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第十一章 神の棺

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第二千八百九十七話 古い約定

 ザバンの新女王となったばかりのセーラが口火を切った。


「ヴァルハラ帝国が建国された今、そのすぐ北に位置するマンド国は、地政学的にも我が国にとっては重要地。そこに攻め込まれたということは、古い約定を持ち出すまでもなく、帝国にとって由々しき事態だと言えよう」


 ローグ王が大いにうなずき、すかさず同意する。


「セーラ女王の仰る通りだ。その上で、約定をどう解釈するかであろうな。ジアラ国は帝国を構成する一国であり、その同盟国となれば当然、帝国にとっても同盟国となるのではないだろうか。一同、いかが考えておられるか、ご意見を伺いたい」


 アグルト王が、横のローグ王と目を見合わせながら言った。


「異議なし。わたしもマンド、クロクの二国は、帝国にとっても同盟国と考える」


 そこでガイウスがそれぞれの意見を引き取った。


「よし、どうやらマンド、クロクの二国との古い約定は今も有効であり、それは新たに成った帝国に対しても適用されるということでいいのかな?」


 皆が一斉にうなずいた。


 ガイウスはそれを確認し、当事者であるジアラ王に向かって言った。


「と、いうことだ」


 ジアラ王は瞑目し、一同に対して頭を下げた。


「ありがたい。マンドとは古い約定があるだけではなく、ジアラにとっては歴史的にも、文化的にも密接に混じり合った友好国。そのマンドを切り捨てずに済むことを心から感謝したい」


 ジアラ王はそう言って、再度頭を下げた。


 ガイウスが再度引き取る。


「では、満場一致で同盟国マンドの防衛をするということでいいかな?」


 そこでガイウスが思い出したように付け加えた。


「あ、そうそう。ベルクに関しては皆も知っていると思うけど、王様が逃げ出して何処かに行ってしまっているので、そこに座っているアイリス枢機卿が、王の代理ということになっている。彼女は王弟の娘でもあるんでね。とはいっても、まあ、俺がここに来る前に大抵の人たちは顔合わせが済んでいると思うけどね。そうだろ?」


 ガイウスがそう言うと、アイリス枢機卿が苦笑しながら言った。


「ああ。すでに顔合わせ済みだ。ローグ王とも昨日顔合わせをしているから、問題ない」


「よかった。なら一応各国の代表者一人一人に確認を取ろう。アグルト王、どうかな?」


 ガイウスに問われ、アグルト王がうなずいた。


「承知」


「ローグ王は?」


「無論、承知だ」


「ジアラ王」


「承知する」


「ザバン王」


「承知」


「最後にベルク王代理」


「承知しよう」


 ガイウスは、満面の笑みを浮かべた。

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