第二千八百二十九話 高熱源エネルギー
「……え?……それほんと?本当にお前が一番弱いの?」
ガイウスが少し焦った表情で問いかけた。
エルネスはさも当然だと言わんばかりの顔で言った。
「嘘を言っても仕方ないでしょう。わたしが一番弱いのは本当です。ですがもっと正確にいえば、一番弱いグループの一人ですね」
「弱いグループ……それは何人くらいいるんだ?」
するとエルネスが片眉をピンと跳ね上げた。
「なんでそんなことを気にするんですか?」
ガイウスは即座に言った。
「いや、参考までに聞きたいだけなんだけど」
「ふ~ん、まあいいでしょう。二十人ですね」
「二十人……百人中の二十人が一番弱いグループってことか」
「そうです。この建物の最下層に住まう、わたしを含む二十人です」
ガイウスはそこでピンときた。
「てことは……その上の階に住む二十人が次に弱いグループってこと?」
エルネスが鼻で軽く笑った。
「ふふん、その通りですよ。なかなか察しが良いですね」
「なるほど、でその次の二十人が真ん中の強さで、その上の二十人が二番目の強さ。そしてさらにその上が百人の中で最強の二十人ってことだな?」
「その通りです。ですがそれを知ってどうするつもりですか?貴方はここで死ぬ運命だというのに」
するとガイウスが両手を大きく広げて肩をすぼめた。
「そんな運命など俺にはないさ。俺はこんなところで死ぬような人間じゃない」
エルネスがまたも鼻でせせら笑った。
「ふん、では試してみることですね」
エルネスは両腕を肩の高さまですっと上げた。
ガイウスは軽く首を横に倒してコキコキと鳴らした。
「ああ、そうさせてもらうぜ」
ガイウスがそう言った途端、エルネスの両腕から高熱源エネルギーを放出させた。
高熱源エネルギーが、一直線にガイウスに向かって襲い掛かる。
だがガイウスは、今度はバリアーを展開させることはなかった。
代わりにガイウスは右手を肩の位置まで上げると、その掌からエルネス同様の高熱源エネルギーを放ったのだった。
エネルギーとエネルギーが空中でぶつかり、火花を散らす。
「なっ!そんなっ!」
エルネスが突然のことに驚き、叫ぶ。
ガイウスはにやりと笑うと言ったのだった。
「やっぱりね。出来ると思ったんだよ。俺ってば天才だからさ」
ガイウスはそう言うと、高熱源エネルギーを強力に放出させながら、高らかに笑ったのだった。