↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~  作者: マツヤマユタカ@1×∞(ワンバイエイト)コミック第三巻発売中!
第三章 幼年期の終わり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
86/2928

第八十五話 ダロスの現状

 1



「ふん!ちっとはましな面構えになったじゃないか!」


「まあそりゃ、あれだけしごかれたら、少しは精悍な良い男の顔つきにもなるってもんですよ」


「あたしゃそこまでいってないよ!なに自分で良いように言い換えてるんだい!」


「大して違いはありませんよ」


「ふん!口の減らない小僧だね!まあいいさ。どうやら、ようやくアッバスに到着したようだしね」


 ガイウス一行が遠くエルムールを旅立ってから、すでに二ヶ月もの月日が流れていた。


 この間、ガイウスはカルラによるとてつもなく強烈な魔法訓練と、それに較べればだいぶ優しめなロデムルによる剣術指南を受け、ずいぶんとたくましく成長していた。


 そして今、まさに彼らの眼下には、待ち望んでいたアッバスの街並みがはるか遠くまで広がっていた。

 

 そんなアッバスの港町特有の匂いが(ただよ)う中、彼らが二ヶ月もの間身を任せていた巨大な商船が、ついに岸壁に接岸した。


 ガイウスは居ても立ってもいられず先陣を切って飛び出し、大地をしっかと踏みしめた。


「ひゃあ~、久しぶりの陸地だ~」


 ガイウスはそう言って両腕を高く上げると、気持ち良さそうに大きく伸びをした。


 彼の後ろから悠然と桟橋を下りたカルラは、いつもの不機嫌そうな顔つきで言う。


「なに言ってんだい!一週間前にも、どこぞの町に寄港したばっかりだったじゃないか!」


「一週間()前ですよ!一週間()!大体僕は訳もわからずあなたに連れてこられて、二ヶ月間も船に揺られ続けたんですよ!熟練の船乗りならともかく、僕はいたいけな六歳児なんですからね!」


「ずいぶんと生意気な口を利くようになったじゃないか!いいかい、よく聞きな!ヴァレンティンの男たちはね、皆若い頃から波に揺られて生きると相場が決まっているんだよ!それを情けないったらありゃしない!恥ずかしいとは思わないのかい!」


「若すぎるにも程があるでしょう!何度も言いますが、僕は六歳児なんです!」


 ガイウスはこの二ヶ月あまりの間に、だいぶカルラに対しても物が言えるようになっていた。


(負けてられるか!せめて口では勝たないと、今後何をやらされるかわかったもんじゃない!)


 ガイウスは心の中で、そう固く誓いを立てていた。



 2



「みんな、あまり顔は明るくないけど、忙しそうに働いているね」


 ガイウスはアッバスの街並みと、忙しく立ち働く人々を交互にきょろきょろと眺めながら言った。


 ロデムルはそんなガイウスの背後から、低く落ち着いた声音で答えた。


「いくらダロスが古い停滞した国だと申しましても、庶民は皆忙しく立ち働かなければ生活できませんので」


「まあ、そうだよね。ところでダロスの経済力ってどうなの?」


「あまり思わしくありません。なにせ様々な仕組みや、制度がどれも古いままでございます。色々と規制が厳しいようでして、なかなか活発な商取引とは参らぬようです。また貿易に関しましても、様々な障壁を抱えて、四苦八苦しているようでございます」


「それじゃあ、いくら庶民がこうやって一所懸命に働いても、得られる賃金は他国よりも少ないってこと?」


「はい、おっしゃる通りです。経済が活発な国であれば同じように働くことで、多くの賃金を得られますが、ダロスのように停滞した国では少ない賃金しか得られません」


「ダロスは大国のはずなのに。領土がいくら広くても、経済が停滞していたら国民は貧しい思いをするってことか」


「経済力だけではありません。政治力も、そして軍事力もまた同じでございます」


 そこでガイウスは突然はたと立ち止まり、眉根を寄せた驚きの顔つきとなって叫んだ。


「もしかして!ダロスって、もはや大国じゃない!?」


 ロデムルは、恭しく首を垂れた。


「ご明察にございます」


 ガイウスは、思いもかけないダロスの凋落を目の当たりにして、愕然とした表情で立ちすくんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=46484825&si
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。