第二千九百話 トリプルアタック
「ぐっ!」
ガイウスはセーラ女王とアイリス枢機卿という強力なツープラトン攻撃に、たじたじとなった。
そこで救いの手を差し伸べたのは、アグルト王だった。
「まあまあ、両君ともにそこまででご容赦を。ガイウスは確かに調子乗りの風はあるが、それを押してなお、圧倒的な実力者でもある。実際、ユラシアはすでにマンド国に攻め入っている状況でもあり、時間がかかれば彼の国の領民に被害が多く出よう。まずはガイウスに先行してもらい、侵攻を止めるなりしてもらうのが、わたしは得策だと思うのだが、どうか」
アグルト王の穏やかな声音に、一座は静かになった。
そこで、同じく穏やかな声音で発言したのは、ローグ王だった。
「それがいいとわたしも思う。ユラシア軍が凌辱をしているという報告は今のところ入ってきてはいないが、そうならんとも限らない。ならば、やはり一刻も早く侵攻を止める手立てを整えないと、ジアラ王も忸怩たる思いとなろう。わたしはアグルト王に賛同する」
これに続いたのは、当事者でもあるジアラ王だった。
「ローグ王が仰られた通り、今もマンド国の領民が苦しんでいると思うと、同盟国の王たるわたしの心は千々に乱れております。出来ればガイウスには先行してもらい、マンドの民を一人でも多く救ってもらいたいと思っている」
これにはさしものアイリス枢機卿とセーラ女王も一言もなかった。
これを受け、ガイウスが断を下した。
「じゃあ俺が先行することで、異議はないな?」
ガイウスに同意の三人の王はもちろん、アイリス、セーラもうなずいた。
ガイウスは満足げに微笑み、言った。
「よし、じゃあ俺は先行してマンドに入る。みんなはさっき言った通りに、それぞれ軍を率いてジアラに集結してくれ。以上だ。他には何かあるか?」
ガイウスがそう言うと、アグルト王が発言した。
「ひとつ、提案したい議題がある」
ガイウスは意外そうに尋ねた。
「提案?どんな?」
ガイウスに問われ、アグルト王が笑みを浮かべながら言った。
「実は我が国の友邦国であるゾーマが、帝国傘下に入りたいと言ってきたのだ。そのことについて話し合いたいと思ってな」
これには会議場にどよめきが上がった。
「ゾーマって、確かアグルトの東、ローグの南西にあって、以前に友好的な手紙を送ってくれた国だっけ?」
「そうだ。わが国だけではなく、ローグやザバンとも友好的な国だ。どうだろうか?」
ガイウスが即決した。
「そんなの当然、受けるに決まっているだろう!」




