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第四百話 ゆらめく柱

 ゆらめく炎の柱の中で、メノンティウスの姿かたちはみるみるうちに音もなく崩れていった。


 羊のような巻き角はドロドロと溶けてもはや影も形もなくなり、全身を覆っていた濃く黒い体毛も皆全て焼け落ちていた。


 そして体毛の下の表皮もまた、溶け出したロウソクのように地面にズルズルと落ちていった。


 そして……全てが溶け落ち、燃やすものがなくなった炎が次第に収まり出すとそこには、ただぼんやりとした光だけが残った。


「……なんだお前は……どういうことだ?……」


 ガイウスは驚き、思わず問いかけた。


 すると薄ぼんやりとした光から、言葉が返ってきた。


「見ての通りだ。わしの本当の肉体はとうの昔に滅びておるのでな」


「……肉体を失い、ただエネルギー体として存在しているということなのか?……」


「そうだ。だが言うておくぞ。わしはあくまで物理法則の(ことわり)の中におる。ゆえに……」


 すると薄ぼんやりとした光の中から激しい閃光が突如として発せられ、ゴツゴツとした岩場の大地が激しい音を立てて大きく破裂した。


「……このような真似も出来るというわけだ」


「……なるほどな。ノーモーションで魔法が繰り出せるってわけか。こいつはずいぶんと厄介な相手だな」


「さもあろう、さもあろう。ましてやここにはシグナスもおる。さてまつろわぬ者よ、いかがする?」


 だがガイウスは落ち着きを取り戻したのか、微動だにしなかった。


「いかがするもなにも、戦うにきまっているだろ?別に相手がエネルギー体であろうが、二対一であろうがどうってことはないよ。まあたしかに身体が溶けてなくなったのを見たときはちょっと驚いたけどね」


「……ほう。それでもなお戦うというのか。よほど自信を得たようだな?」


「ああ。問題ないと思うよ?今の俺はだいぶ強いから」


 するとメノンティウスはぼんやりとした光をわずかに震わせながら笑った。


「くっくっくっくっく。これはどうやら気を引き締めねばならんようだぞ?シグナスよ」


 すると傍らのシグナスもその皺くちゃな顔をさらに皺深くしながら笑みを浮かべた。


「そうだな。本気でいこう。そうでなければ我らがやられてしまいそうだ」


 シグナスはそう言うと途端に表情を引き締め、一転厳しい表情となった。


 するとそれに呼応してガイウスの顔も大きく変化した。


 それまでの余裕綽々な表情が一変、実に厳しい表情へと変わったのだった。


「ああ、本気で来い。俺の今の全力を見せつけてやる!」


 ガイウスはそう言い捨てると、突如として全身からゆらめくオーラを発した。


 オーラは次第にその勢いを増し、先ほどメノンティウスを覆っていた炎の柱のように激しく沸き上がった。


 するとそれを見たシグナスが、思わずうめき声のような声を上げた。


 ガイウスはその声を聞き、激しく(ほとばし)るオーラの柱の中で不敵ににやりと口角を上げるのであった。

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