第二千八百九十四話 悪魔召還
「悪魔召還?」
ガイウスの問いに、ローグ王は思い出しながら答えた。
「うむ、そのような噂が確かあったはずだ」
「詳しくはわからないよな?」
ローグ王は肩をすくめた。
「わからんな」
ガイウスはうなずき、少し思いついたことを言った。
「エラルダに調べてもらえないかな?」
「もちろん構わない。まだ正式に帝国は発足していないが、実質的にはお前はすでに五か国の盟主だ。当然五王の配下は、お前の配下だ」
「そう言ってもらえると、ありがたい。エラルダは諜報が得意なようだし、もしかすると、もうすでに何らかの情報を持っているかもしれないな」
「うむ、戻って見たら聞いてみるといいだろう」
と、そこへタイミングよくエラルダが戻ってきた。
「陛下、四か国の方々にお伝えしてまいりました」
エラルダは入室するなり、そう報告した。
ローグ王は重々しくうなずき、言った。
「エラルダ、ガイウスが聞きたいことがあるようだ」
エラルダは視線をガイウスに移した。
「何でありましょうか?」
ガイウスはエラルダを正面から見据えて問いかけた。
「ユラシアの新王の噂の中で、悪魔召還をしているというものがあるそうなんだけど」
エラルダは眉をひそめつつ、うなずいた。
「はい。おっしゃる通り、そのような噂がございました」
「知っていたら、詳しく教えてほしい」
「かしこまりました。とは申せ、それほど詳しいわけではありません。あくまで、流れてくる噂でございますので」
「それで構わない」
「はい、では、わたくしが聞いたところでは、ユラシア王都の郊外に小城があり、新王は夜な夜なそちらへ赴かれるそうなのです」
「夜中に新王が出歩くのか?」
「実はこの城、王城と地下で繋がっているという噂がございます」
ガイウスが閃いた。
「いざという時用の脱出経路か」
エラルダはうなずいた。
「これもあくまで噂です。ですが地理的に十数Kほどの距離。そうであっても不思議ではない近さにございます」
「充分有り得る話ってことだな」
「ユラシアほどの超大国となれば、長さ十数キロの地下通路を通すことも可能かと」
「で、その小城に地下通路を伝って夜な夜な出向いては、悪魔召還をしていると?」
エラルダはよほど嫌な話なのか、顔を歪めてうなずいた。
「城内の広場に巨大な魔法陣を描き、悪魔を召喚しているという噂にございます」




