだのであった。


「そこまでだ!もはや体勢は決した。尋常に降伏せよ。さすればこれ以上命は取らぬ!」


 シェスターの呼び掛けに黒装束の男たちは、次々に手に持った刀を床に落として恭順の意を表すのであった。

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