第二千八百九十九話 ツープラトン
皆がガイウスの提案に納得して、うなずいた。
ガイウスは満足げにニヤリと笑うも、すぐに表情を引き締めた。
「ところで、どれくらいでジアラに集結させられる?」
この問いに、アグルト王が答えた。
「我が国が最もジアラから遠い故、一番時間がかかるだろう。だがそうさな、三日もあれば到着すると思うぞ」
「三日か。早いと言えば早いけど、ユラシアはすでにマンドに侵攻中である以上、それを考えると、時間がかかりすぎだな」
「だが、どれだけ急いでも、それ以上は早まらんぞ」
ガイウスは腕を組み、しかめ面で考え込んだ。
そして考えがまとまるなり、腕を解いて言った。
「やっぱり俺が先行するしかないな。偵察も兼ねられるし、なんなら軍勢必要なくなるかも」
これにローグ王が威儀を唱えた。
「いきなり皇帝が単騎で攻め入るのか?それでもしもお前が殺されたらどうする?帝国建国が茶番劇になってしまうぞ」
「大丈夫だって。俺が殺されるなんてことはあるわけないよ」
これに、ザバンのセーラ女王が冷笑を浮かべながら異を唱えた。
「お前はどうも調子に乗りやすい性質のようだ。その様子では危うい。もしもローグ王の仰る通りに茶番劇となってしまうと、我らはその茶番の登場人物となってしまうことになる。そのようなこと、わたしはごめんだ」
これにベルクのアイリス枢機卿が乗った。
「同感です。この者はすぐに調子に乗る性質の持ち主です。ひとりで行かせるとなると、問題が多いと思われます。わたしは断固反対です」
セーラ女王がお返しとばかりに同意した。
「わたしもアイリス枢機卿に同感だ。建国まもなく下手を打たれるなど、冗談ではない。わたしもガイウスの単独行には反対させてもらう」
これにガイウス当人が反発した。
「待て待て待て待て。大丈夫だって。調子に乗らないように慎重に行くさ。俺だって建国してすぐに死にたくなんてないからな。ここはとりあえず、ユラシアの進軍を止めるだけに留めるさ」
アイリス枢機卿が懐疑的な視線をガイウスに送る。
「そのような理性的な判断が、お前に出来るとは思えないが?」
「出来るわっ!なんならこれまでにやって来たわ!」
セーラ女王がアイリス枢機卿に加勢する。
「ほう、そのような状況など、これまでに見たことがないが?そもそもお前は、即物的で、感情的で、行き当たりばったりの厄介な性質の持ち主に思えるのだが?」




