表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
827/2853

第八百二十五話 レノンへの問い

「……よし、とりあえずこの辺りまでくれば問題ないだろう……」


 ドーブは立ち止まり、辺り一面の大氷原を見渡して言った。


「……だがそれにしても、どうなったかな?結果は……」


 シェスターがかなり深刻な顔つきでドーブに問うた。


 するとドーブも目を細め、険しい表情を作って言ったのだった。


「……こればかりは判らぬ。わたしの実力では、あの方々の力を推し量ることすら出来ないのでな……」


 するとシェスターが、一番後ろでしれーっとした顔をしたレノンに気付いた。


「……おい、よくそんな、さも当然といった顔をして付いてこれたものだな?」


 だがレノンは特に表情を変えず、落ち着き払った様子で返答したのだった。


「そうですか?わたくしとしては皆様方に付いて参るのが当然だと思うのですが?」


 するとこれにシェスターがカチンときたのか、かなり表情を変えてレノンに対してにじり寄った。


「当然だと?それはどんな理屈なんだ?」


 だがこれにもレノンは動ぜず、しれーっとした顔のまま応じたのだった。


「人間は悪魔の前では無力ですからね。その悪魔同士の戦いとなれば避難するのは当然だと思うのですが?」


「避難するのは構わない。だがなぜ我らの後を付いてくるんだ?我々は明らかな敵同士のはずだぞ?」


「そうですね。ですが困った時はお互い様と言いますし、ここは一つよしなに……」


 するとさすがにシェスターが声を荒らげた。


「よしなになど出来るか!」


 するとそこでドーブが仕方ないといった感じで二人の間に割って入った。


「まあ、まてシェスターよ。ここで争ったところでなんにもならんぞ。それにわたしがこの者の同行を許したのには理由があるのだ」


「……理由?」


 シェスターが不承不承といった様子で聞き返すと、ドーブは軽くうなずき、言ったのだった。


「……この者に聞きたいことがあるのだ」


 するとすかさずシェスターが問うた。


「何を聞くと言うのだ?」


「……なぜガイウス・シュナイダーをダロスの王としたいのか……だ」


「それは、ダロスを欲しいままにしたいからではないのか?」


「……違うだろう。それはシグナスなどはそうかも知れんが、この者はおそらく違うはずだ」


 するとシェスターがいぶかしそうな顔となってレノンに問うた。


「そうなのか?レノン、どうなんだ?」


 するとレノンが、骸骨に薄皮を貼り付けたような薄気味悪い顔で笑った。


「……さて……どうでしょうか……」


 シェスターはさらにカチンと頭にきたのか、さらに一歩前に出ようとするも、その肩を掴んで止めようとする者がいた。


 ドーブである。


 ドーブはシェスターを押さえると、そのいかつい猪の口をゆっくりと開いて問いかけたのだった。


「……お前は敬虔なゼクス教徒であったな?ならばお前の目的は……ゼクス教による世界統治ということになるのではないかな?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=46484825&si
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ