第二千八百十一話 カラント教会
ガイウスは老神父に教わった、この地方最大の教会があるというガモンの街に到着するや、すぐにその目的のカラント教会を探そうと、道行く男に声をかけた。
「すみません、ちょっとお尋ねしますが、カラント教会はどこにありますか?」
ガイウスの問いに、男がすぐに答えた。
「あー、カラント教会でしたら、この大通りを真っ直ぐ行けば右手に面してありますよ。ただここから……そうですね十五分ほどはかかりますけど」
ガイウスは男に丁寧に礼を言って別れた。
「十五分か……まあいいか。急ぐわけでもないし、ゆっくり散歩でもしながら目指すか」
ガイウスはそう決めると、ぶらぶらと街並みを眺めながらゆっくりと大通りを進んだ。
「結構にぎわているな。この地方最大の教会がある街だから当然か」
ガイウスはかなり大きな通りを歩きながら、次々に現れる店や屋台を物色した。
だが特に何処か入るというわけではなく、ただ楽しんで歩いていた。
そうこうするうちに、かなり大きな教会の姿が目に入った。
「あれだな……かなり大きいな。総本山って感じかな」
ガイウスはゆっくりと教会を眺めながら近づいて行った。
そして教会の前にたどり着いたところで、突然悪寒に襲われたのだった。
「……なんだ?……この感じ……」
ガイウスは途端に警戒感MAXとなった。
「もしや、ロキューズを捉えた悪神が、この教会に降臨でもしているというのか……」
だがここまで来て引き返すわけにもいかないと、ガイウスは勇気を出して教会の敷地内へと入って行った。
「……のどかな前庭だが……あの建物内にいるのか……」
ガイウスは一歩一歩踏みしめるように進んでいった。
すると、再び悪寒がガイウスの全身を駆け巡った。
禍々しい雰囲気を建物内から感じたガイウスは、一旦歩みを止めた。
「……いるな。確実に……」
予感から確信へと変わり、ガイウスは再び歩みを再開した。
一歩一歩建物に近づいて行くガイウス。
そしてついに建物の正面階段を上り、玄関にたどり着いた。
玄関は観光客用にすでに開いている。
ガイウスはそのまま真っ直ぐ中へと足を踏み入れた。
「ぐっ!……なんて殺気だ……だが……」
ガイウスはビンビン感じる殺気を押し返すように前へと進んだ。
そして正面に見える祭壇へたどり着くや、三柱の巨大な彫像を見上げたのだった。