第二千八百九十八話 集結
「では、五か国の代表者は軍を再編してもらおうか」
ガイウスの求めに、各国の代表者が重々しくうなずいた。
「全軍――とはいわない。ただ、威圧目的でもあるし、それなりの軍勢は必要だ」
ザバンのセーラ女王が言った。
「各国一万ずつでどうか?」
「五か国で五万か。超大国ユラシア相手とはいえ、威圧するには充分な数だ」
ガイウスはニヤリと口角を上げて、さらに言う。
「では各国の軍、総勢五万をジアラに集結してもらおう」
各国の王がうなずいた。と同時に傍らの配下にすぐさま指示を出した。
指示を受けた者たちは、次々に足早に部屋を出ていった。
ガイウスは満足げにその背中を見送った。
と、ベルクのアイリス枢機卿が、ガイウスに問いかけた。
「ジアラに集結後は、全軍でマンドに進撃するわけか?それとも分けて進撃か?」
「一旦集結して、五万の軍勢をユラシアの諜報に見せつける。その後のことは、どうかな。五万の軍をそのまま進撃させるのは、大変かな?」
これにはベルクのギリオス将軍が答えた。
「兵站の問題がある。それに進撃コースが狭ければ、左右から挟撃される恐れもある」
「なるほどな。じゃあまずは地理を頭に入れておく必要があるな」
と、ジアラ王が右手を挙げて配下に指示を出しつつ、言った。
「幸いなことに、ジアラ国の詳細な地図を持って来ておる。帝国に加わるため、必要と思って用意させていたのだ」
ガイウスは笑みを浮かべた。
「おお、手際がいいな。それは助かる」
と、ジアラの者たちが巨大な丸いテーブルの上に、これまた巨大なジアラ国の地図を勢いよく広げた。
ジアラ王は立ち上がり、地図を指し示しながら言った。
「ここ、ザバン国から南北に繋がるジアラ国への街道は、横幅も広く、進軍に適している。そしてこの街道は、さらに北のマンド国へとそのまま通じておる。故に、多少狭くなる箇所に重点的に哨戒を強めることさえできれば、伏兵による挟撃の恐れもないと考える」
ガイウスは満足げにうなずいた。
「では五万の大軍をそのままマンドに運べるってことだな?」
「うむ、問題あるまい」
「その街道は、マンドの首都まで続いているのか?」
「途中分岐点はあるが、続いている。そのまま進軍できるぞ」
ガイウスはまたも満足げにうなずいた。
「いいね。凄くいい。じゃあマンドの首都までは、この街道を一直線に北上する。皆それでいいかな?」




