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第七百十話 質問

「申し訳ないことながら、貴殿らにはそこで当分の間お過ごしいただこう。暗く狭いところではありますが、お世話はこちらのものにさせますので」


 レノンはそう言うと、自らの後ろに控えていた性酷薄そうな男を手招いた。


 男はレノンに対して頭を下げると、にやりと嫌な笑みを浮かべながらロンバルドたちに対して自己紹介した。


「ヤシブと申します。お二人にはレノン様の代わりにたっぷりと愛情を込めたお世話を致したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします」


 ヤシブはうやうやしく頭を下げるも、その顔には陰惨な笑みがべったりと張り付いていた。


 ロンバルドたちはそんなヤシブの表情から、共に同じく不吉な予感を感じ取ったのだった。


「ああ、そうそう、煙を炊くのはもういいでしょう。ヤシブ止めておきなさい」


 レノンはそう言ってにやりと笑った。


 ロンバルドたちは煙の誘いに釣られて罠に飛び込んでしまったことを後悔し臍を噛んだが、なにか言えば負けを認めることになると思い、何も言わずにただただレノンを睨みつけたのだった。


 しかしレノンは一向に意に介さず、笑みをその薄皮に貼り付けたままであった。


「それではわたくしはこの辺でお暇することとしましょう」


 レノンはそう言うと踵を返して立ち去ろうとした。


 だがそれを、シェスターが鋭い口調でもって呼び止めた。


「ちょっと待ってもらおう!レノン司教、貴殿は我らに聞きたいことがあるのではないかな?」


 レノンは足を止め、非常に緩やかな動作で振り返った。


「……はて……何のことですかな?わたくしは特にお二方へお尋ねしたいことなどありませんが……」


「本当かな?色々と聞きたいことがあるんじゃないのかな?」


「いえいえ、何も……わたくしは何も聞きたいことなどございません」


 するとシェスターが思わず眉間に皺を寄せた。


「……何もないだと?そんなことは……」


 するとレノンがシェスターの言葉にかぶせるように言った。


「ありません。わたくしはあなた方に尋ねたいことなど何一つないのです。と申しますか、お尋ねになりたいのはそちらではないでしょうか?」


 レノンはそう言って口の端を上げて笑った。


 シェスターは苦虫を噛み潰したような顔となって言った。


「……そうだな。確かにわたしには尋ねたいことがある」


 レノンは両手を広げ、満面の笑みを浮かべて神々しくのたまった。


「なんでしょう?どのようなことでもお尋ねください。お答えいたしますよ」


 シェスターはレノンの態度に無性に腹を立てたものの、その事には一切触れずに静かに問うたのだった。


「……千年竜はどこだ?どこに隠したというのだ?」

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