第二千八百九十六話 五か国連合会議
ガイウスとローグ王が会議室に足を踏み入れると、一同が大きな丸いテーブルを囲んで思い思いに座っていた。
「もしかして、俺たちが最後?」
ガイウスが誰とはなしに話しかけると、手前に座っていたアグルト王が応じた。
「うむ、皆揃っておる」
と、ガイウスの傍らのローグ王が丁寧に侘びの言葉を述べた。
「申し訳ない。わたしがガイウスと長々と話し込んでしまった。許されよ」
アグルト王がそれにやはり丁重に応じた。
「ローグ王が謝罪されることではありません。それに、待ったといってもほんの数分。待ったうちにも入りませんので、お気になさらぬよう」
「かたじけない」
ローグ王はアグルト王のすぐ隣に座りながら、礼を言った。
ガイウスは座らず、立ったまま皆に向かって言った。
「ちょっと遅刻しちゃったけど、まあそこは許してよ」
皆が一様に苦笑した。
ガイウスが続ける。
「え~、まあそんなわけで、早速五か国連合会議を始めようと思うんだけど、いいかな?」
皆が思い思いにうなずいた。
それをガイウスは同意と受け取り、さらに続けた。
「では、まず五か国は同意のうえで連合を形成し、その上に帝国を建国するということでいいのかな?」
皆、やはり無言でうなずいた。
ガイウスはやはりそれを同意とみなし、話を続けた。
「帝国の名前はヴァルハラ。その皇位に俺がつく。これも異存はないかな?」
やはり無言で皆がうなずいた。
「よし。ならこれで帝国建国は成ったな」
と、所々から拍手が起こった。それは次第に波のようにうねりを帯びて大きくなっていった。
各国の王や、それに伴った重臣たちの顔には笑顔が浮かんでいる。
だが、丸いテーブルのある一角だけは、拍手はしているものの、笑顔はなかった。
ジアラ王と、その娘エンネスとイレースたちである。
ガイウスはそのことに気付き、帝国誕生のめでたい時ではあるものの、ジアラが抱えている大いなる懸案事項を思い、右手を高らかに挙げた。
すると皆、ガイウスのその動作を見て、拍手を止めた。
そのタイミングを見計らい、ガイウスは言った。
「皆も聞いていることと思うけど、先程北の超大国ユラシアが、マンド国に攻め入ったという一報が入った」
会議室は歓喜が一変、どよめきへと変わった。
「知っている者も多いと思うけど、ジアラ国はマンド、クロクと古い約定を結んでいる。その件について次に皆で話し合いたいと思う」




