第二千九百二話 国境沿いの田舎
ガイウスが帝国会議を終え、すぐさまオーラバーストで飛び立ってから、すでに数時間が経った。
「そろそろマンド国に入るころだと思うんだけど……」
ガイウスは途中何度も町や村を見つけては地上に降り、町の人にマンド国に至る方向と距離を聞いて確認していた。
それによると、もうそろそろジアラ国とマンド国との国境付近に到達しているはずであった。
「さきほどの男性は、大きな川を挟んで国境と為していると言っていたけど、まだ見当たら――」
ガイウスは独り言の途中で、遥か彼方の地平線に、突然キラリと輝くものを発見した。
ガイウスは目を凝らしてその輝きの正体を見定めようとする。
「たぶんあれだ。水面に太陽の光が反射したんだ。あれがマンド国との国境の川だ」
ガイウスは全速で飛び、しばらくしてその国境線と思われる大河を越えた。
さらにしばらくして、大きな町を発見したガイウスは速度を落とし、着陸態勢に入った。
眼下の広場には、何やらたくさんの人々が集まっていた。
ガイウスは人々が驚くのも構わず、その広場の中心部に降り立つなり、近くにいた男を捕まえ、問いかけた。
「ここはマンド国か?」
男は、魔法で飛行するガイウスにびっくり仰天し、二の句が継げない様子であった。
そのためガイウスは再度同じ問いかけをすると、ようやく男は我を取り戻して答えた。
「あ、ああ。そう、ここはマンド国になるけど」
ガイウスは矢継ぎ早に問いかける。
「マンド国が今、どういう状況に置かれているか知っているか?」
男は驚きの表情から一変、怒りをにじませた。
「もちろんだ。ユラシアが突然攻めてきたんだ」
「ここはマンド国から見たら、国境沿いの田舎ってことになるよな?そんな田舎にも、もうその情報は来ているのか」
ガイウスは本来ならば失礼にあたる田舎という文言を使った。だが男は緊急事態でもあり、特に気にはしなかった。
「ああ、当然だ。国家存亡の危機だからな。さすがに素早く全国に情報がいきわたったんだと思う。実はこの集まりはそのためのものなんだ」
男は周りに集まる者たちを指さしながら言った。
「集まってどうする気だ?」
ガイウスの問いに、憤然と男が答えた。
「義勇軍を結成する!そして首都を護るんだ」
ガイウスはハッと目を見開いた。
「首都を護る?ってことは、まだ首都は陥ちてはいないんだな?」




