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第十一章 神の棺

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第二千八百九十二話 クロク

 ガイウスの疑問に、ローグ王が答えた。


「軍事同盟とは言ったが、非常に緩やかなものなのだ。約定も、古いものだしな」


「古いって、どれくらい?」


「詳しくは知らんが、数百年は経っているはずだ」


 ガイウスは口をへの字に曲げた。


「そりゃあ古いな。それだとあまり意味はないんじゃないのか?」


 ローグ王は軽く首を傾けた。


「どうかな。実際三か国はこの数百年間不可侵であったし、意味はあると思うが」


「でも、今回クロクは動いていないんだろ?」


「そのようだな。だが、それをもってこれまでのことも意味が無いとはなるまい?」


 ガイウスは納得の表情でうなずいた。


「確かにそうだな。今まではその約定があったことで、他国への抑止力として働いていたかもしれないしな」


「そういうことだ。だが――今回はそうはならなかった」


「超大国ユラシアからすれば、三か国が結集しようと構わないか」


「それどころか、五か国連合の存在を知っていてなお攻め込んだとなれば、七か国が結集しようと構わないと踏んだということだ」


 ガイウスは驚きの表情を浮かべた。


「確かにそうなるな。だとすると、凄えな。だって、すでに両隣の大国ガーブ、トルマと紛争状態なのに、さらに七か国に宣戦布告したようなもんだからな。マジでどうなってるんだユラシアって」


 ローグ王は肩をすくめた。


「さあな。わたしにわかるはずがないさ」


 ガイウスは胸の前で腕を組み、右手で顎をさすりながら考え込んだ。


「いや、やっぱりおかしいよな。五か国連合の存在を知ったからって、いきなりこんな軍事侵攻、普通はしないだろ。どう考えたって、これはおかしいぜ」


 ローグ王がため息を吐いた。


「確かにな。いくらなんでもこれは普通ではない。異常な行動だといえるだろうな」


「ああ、異常だよ。これは、どう考えても異常だ」


 ガイウスは眉根をギュッと寄せた。


「ところで、あんたはユラシアの新王と会ったことはないのか?」


 ローグ王は首を横に振った。


「ない」


「そうか。ならば噂レベルで構わないから、新王についてどう思っているか教えてくれ」


 ガイウスの問いに、ローグ王がうめいた。


「う~む、それは難しいな」


「難しい?噂レベルでいいんだぞ?」


 するとローグ王が深く息を吐き出した。


「その噂なんだが――あまりにも多岐にわたっていて、皆目見当もつかないのだよ」

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