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第七百八十六話 待ち受ける運命

 1



「……くっ!貴様ら……」


 アスタロトの後に続いてカリンとデルキア、ドーブが続き、さらにレノンがその後を冷笑を残して追っていくと、最後にシグナスが何の感情も持たぬ能面のような顔でシェスターたちの横を静かに抜けていった。


 シェスターはこのあまりにも絶望的な状況に、今にも膝を屈しそうな思いを抱いていた。


 だがそんなシェスターの傍らで佇むロンバルドは、至極穏やかな表情を浮かべていたのであった。


「……副長官……」


 シェスターの呟きに、ロンバルドは微笑みでもって応じた。


 するとシェスターの後背から、一人残ったメノンティウスが低い落ち着いた声音でもって言った。


「どうやらロンバルドは覚悟を決めたようだ。ならばお前も覚悟を決めよ」


 メノンティウスの言葉にシェスターは、若き日の血潮がたぎるように強烈に反発した。


「そう言われて、はいそうですかと言えるものかよっ!!」


 だがメノンティウスは至極冷静に落ち着き払った様子で言ったのだった。


「言えずともよい。だが歩け。事は決したのだ。お前にそれを覆す術はない」


 メノンティウスの最後通牒に、シェスターは腹の底から臍を噛んだ。


「……お前たちは一体、何処へ行こうというのだ?……」


 メノンティウスの絶対的な圧力に、シェスターはそう問いかけるのが精一杯であった。


 するとメノンティウスは口の端をくいっと歪めて悪魔的な微笑を浮かべながら言ったのだった。


「……それは行けば判ることだ。ならば今知る必要はない……さあ歩けお前たち。この先に待ち受ける運命に向かって……」



 2



「……一体この階段は何処まで続いているのだ?……」


 シェスターは、アスタロト達の後を追って大広間を出、そこから続く長い廊下をひたすら歩いた先にある、途轍もなく長い下り階段を延々と下りながら、後背に続くメノンティウスに問いかけた。


  するとメノンティウスが、やはり悪魔的微笑を湛えながら答えた。


「地獄の底だ」


「なに!?地獄の底だと?この最終第八階層こそが地獄の底ではないのか?」


 驚くシェスターの問いに、メノンティウスが軽く苦笑を漏らした。


「一般的にはな。だが実際はもう一段階、下があるのだ……」


 メノンティウスの回答に、シェスターは思わず眉根を寄せた。


「どういうことだ?……最終第八階層の下にさらに第九階層があるというのか?」


「いや、この下にはこれまでのような広大な空間が広がっているわけではない。だから厳密に言えば第九階層というわけではない。そうさな……最終第八階層の下に大きな穴がある……とでも思えばいいだろう」


 メノンティウスの説明に、シェスターは納得してうなずいた。


 だがそれと同時に、その大穴に潜む者についての答えが、シェスターの脳裏に浮かび上がってきた。


 それは地上における地獄にまつわる伝承をつなぎ合わせた結果、浮かび上がってきたものであった。


 そのためシェスターはその回答を、息を呑みつつメノンティウスにぶつけてみることにしたのだった。


「……メノンティウスよ……我らが行き着く先にいる者の正体がわかったぞ……」

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